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文字ははっきりと、そして堂々としたもので、その頁には「ユリエラ・ウロボロス」という文字が鮮やかに浮かび上がりました。その瞬間、本が眩い光を放ちました。
パピルスとキルエルは一瞬で協力し、個人ブース内に光を遮断する魔法をかけました。その結果、眩しい光はすぐに消え、周囲にバレずに済みました。二人は安心した表情でお互いを見つめ、その後、静かな呼吸を取り戻しました。
ユリエラの手には、黒いオカリナがありました。それは本来、ユリエラが持つべきメーベルでした。ユリエラはそのオカリナを手に取り、その形状や質感に不思議な感覚を覚えました。
「これは素のメーベルなの?普通は小さな装飾品よね?1段階?」
「いえ、これは間違えなく素のメーベルですね。魔法訓練室へ移動して解放してみてはいかがですか?」
「うん。」
ユリエラとパピルスは、図書館から魔法訓練室へと足を運びました。訓練室は広々とした空間で、天井には複雑な魔法陣が描かれていました。
ユリエラは緊張と期待に胸を膨らませながら、手にしたオカリナを握りしめました。パピルスは彼女の横に立ち、サポートをするように優しく微笑みました。
深呼吸をしながら、ユリエラは魔法の力を込めることに集中しました。
「メーベル!」
すると、部屋全体が青白い光に包まれ、オカリナから輝くようなエネルギーが放たれました。ユリエラは驚きと興奮に満ちた表情で、その美しい光景を見つめました。やがて、オカリナが輝きを増し、その輪郭が消えると、彼女の手には真っ黒なオカリナと新たに真っ黒な小さな四角い箱が現れました。
ユリエラはオカリナをポケットにしまい、残った小さな黒い箱を手に取り、不思議そうに眺めます。そして、箱を開けると、中にはマッチ棒が入っていました。
「えぇ!?ここにきてマッチ棒!?」
「マッチ棒?」
「えっと、そっか。ここの人達は魔法で火をつけるものね。地球では魔法が存在しないから、このマッチ棒を使って火をつけるの。」
ユリエラはパピルスにマッチの使い方を教えるため、実際に火をつけてみることにしました。
慎重にマッチ棒を箱から取り出し、先端を擦ると、少しの間、赤い火花が舞い散りました。そして、次第に小さな炎が生まれ、マッチ棒が燃え始めました。
パピルスは興味津々の表情でユリエラの手元を見つめ、マッチの炎が揺らめく様子をじっと見つめました。
火が大きく燃え上がり、その炎の中に不思議な光景が現れました。赤ちゃんの姿がそこに映し出され、その愛らしい顔にはピンク色の目とピンク色の髪が輝いていました。最初はパピルスの幼少期の記憶が蘇ったのかと思ったユリエラでしたが、その赤ちゃんの両親が「ユリエラ」と呼ぶ声が聞こえ、彼女は驚きの中で自分自身が赤ちゃんの姿であることに気付きました。
パピルスもまた驚きと興味深さで、その光景を見つめました。
「これは…っ!!」
そんな中、突然、ユリエラの正面に立っていたキルエルが、先程まで透明化していて見えなかった状態から姿を現しました。ユリエラとパピルスは彼の現れに驚きました。キルエルは微笑んで二人を見やり、静かな声で言葉を紡ぎました。
「少しいいかのぅ。」
「キル!?」
「辺境伯、突然どうされたのですか!?」
「ワシ、ちょっと創造主様に呼ばれてしもてのぅ。天界へ一度帰らねばならんのじゃ。そこでじゃ、ユリエラの護衛を二人ほど増やす事にした。パピルスや、ワシが留守の間、頼んだぞ。」
「え!?わ、わかりました。どのくらいで戻られますか?」
「すぐじゃ、すぐ。神託をいただいたらすぐに戻るでのぅ。」
「キル!!…いっちゃうの?」
「すまんのぅ、側にいてやれんで。ワシ教皇じゃから忙しいんじゃ。案ずるな、じきに戻る。」
キルエルは後ろを向いて天界へ戻ろうとしますが、足を止め、もう一度振り返り、寂しそうな表情を浮かべるユリエラを見ました。その瞬間、彼の表情には深い思いやりと愛情が宿っていました。
キルエルはユリエラに向かって歩み寄り、彼女を思い切り抱きしめました。その抱擁は温かく、安心感に包まれたものでした。ユリエラもその優しい抱擁に身を委ね、キルエルの温もりを感じながら心を落ち着かせました。
「キル?」
「…ワシもまだまだじゃな。ユリエラよ、老い耄れのワガママを受け入れてもらえるか?」
「何?キルのお願いなら何でも。」
「ただの護衛魔法じゃが、かけて行っても良いかのぅ?心配でな。」
「そんな事でいいの?逆にかけて行ってほしいくらいよ。」
「ほっ、ほっ、ほっ。すまんのぅ。どれだけ時が経っても…。いや、なんでもない。」
キルエルはユリエラと自分の周囲に視覚遮断の結界を巧みに張り、外部からの視線や干渉を遮断しました。その後、彼の足元に魔法陣が現れ、眩い光を放ちました。光は煌々と輝き、周囲を包み込むような輝きを放ちます。
「まさか、ワシがこの魔法を使う事になるとはのぅ。」
「どういう事?」
「さて、どういう事じゃろうな。」
「本当にすぐ帰ってくる?」
「そうじゃな、神は気まぐれじゃからのぅ。」
「あのね…キル。私…キルの事が…。」
キルエルはユリエラの口を塞ぐように、彼女の唇に長いキスを贈りました。 その接触は柔らかく、しばらくの間、彼らの間には時間が止まったかのような静けさが漂いました。やがて、キルエルの唇がゆっくりと離れると、彼の姿が突如として変わり、、成人した男性の姿をしていました。ユリエラはその変化に大きく目を見開き、驚きの表情を浮かべました。
「キル…?」
「パピルス。後は頼んだぞ。護衛の要請はティグルスに送っておる。」
キルエルがパピルスに指示をすると、パピルスは敬礼しました。
パピルスは心の中で、"この国の王を呼び捨てできるのは貴方くらいなものですよ" と思った。
そして、雷のようなビリビリという音が轟き、キルエルはその音と共に去っていった。
キルエルは凄腕の魔法使いであり、同様にパピルスも神にあと一歩の凄腕の魔法使いであった。 そのため、遮断魔法がかけられていても、薄っすらと一部始終が見えてしまっていた。
キルエルとユリエラの間に何があったか全て知っているパピルスは内心とても気まずく感じた。
「帰りましょうか。」
「うん。」
パピルスとユリエラは、様々な思いを抱きながら寮へと帰っていった。
パピルスとキルエルは一瞬で協力し、個人ブース内に光を遮断する魔法をかけました。その結果、眩しい光はすぐに消え、周囲にバレずに済みました。二人は安心した表情でお互いを見つめ、その後、静かな呼吸を取り戻しました。
ユリエラの手には、黒いオカリナがありました。それは本来、ユリエラが持つべきメーベルでした。ユリエラはそのオカリナを手に取り、その形状や質感に不思議な感覚を覚えました。
「これは素のメーベルなの?普通は小さな装飾品よね?1段階?」
「いえ、これは間違えなく素のメーベルですね。魔法訓練室へ移動して解放してみてはいかがですか?」
「うん。」
ユリエラとパピルスは、図書館から魔法訓練室へと足を運びました。訓練室は広々とした空間で、天井には複雑な魔法陣が描かれていました。
ユリエラは緊張と期待に胸を膨らませながら、手にしたオカリナを握りしめました。パピルスは彼女の横に立ち、サポートをするように優しく微笑みました。
深呼吸をしながら、ユリエラは魔法の力を込めることに集中しました。
「メーベル!」
すると、部屋全体が青白い光に包まれ、オカリナから輝くようなエネルギーが放たれました。ユリエラは驚きと興奮に満ちた表情で、その美しい光景を見つめました。やがて、オカリナが輝きを増し、その輪郭が消えると、彼女の手には真っ黒なオカリナと新たに真っ黒な小さな四角い箱が現れました。
ユリエラはオカリナをポケットにしまい、残った小さな黒い箱を手に取り、不思議そうに眺めます。そして、箱を開けると、中にはマッチ棒が入っていました。
「えぇ!?ここにきてマッチ棒!?」
「マッチ棒?」
「えっと、そっか。ここの人達は魔法で火をつけるものね。地球では魔法が存在しないから、このマッチ棒を使って火をつけるの。」
ユリエラはパピルスにマッチの使い方を教えるため、実際に火をつけてみることにしました。
慎重にマッチ棒を箱から取り出し、先端を擦ると、少しの間、赤い火花が舞い散りました。そして、次第に小さな炎が生まれ、マッチ棒が燃え始めました。
パピルスは興味津々の表情でユリエラの手元を見つめ、マッチの炎が揺らめく様子をじっと見つめました。
火が大きく燃え上がり、その炎の中に不思議な光景が現れました。赤ちゃんの姿がそこに映し出され、その愛らしい顔にはピンク色の目とピンク色の髪が輝いていました。最初はパピルスの幼少期の記憶が蘇ったのかと思ったユリエラでしたが、その赤ちゃんの両親が「ユリエラ」と呼ぶ声が聞こえ、彼女は驚きの中で自分自身が赤ちゃんの姿であることに気付きました。
パピルスもまた驚きと興味深さで、その光景を見つめました。
「これは…っ!!」
そんな中、突然、ユリエラの正面に立っていたキルエルが、先程まで透明化していて見えなかった状態から姿を現しました。ユリエラとパピルスは彼の現れに驚きました。キルエルは微笑んで二人を見やり、静かな声で言葉を紡ぎました。
「少しいいかのぅ。」
「キル!?」
「辺境伯、突然どうされたのですか!?」
「ワシ、ちょっと創造主様に呼ばれてしもてのぅ。天界へ一度帰らねばならんのじゃ。そこでじゃ、ユリエラの護衛を二人ほど増やす事にした。パピルスや、ワシが留守の間、頼んだぞ。」
「え!?わ、わかりました。どのくらいで戻られますか?」
「すぐじゃ、すぐ。神託をいただいたらすぐに戻るでのぅ。」
「キル!!…いっちゃうの?」
「すまんのぅ、側にいてやれんで。ワシ教皇じゃから忙しいんじゃ。案ずるな、じきに戻る。」
キルエルは後ろを向いて天界へ戻ろうとしますが、足を止め、もう一度振り返り、寂しそうな表情を浮かべるユリエラを見ました。その瞬間、彼の表情には深い思いやりと愛情が宿っていました。
キルエルはユリエラに向かって歩み寄り、彼女を思い切り抱きしめました。その抱擁は温かく、安心感に包まれたものでした。ユリエラもその優しい抱擁に身を委ね、キルエルの温もりを感じながら心を落ち着かせました。
「キル?」
「…ワシもまだまだじゃな。ユリエラよ、老い耄れのワガママを受け入れてもらえるか?」
「何?キルのお願いなら何でも。」
「ただの護衛魔法じゃが、かけて行っても良いかのぅ?心配でな。」
「そんな事でいいの?逆にかけて行ってほしいくらいよ。」
「ほっ、ほっ、ほっ。すまんのぅ。どれだけ時が経っても…。いや、なんでもない。」
キルエルはユリエラと自分の周囲に視覚遮断の結界を巧みに張り、外部からの視線や干渉を遮断しました。その後、彼の足元に魔法陣が現れ、眩い光を放ちました。光は煌々と輝き、周囲を包み込むような輝きを放ちます。
「まさか、ワシがこの魔法を使う事になるとはのぅ。」
「どういう事?」
「さて、どういう事じゃろうな。」
「本当にすぐ帰ってくる?」
「そうじゃな、神は気まぐれじゃからのぅ。」
「あのね…キル。私…キルの事が…。」
キルエルはユリエラの口を塞ぐように、彼女の唇に長いキスを贈りました。 その接触は柔らかく、しばらくの間、彼らの間には時間が止まったかのような静けさが漂いました。やがて、キルエルの唇がゆっくりと離れると、彼の姿が突如として変わり、、成人した男性の姿をしていました。ユリエラはその変化に大きく目を見開き、驚きの表情を浮かべました。
「キル…?」
「パピルス。後は頼んだぞ。護衛の要請はティグルスに送っておる。」
キルエルがパピルスに指示をすると、パピルスは敬礼しました。
パピルスは心の中で、"この国の王を呼び捨てできるのは貴方くらいなものですよ" と思った。
そして、雷のようなビリビリという音が轟き、キルエルはその音と共に去っていった。
キルエルは凄腕の魔法使いであり、同様にパピルスも神にあと一歩の凄腕の魔法使いであった。 そのため、遮断魔法がかけられていても、薄っすらと一部始終が見えてしまっていた。
キルエルとユリエラの間に何があったか全て知っているパピルスは内心とても気まずく感じた。
「帰りましょうか。」
「うん。」
パピルスとユリエラは、様々な思いを抱きながら寮へと帰っていった。
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