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◇くりかえしの一日:5◆
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……。
…………。
足音をたてず、能力的な意味あいで気配を消して、ひとりずつ、ひとりずつ。
あーもー、俺の痣も目とかにあればもっと楽なんじゃねーかコレ。
いや、常に眼帯しなきゃならんとか耐えられねーな。
ってか、常にしてたら街の人間に覚えられちまうだろうし。
ったくもー、アンナも万が一俺が失敗したらどーする気なんだよ。
『いいですわよねアズサ、あなたならできるわ、キアイがすべてでしてよ』
そう言って、わざわざ自分から敵に見つかるほうへ向かったアンナ。
気合って、おまえ……、気合ですべて解決するなら宇宙の法則はいらねーんだよ!
まぁそうして内心ぶつぶつ文句を言いながらも、俺はかっこつけた黒服がなんかレニに交換条件をつきつけてるうしろ、一人ずーつ意識に干渉していた。
なんでアンナがわざわざ敵に捕まったのかってのは、一番被害を――おもにガキのケガ的な意味で、減らすためだった。
それはさきほどのこと。
『んもうっ! レニひとりに行かせてしまうなんて! アズサ! 責任とりなさいな!』
『俺のせいかよっ!』
『監督不行き届きですわっ! このルートだと、グレーテルは瀕死になってしまいますのよっ! 幼い女の子ですのよ! 可哀想でしょうが!』
『レニ、いいかげんすこしは手加減ってものを覚えてくれねぇかなぁ』
『だまらっしゃい! とにかくアズサ、あなたにも責任がありますのよ! いいですわねっ!』
っていうのが、これの始まりであって――。
って、こいつで最後か。
十人ぐらいいた黒服の意識に干渉し、そこのリーダー格を敵だと思わせる。
「よし、行ってこいおまえら」
俺がそう言うと、そいつらがいっせいにリーダー格の男を押さえつけた。
「な、なんだ!? おまえたち! なにをしている!」
拳銃を取りあげ、縄で縛りあげる。
よし、これであとは……このグレーテルだけなんだが。
「や、やめないさよワルモノ! わたしたちの仲間にひどいことしないでっ!」
さっきおまえの顔面を銃弾がかすめたろーがと思いながら、俺はレニが押さえつけているグレーテルに近づく。
「いいからもう、おまえは寝てろ」
今、こいつの意識を元に戻すことはできる。
けどそれが正しいことだと――いや、ていうか、きっとヘンゼルとグレーテルの心が、それに耐えきれると思えなかった。
ぐったりして眠りはじめたグレーテルに、レニがおおきなため息を吐く。
「やーっと終わったー……って、終わってないか」
「むしろこれからですわね」
レニとアンナの言葉に、俺は憂鬱な気分になっていた。
そう、これからだ。
こいつらがなにをしでかしたのか、それが明らかになったら、こいつらの処遇が決まる。
それは最悪、死ぬってことかもしれないし、それに……。
仮に生きることになったとして、こいつらは自分の罪に耐えられるんだろうか?
それは俺の仕事になるんだが、俺はこいつらにどうしてやればいいのか、それを真剣に考えていた。
…………。
足音をたてず、能力的な意味あいで気配を消して、ひとりずつ、ひとりずつ。
あーもー、俺の痣も目とかにあればもっと楽なんじゃねーかコレ。
いや、常に眼帯しなきゃならんとか耐えられねーな。
ってか、常にしてたら街の人間に覚えられちまうだろうし。
ったくもー、アンナも万が一俺が失敗したらどーする気なんだよ。
『いいですわよねアズサ、あなたならできるわ、キアイがすべてでしてよ』
そう言って、わざわざ自分から敵に見つかるほうへ向かったアンナ。
気合って、おまえ……、気合ですべて解決するなら宇宙の法則はいらねーんだよ!
まぁそうして内心ぶつぶつ文句を言いながらも、俺はかっこつけた黒服がなんかレニに交換条件をつきつけてるうしろ、一人ずーつ意識に干渉していた。
なんでアンナがわざわざ敵に捕まったのかってのは、一番被害を――おもにガキのケガ的な意味で、減らすためだった。
それはさきほどのこと。
『んもうっ! レニひとりに行かせてしまうなんて! アズサ! 責任とりなさいな!』
『俺のせいかよっ!』
『監督不行き届きですわっ! このルートだと、グレーテルは瀕死になってしまいますのよっ! 幼い女の子ですのよ! 可哀想でしょうが!』
『レニ、いいかげんすこしは手加減ってものを覚えてくれねぇかなぁ』
『だまらっしゃい! とにかくアズサ、あなたにも責任がありますのよ! いいですわねっ!』
っていうのが、これの始まりであって――。
って、こいつで最後か。
十人ぐらいいた黒服の意識に干渉し、そこのリーダー格を敵だと思わせる。
「よし、行ってこいおまえら」
俺がそう言うと、そいつらがいっせいにリーダー格の男を押さえつけた。
「な、なんだ!? おまえたち! なにをしている!」
拳銃を取りあげ、縄で縛りあげる。
よし、これであとは……このグレーテルだけなんだが。
「や、やめないさよワルモノ! わたしたちの仲間にひどいことしないでっ!」
さっきおまえの顔面を銃弾がかすめたろーがと思いながら、俺はレニが押さえつけているグレーテルに近づく。
「いいからもう、おまえは寝てろ」
今、こいつの意識を元に戻すことはできる。
けどそれが正しいことだと――いや、ていうか、きっとヘンゼルとグレーテルの心が、それに耐えきれると思えなかった。
ぐったりして眠りはじめたグレーテルに、レニがおおきなため息を吐く。
「やーっと終わったー……って、終わってないか」
「むしろこれからですわね」
レニとアンナの言葉に、俺は憂鬱な気分になっていた。
そう、これからだ。
こいつらがなにをしでかしたのか、それが明らかになったら、こいつらの処遇が決まる。
それは最悪、死ぬってことかもしれないし、それに……。
仮に生きることになったとして、こいつらは自分の罪に耐えられるんだろうか?
それは俺の仕事になるんだが、俺はこいつらにどうしてやればいいのか、それを真剣に考えていた。
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