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第一章 惑星ガイノス開拓計画
リョースケの衝撃
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■ 宇宙歴834年の地球国家における諸問題その2
・負の遺産問題
統一国家が誕生する300年程前、宇宙に飛び出した人類は次第にその数を増やしていった。
地球以外の惑星に定住するようになった人口が20億人を突破した頃『月・火星間戦争』が勃発。
泥沼化した戦況は7年に渡り
戦争を長引かせ、ついには互いの最終兵器を持ち出す局面にまで至った。
その威力は惑星を滅ぼしかねない可能性を孕んでいたが、直前に完成した地球産の量子コンピューターHALがそれぞれの惑星のシステムと超兵器を掌握。
調停という名の脅迫で強引に終結させた。
終戦後に結ばれたHAL平和条約により全惑星(地球含む)で兵器の開発・製造を禁止。
それまでに作られた兵器は、各惑星の防衛システム(用途は主に巨大隕石の撃墜)と自衛用の兵器を残し、全て処分されることとなった。
しかし一昨年11月、火星の地下で惑星間戦争の生んだ負の遺産が発見される。
主に白兵戦で猛威を奮った殺戮兵器、戦闘用義体、通称《バーサーカー》が見つかったのだ。その数一億七千万体。
調停役の地球政府は当然没収したが、その莫大な処分費用に頭を悩まされている。
*******
最高の夜だった。
俺の横では二人の美女が裸で寝息を立てている。
『だらしない身体には欲情しないの』
ミラにそう言われて以来、それまでサボり気味だったトレーニングを再開。毎日2時間以上は充てていた。
鍛えておいて本当に良かった。
そうでなければ、昨夜二人からの猛攻に耐えきれなかったに違いない。
いやはや…それにしても、まさかバニーまで…
最高の夜だった(二度目)。
二人を起こさぬよう、そっとベッドから起きてリビングに向かう。
「あ!おはようございます、マスター」
「おはよー、マリー」
我が家の家政婦兼、秘書ヒューマノイド、マリーちゃんがエプロンを着て朝食の準備をしていた。
「コーヒーどうぞ!フフ、昨夜はお楽しみでしたね」
「何だい?マリーちゃんも混ざりたかった?」
「そうですね。複数プレイは未経験ですので、学習してみたいとは思っています」
「大胆かっ!…そうだな、ミラが許可すればね。まあ…昨日の感じだと断らないだろうけど」
「まあ!嬉しいです!その時は頑張りますね♪」
こんな感じでヒューマノイドは人間と変わりない豊かな表情と感情を持っている。
人工細胞で作られた義体は肌も髪の感触も人間のそれと変わらないし性感体だって搭載されている。流石はメイドインジャパン。
ちなみにマリーちゃんは逆輸入のような形で我が家に来た。
俺からしたら、もうどうみたって人間なのだが、人権を認めたがらない反ヒューマノイド派の気持ちが分からない。
『ヒューマノイドは人類の進化した姿だ』
なんて言う人もいるけど、あながち間違いじゃないと思う。
「どうしましたマスター?」
「いや、マリーは今日も可愛いなと思ってね」
「もう、マスターったら!」
ほらね?人間でしょ?
「何朝っぱらから自分とこのヒューマノイドナンパしてんのよ、このスケベは」
「あ、おはようございます!ミラさん」
「おはよーミラ。ナンパのつもりはないし、スケベはお前だ」
「おはようマリー、悪かったわね昨日は。耳に毒だったかしら?」
「フフ、正直少し妬いちゃいました。今度はマリーも混ぜて下さいね!」
「あら、見掛けによらず貪欲ねマリーは。いいわよ」
「マスター!許可が出ました!」
「断らないとは思ってたけど…あっさりし過ぎだろミラ。貪欲はお前だよ」
「うるさいリョースケ、うぬに拒否権などないと知れ!」
「何キャラだよ」
「ふわぁ~、おはよぉみんな」
「おはようございます!ヴァネッサさん」
「おはよマリーちゃん♪私のことはバニーでいいのよ?」
「記憶しました!ではバニーさんと呼ばせていただきますね!」
「なんだ、二人とももう少し寝てるかと思ったけど…」
「リョーちゃんもう一回襲おうと思ったら、いないんだもの♪」
「そうよ!リョースケが目を覚ましたら『え?朝っぱらから上に乗られてる?でも気持ちいいから、まあいっか』状態が理想的だったのよ!?何、先に起きてるのよ!」
「え、えぇ?(困惑)二人ともちょっとタフ過ぎやしませんかね?」
「皆さん、朝食出来ましたよ♪」
「あら美味しそう!昨日の運動のお陰でお腹空いてるのよね~♪」
「フン、腹が減っては戦は出来ぬ!リョースケいっぱい食べなさい。そして次のログインまで今度はマリーも一緒に悦ばせなさい」
「早速ですかミラさん♪嬉しいですー!」
「次のログインは2日後なんですが、それは…」
「ロイが聞いたら嫉妬で狂い死ぬわね~♪」
「聞いちゃいねぇよ。今ここに俺の死因が決定した…ところで、そろそろTシャツぐらい着ませんかね二人とも」
「「どうせすぐに脱ぐのに?」」
「い、いただきまーす」
「「「いただきます♪(意味深)」」」
現実逃避気味に俺はニュース番組のスイッチを押す。
目の前に立体映像で浮かび上がったニュースキャスターは主な情報を読み上げている。
『昨日、ユーロで行われた統一会議ではーーー』
「あの義体、まだ処分決まらないのな」
「ああ、火星で見つかった戦闘用義体ね。どうせワザと隠していやがったのだから火星にやらせればいいのよ」
「今の火星に払わせたら国が傾くわね~」
「そうですね、あの量を処分するとなると国家予算で賄えない金額になりますからね」
「そんな事よりリョースケ、早く食べなさい。たらふく食べなさい。それ食べなさい。やれ食べなさい。とにかく食べなさい」
「悪魔がおる…」
「こんな可愛くてあなたに夢中でちょっとスケベな悪魔は中々いないわよ?」
「ちょっと?」
「こんな可愛くてあなたに夢中でエロい事が大好きな小悪魔ちゃんは中々いないわよ?」
「言い直したよ」
『次のニュースです。昨年AP117付近で発見された、惑星ガイノスの本格的な調査が始まりました。こちらの映像をご覧下さい。』
APとはAnchor Pointの略で、簡単にいえば宇宙船がワープゲートを通過する際の目印だ。
通信の安定性を確保するためにも役立っている。
およそ50光年おきに設置されているそうだ。
惑星ガイノスは地球によく似た環境で発見当初、地球では既に枯渇している資源が埋蔵しているのでは、と注目されていた。
そこで宇宙開発省は、早速人工衛星をガイノス軌道上に設置。
2ヶ月程前、偵察ドローン数十機を放ったそうだ。
そのドローンからの映像が目の前に流れているのだが…
「これは…凄いな…」
俺は圧倒された。
思わず溜め息が漏れそうな、美しい風景がそこにはあった。
手付かずの大自然とは正にこのことかもしれない。
恐竜がいた時代を彷彿とさせる巨大な樹木。
どこまでも澄み切ったエメラルドグリーンの海。
美しい大空は、見ているだけで涙が出そうになる。
この地球も「地球野生化計画」なるプロジェクトが発足され、段々と地球の自然は元の姿を取り戻してはいるが、この星の風景はそんなもんじゃなかった。
「ハンティング・ワールドの世界みたいね」
そうなのだ、俺達が作ったハンティング・ワールドの世界観そのまま…いや、それ以上の風景だ。こういう世界で冒険したい!と想像した世界がそこにはあった。
「フフ、凄いわね。これでモンスターがいれば完璧よね♪」
「そうだな、まあ生物はいるだろうけど、流石にモンスターは…」
次の瞬間、空の映像を映していたドローンの画面が乱れ、ブラックアウトした。
その様子を捉えていた別のドローンからの映像に、俺達は唖然とする。
「「「ドラゴン?」」」
・負の遺産問題
統一国家が誕生する300年程前、宇宙に飛び出した人類は次第にその数を増やしていった。
地球以外の惑星に定住するようになった人口が20億人を突破した頃『月・火星間戦争』が勃発。
泥沼化した戦況は7年に渡り
戦争を長引かせ、ついには互いの最終兵器を持ち出す局面にまで至った。
その威力は惑星を滅ぼしかねない可能性を孕んでいたが、直前に完成した地球産の量子コンピューターHALがそれぞれの惑星のシステムと超兵器を掌握。
調停という名の脅迫で強引に終結させた。
終戦後に結ばれたHAL平和条約により全惑星(地球含む)で兵器の開発・製造を禁止。
それまでに作られた兵器は、各惑星の防衛システム(用途は主に巨大隕石の撃墜)と自衛用の兵器を残し、全て処分されることとなった。
しかし一昨年11月、火星の地下で惑星間戦争の生んだ負の遺産が発見される。
主に白兵戦で猛威を奮った殺戮兵器、戦闘用義体、通称《バーサーカー》が見つかったのだ。その数一億七千万体。
調停役の地球政府は当然没収したが、その莫大な処分費用に頭を悩まされている。
*******
最高の夜だった。
俺の横では二人の美女が裸で寝息を立てている。
『だらしない身体には欲情しないの』
ミラにそう言われて以来、それまでサボり気味だったトレーニングを再開。毎日2時間以上は充てていた。
鍛えておいて本当に良かった。
そうでなければ、昨夜二人からの猛攻に耐えきれなかったに違いない。
いやはや…それにしても、まさかバニーまで…
最高の夜だった(二度目)。
二人を起こさぬよう、そっとベッドから起きてリビングに向かう。
「あ!おはようございます、マスター」
「おはよー、マリー」
我が家の家政婦兼、秘書ヒューマノイド、マリーちゃんがエプロンを着て朝食の準備をしていた。
「コーヒーどうぞ!フフ、昨夜はお楽しみでしたね」
「何だい?マリーちゃんも混ざりたかった?」
「そうですね。複数プレイは未経験ですので、学習してみたいとは思っています」
「大胆かっ!…そうだな、ミラが許可すればね。まあ…昨日の感じだと断らないだろうけど」
「まあ!嬉しいです!その時は頑張りますね♪」
こんな感じでヒューマノイドは人間と変わりない豊かな表情と感情を持っている。
人工細胞で作られた義体は肌も髪の感触も人間のそれと変わらないし性感体だって搭載されている。流石はメイドインジャパン。
ちなみにマリーちゃんは逆輸入のような形で我が家に来た。
俺からしたら、もうどうみたって人間なのだが、人権を認めたがらない反ヒューマノイド派の気持ちが分からない。
『ヒューマノイドは人類の進化した姿だ』
なんて言う人もいるけど、あながち間違いじゃないと思う。
「どうしましたマスター?」
「いや、マリーは今日も可愛いなと思ってね」
「もう、マスターったら!」
ほらね?人間でしょ?
「何朝っぱらから自分とこのヒューマノイドナンパしてんのよ、このスケベは」
「あ、おはようございます!ミラさん」
「おはよーミラ。ナンパのつもりはないし、スケベはお前だ」
「おはようマリー、悪かったわね昨日は。耳に毒だったかしら?」
「フフ、正直少し妬いちゃいました。今度はマリーも混ぜて下さいね!」
「あら、見掛けによらず貪欲ねマリーは。いいわよ」
「マスター!許可が出ました!」
「断らないとは思ってたけど…あっさりし過ぎだろミラ。貪欲はお前だよ」
「うるさいリョースケ、うぬに拒否権などないと知れ!」
「何キャラだよ」
「ふわぁ~、おはよぉみんな」
「おはようございます!ヴァネッサさん」
「おはよマリーちゃん♪私のことはバニーでいいのよ?」
「記憶しました!ではバニーさんと呼ばせていただきますね!」
「なんだ、二人とももう少し寝てるかと思ったけど…」
「リョーちゃんもう一回襲おうと思ったら、いないんだもの♪」
「そうよ!リョースケが目を覚ましたら『え?朝っぱらから上に乗られてる?でも気持ちいいから、まあいっか』状態が理想的だったのよ!?何、先に起きてるのよ!」
「え、えぇ?(困惑)二人ともちょっとタフ過ぎやしませんかね?」
「皆さん、朝食出来ましたよ♪」
「あら美味しそう!昨日の運動のお陰でお腹空いてるのよね~♪」
「フン、腹が減っては戦は出来ぬ!リョースケいっぱい食べなさい。そして次のログインまで今度はマリーも一緒に悦ばせなさい」
「早速ですかミラさん♪嬉しいですー!」
「次のログインは2日後なんですが、それは…」
「ロイが聞いたら嫉妬で狂い死ぬわね~♪」
「聞いちゃいねぇよ。今ここに俺の死因が決定した…ところで、そろそろTシャツぐらい着ませんかね二人とも」
「「どうせすぐに脱ぐのに?」」
「い、いただきまーす」
「「「いただきます♪(意味深)」」」
現実逃避気味に俺はニュース番組のスイッチを押す。
目の前に立体映像で浮かび上がったニュースキャスターは主な情報を読み上げている。
『昨日、ユーロで行われた統一会議ではーーー』
「あの義体、まだ処分決まらないのな」
「ああ、火星で見つかった戦闘用義体ね。どうせワザと隠していやがったのだから火星にやらせればいいのよ」
「今の火星に払わせたら国が傾くわね~」
「そうですね、あの量を処分するとなると国家予算で賄えない金額になりますからね」
「そんな事よりリョースケ、早く食べなさい。たらふく食べなさい。それ食べなさい。やれ食べなさい。とにかく食べなさい」
「悪魔がおる…」
「こんな可愛くてあなたに夢中でちょっとスケベな悪魔は中々いないわよ?」
「ちょっと?」
「こんな可愛くてあなたに夢中でエロい事が大好きな小悪魔ちゃんは中々いないわよ?」
「言い直したよ」
『次のニュースです。昨年AP117付近で発見された、惑星ガイノスの本格的な調査が始まりました。こちらの映像をご覧下さい。』
APとはAnchor Pointの略で、簡単にいえば宇宙船がワープゲートを通過する際の目印だ。
通信の安定性を確保するためにも役立っている。
およそ50光年おきに設置されているそうだ。
惑星ガイノスは地球によく似た環境で発見当初、地球では既に枯渇している資源が埋蔵しているのでは、と注目されていた。
そこで宇宙開発省は、早速人工衛星をガイノス軌道上に設置。
2ヶ月程前、偵察ドローン数十機を放ったそうだ。
そのドローンからの映像が目の前に流れているのだが…
「これは…凄いな…」
俺は圧倒された。
思わず溜め息が漏れそうな、美しい風景がそこにはあった。
手付かずの大自然とは正にこのことかもしれない。
恐竜がいた時代を彷彿とさせる巨大な樹木。
どこまでも澄み切ったエメラルドグリーンの海。
美しい大空は、見ているだけで涙が出そうになる。
この地球も「地球野生化計画」なるプロジェクトが発足され、段々と地球の自然は元の姿を取り戻してはいるが、この星の風景はそんなもんじゃなかった。
「ハンティング・ワールドの世界みたいね」
そうなのだ、俺達が作ったハンティング・ワールドの世界観そのまま…いや、それ以上の風景だ。こういう世界で冒険したい!と想像した世界がそこにはあった。
「フフ、凄いわね。これでモンスターがいれば完璧よね♪」
「そうだな、まあ生物はいるだろうけど、流石にモンスターは…」
次の瞬間、空の映像を映していたドローンの画面が乱れ、ブラックアウトした。
その様子を捉えていた別のドローンからの映像に、俺達は唖然とする。
「「「ドラゴン?」」」
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