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シーズン1
40.守りたいものがあるから
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「失礼いたします、夜分に申し訳ありません。台所の食材庫に不具合があるようでして、ご確認いただけますか?」
不意をつかれた騎士たちは顔を見合わせ、一人が応じた。「分かった、案内しろ。」
その瞬間、私は息を飲み、そっと裏門に向かって歩みを進めた。メアルーシュがぐずらないように祈りながら、一歩ずつ進む。
やがて、門の外に出た瞬間、冷たい空気が頬を撫でた。ミレーヌがすぐに私の後を追ってきて、私たちはその場を離れた。
「ふぅ…。」
「よくやったわ、ミレーヌ。本当にありがとう。」
「お嬢様、これからが本番です。気を引き締めて進みましょう。」
夜風が頬を撫で、冷たい空気が肺に染み渡る。門を抜け出した瞬間の安堵感は一瞬のもので、私たちは足を止めることなく闇の中を急いだ。振り返ることなく、ただ前を見つめ、ミレーヌと共に歩みを進めた。レッドナイト邸を静かに後にする心情は複雑だった。恐怖、疑念、そしてわずかな罪悪感が胸を締め付ける。
村へ続く道中、足音だけが夜の静寂を刻む。途中、小さな村に辿り着くと、私は店主に頭を下げ、乗馬用の馬を購入した。支払いは、いつか非常時に備えて持ち出していた金貨で済ませた。店主は夜遅くの訪問に驚いていたが、多くを聞かずに馬を用意してくれた。
「この馬なら速いですよ、お嬢様方。気を付けて行ってくださいね。」
白く美しい毛並みを持つその馬は、力強い脚を持ち、走り出すとまるで風のように速かった。私はメアルーシュをしっかり抱きしめ、ミレーヌが後ろに乗り馬を巧みに操った。夜道を駆け抜ける中、冷たい風が私たちの顔を撫で、少しずつ不安が薄れていく。
「ミレーヌ、乗馬なんて、どこで覚えたの?」
馬の背で揺れながら、私は何気なく尋ねた。
「レッドナイト公爵家のメイド指導には、乗馬の訓練も含まれていました。普段は奥様のお世話を最優先にしていましたが、こうして役立つ日が来るとは思いませんでした。」
彼女の落ち着いた声に、私は小さな感謝を抱いた。
「ミレーヌ…。こんな形で頼ることになってごめんなさい。」
「お嬢様、謝る必要などありません。私はお嬢様のためにここにいるのですから。」
彼女の言葉に心が温かくなり、涙が浮かびそうになった。けれど、今は泣く時ではない。前を向いて進むしかないのだ。
再び静けさの中を進んでいく。月明かりが微かに道を照らし、馬の足音が心地よいリズムを刻んでいる。ようやく落ち着きを取り戻した頃、ミレーヌが小さく声を漏らした。
「お嬢様…もしよろしければ、お話しいただけますか?なぜこんな急に出ることになったのか。」
ミレーヌの問いに、私は戸惑った。けれど、彼女にはすべてを打ち明けるべきだと決心した。信頼できる人がいなければ、この先の逃亡生活に耐えることはできない。
「…別館で見たの。ユリが赤ちゃんを抱いていたわ。」
その言葉にミレーヌの表情が固まった。彼女は静かに頷きながら、私の続きを待った。
「彼のそばには…白髪の女性がいて、彼を後ろから抱きしめていたの。まるで、家族のように。」
その瞬間の記憶が鮮明に蘇り、胸が締め付けられる。
「赤ちゃんの髪は黒かったのよ。ユリが抱いていた赤ちゃんの髪色が…。それを見た時、全てが崩れる音が聞こえた気がしたわ。」
「…そんなことが。」ミレーヌは小さく呟いた。
「ミレーヌ、私にはブルービショップの血が流れてるでしょ?未来が分かる時があるの。彼が私を裏切っていた未来も…うっすらと見えていたのかもしれない。」
「お嬢様、これからどうされるおつもりですか?」
「パープルポーン領にあるエトワの小さな家に向かうつもりよ。あそこならしばらくは安全なはず。」
「…あの家ですね。」
ミレーヌは思い出すように小さく頷いた。
「レオル様と文通されていた頃、何度か手紙を見かけました。ユリドレ様が手紙を盗み見ようとしていたので、私が代わりに確認すると言って守っておりました。」
「ミレーヌ、本当にありがとう…。あなたがいてくれなかったら、今ごろ家の存在がばれていたわ。」
その瞬間、私は胸がいっぱいになった。けれど、同時に深い悲しみも押し寄せる。
(また愛されなかったのね…。今度こそ大丈夫だと思っていたのに…。)
夜空の下、馬は再び速く走り始めた。揺れるリズムが、心の中の混乱を少しずつ和らげていく。前を向かなければならない。愛されなかったとしても、メアルーシュを守るために進まなければならない。
「お嬢様、しっかり捕まっていてください。エトワまであと少しです。」
ミレーヌの力強い声が、私の心を支えてくれているように感じた。
「ミレーヌが私のところへきてくれて、本当に良かったわ。」
私がそう言うと、ミレーヌは少し照れたように微笑んで答えた。
「いえ、お嬢様には返せない恩がありますから…。私がここにいるのは、その恩に報いるためです。」
彼女の言葉を聞いた瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。一度目の人生で彼女を失った時の後悔が、鮮明に思い出される。
一度目の人生で、私はミレーヌを守ることができなかった。それがずっと胸の痛みとして残り続け、16歳に回帰した時、彼女に対する罪悪感と責任感が私を突き動かした。ミレーヌには、できる限りのことをしてきたつもりだ。追加の給料、病気の妹の治療費、そして妹が自立できるようにブルービショップ家での仕事を手配した。けれど、それだけでは足りないと今でも思っている。
(返せない恩があるのは…私の方なのに…。)
その思いが胸に渦巻く中、ミレーヌが馬を止めた。
「お嬢様、少しお眠りください。」
「でも…」
「心配なさらないでください。尾行を撒くために、朝まで迂回しながら進むつもりです。今のうちに体を休めていただかないと、パープルポーン領までの道のりに耐えられません。」
彼女の言葉には揺るぎない決意が込められていた。私はためらいながらも頷いた。
ミレーヌは馬の鞍を丁寧に確認し、私が眠ってしまっても安全なように手際よくロープを取り出して括りつけた。その動作は驚くほど慣れたもので、私が少し動くだけでもしっかりと支えられるように工夫が施されていた。さらに、彼女はエプロンを外し、それを使ってメアルーシュを優しく固定した。
「ミレーヌ、本当に何でもできるのね…。」
「お嬢様のためですから。」
彼女の声は穏やかで、それが逆に私の胸を締めつける。こんなに頼りになる侍女を私はどうしてもっと大切にしてこなかったのだろうと、改めて自分を責めた。
馬が再び走り出すと、夜風が髪を揺らし、冷たさと心地よさが同時に感じられた。ミレーヌは手綱をしっかりと握り、暗い森の中を迷いなく進んでいく。その背中に全てを預けていることが不思議と安心感をもたらした。
「ミレーヌ、まだ尾行がいるの?」
「はい。ですが、まだ追いつかれる心配はありません。」
「ユリなら…すぐに追いついちゃうかも…。」
「ご安心ください。先ほど馬を買った際に、朝までに領境へもう一頭運ぶよう手配しておきました。それと合流すれば、お嬢様はその馬でパープルポーン領へお逃げいただけます。私は少し休息を取ってから追いかけます。」
彼女の冷静な計画に、私は深く感謝すると同時に、自分の無力さが恥ずかしくなった。けれど、今は彼女に頼るしかない。
「分かったわ…お願いね。」
「お任せください。」
馬の背で揺れながら、私は少しずつ目を閉じていった。メアルーシュは私の腕の中で安心したように眠り、時折小さな寝息を立てている。夜の森は静かで、風が木々を揺らす音だけが耳に心地よく響いた。
(この子だけは、絶対に守らないと…。)
そんな思いを抱きながら、私も眠りに落ちていった。遠くから聞こえるミレーヌの低い声が、どこか子守唄のように感じられた。
「お嬢様、ゆっくりお休みください。朝までには必ず安全な場所にお連れしますから…。」
不意をつかれた騎士たちは顔を見合わせ、一人が応じた。「分かった、案内しろ。」
その瞬間、私は息を飲み、そっと裏門に向かって歩みを進めた。メアルーシュがぐずらないように祈りながら、一歩ずつ進む。
やがて、門の外に出た瞬間、冷たい空気が頬を撫でた。ミレーヌがすぐに私の後を追ってきて、私たちはその場を離れた。
「ふぅ…。」
「よくやったわ、ミレーヌ。本当にありがとう。」
「お嬢様、これからが本番です。気を引き締めて進みましょう。」
夜風が頬を撫で、冷たい空気が肺に染み渡る。門を抜け出した瞬間の安堵感は一瞬のもので、私たちは足を止めることなく闇の中を急いだ。振り返ることなく、ただ前を見つめ、ミレーヌと共に歩みを進めた。レッドナイト邸を静かに後にする心情は複雑だった。恐怖、疑念、そしてわずかな罪悪感が胸を締め付ける。
村へ続く道中、足音だけが夜の静寂を刻む。途中、小さな村に辿り着くと、私は店主に頭を下げ、乗馬用の馬を購入した。支払いは、いつか非常時に備えて持ち出していた金貨で済ませた。店主は夜遅くの訪問に驚いていたが、多くを聞かずに馬を用意してくれた。
「この馬なら速いですよ、お嬢様方。気を付けて行ってくださいね。」
白く美しい毛並みを持つその馬は、力強い脚を持ち、走り出すとまるで風のように速かった。私はメアルーシュをしっかり抱きしめ、ミレーヌが後ろに乗り馬を巧みに操った。夜道を駆け抜ける中、冷たい風が私たちの顔を撫で、少しずつ不安が薄れていく。
「ミレーヌ、乗馬なんて、どこで覚えたの?」
馬の背で揺れながら、私は何気なく尋ねた。
「レッドナイト公爵家のメイド指導には、乗馬の訓練も含まれていました。普段は奥様のお世話を最優先にしていましたが、こうして役立つ日が来るとは思いませんでした。」
彼女の落ち着いた声に、私は小さな感謝を抱いた。
「ミレーヌ…。こんな形で頼ることになってごめんなさい。」
「お嬢様、謝る必要などありません。私はお嬢様のためにここにいるのですから。」
彼女の言葉に心が温かくなり、涙が浮かびそうになった。けれど、今は泣く時ではない。前を向いて進むしかないのだ。
再び静けさの中を進んでいく。月明かりが微かに道を照らし、馬の足音が心地よいリズムを刻んでいる。ようやく落ち着きを取り戻した頃、ミレーヌが小さく声を漏らした。
「お嬢様…もしよろしければ、お話しいただけますか?なぜこんな急に出ることになったのか。」
ミレーヌの問いに、私は戸惑った。けれど、彼女にはすべてを打ち明けるべきだと決心した。信頼できる人がいなければ、この先の逃亡生活に耐えることはできない。
「…別館で見たの。ユリが赤ちゃんを抱いていたわ。」
その言葉にミレーヌの表情が固まった。彼女は静かに頷きながら、私の続きを待った。
「彼のそばには…白髪の女性がいて、彼を後ろから抱きしめていたの。まるで、家族のように。」
その瞬間の記憶が鮮明に蘇り、胸が締め付けられる。
「赤ちゃんの髪は黒かったのよ。ユリが抱いていた赤ちゃんの髪色が…。それを見た時、全てが崩れる音が聞こえた気がしたわ。」
「…そんなことが。」ミレーヌは小さく呟いた。
「ミレーヌ、私にはブルービショップの血が流れてるでしょ?未来が分かる時があるの。彼が私を裏切っていた未来も…うっすらと見えていたのかもしれない。」
「お嬢様、これからどうされるおつもりですか?」
「パープルポーン領にあるエトワの小さな家に向かうつもりよ。あそこならしばらくは安全なはず。」
「…あの家ですね。」
ミレーヌは思い出すように小さく頷いた。
「レオル様と文通されていた頃、何度か手紙を見かけました。ユリドレ様が手紙を盗み見ようとしていたので、私が代わりに確認すると言って守っておりました。」
「ミレーヌ、本当にありがとう…。あなたがいてくれなかったら、今ごろ家の存在がばれていたわ。」
その瞬間、私は胸がいっぱいになった。けれど、同時に深い悲しみも押し寄せる。
(また愛されなかったのね…。今度こそ大丈夫だと思っていたのに…。)
夜空の下、馬は再び速く走り始めた。揺れるリズムが、心の中の混乱を少しずつ和らげていく。前を向かなければならない。愛されなかったとしても、メアルーシュを守るために進まなければならない。
「お嬢様、しっかり捕まっていてください。エトワまであと少しです。」
ミレーヌの力強い声が、私の心を支えてくれているように感じた。
「ミレーヌが私のところへきてくれて、本当に良かったわ。」
私がそう言うと、ミレーヌは少し照れたように微笑んで答えた。
「いえ、お嬢様には返せない恩がありますから…。私がここにいるのは、その恩に報いるためです。」
彼女の言葉を聞いた瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。一度目の人生で彼女を失った時の後悔が、鮮明に思い出される。
一度目の人生で、私はミレーヌを守ることができなかった。それがずっと胸の痛みとして残り続け、16歳に回帰した時、彼女に対する罪悪感と責任感が私を突き動かした。ミレーヌには、できる限りのことをしてきたつもりだ。追加の給料、病気の妹の治療費、そして妹が自立できるようにブルービショップ家での仕事を手配した。けれど、それだけでは足りないと今でも思っている。
(返せない恩があるのは…私の方なのに…。)
その思いが胸に渦巻く中、ミレーヌが馬を止めた。
「お嬢様、少しお眠りください。」
「でも…」
「心配なさらないでください。尾行を撒くために、朝まで迂回しながら進むつもりです。今のうちに体を休めていただかないと、パープルポーン領までの道のりに耐えられません。」
彼女の言葉には揺るぎない決意が込められていた。私はためらいながらも頷いた。
ミレーヌは馬の鞍を丁寧に確認し、私が眠ってしまっても安全なように手際よくロープを取り出して括りつけた。その動作は驚くほど慣れたもので、私が少し動くだけでもしっかりと支えられるように工夫が施されていた。さらに、彼女はエプロンを外し、それを使ってメアルーシュを優しく固定した。
「ミレーヌ、本当に何でもできるのね…。」
「お嬢様のためですから。」
彼女の声は穏やかで、それが逆に私の胸を締めつける。こんなに頼りになる侍女を私はどうしてもっと大切にしてこなかったのだろうと、改めて自分を責めた。
馬が再び走り出すと、夜風が髪を揺らし、冷たさと心地よさが同時に感じられた。ミレーヌは手綱をしっかりと握り、暗い森の中を迷いなく進んでいく。その背中に全てを預けていることが不思議と安心感をもたらした。
「ミレーヌ、まだ尾行がいるの?」
「はい。ですが、まだ追いつかれる心配はありません。」
「ユリなら…すぐに追いついちゃうかも…。」
「ご安心ください。先ほど馬を買った際に、朝までに領境へもう一頭運ぶよう手配しておきました。それと合流すれば、お嬢様はその馬でパープルポーン領へお逃げいただけます。私は少し休息を取ってから追いかけます。」
彼女の冷静な計画に、私は深く感謝すると同時に、自分の無力さが恥ずかしくなった。けれど、今は彼女に頼るしかない。
「分かったわ…お願いね。」
「お任せください。」
馬の背で揺れながら、私は少しずつ目を閉じていった。メアルーシュは私の腕の中で安心したように眠り、時折小さな寝息を立てている。夜の森は静かで、風が木々を揺らす音だけが耳に心地よく響いた。
(この子だけは、絶対に守らないと…。)
そんな思いを抱きながら、私も眠りに落ちていった。遠くから聞こえるミレーヌの低い声が、どこか子守唄のように感じられた。
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