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第1章 アリシアの諜報活動
19 コーヒーと情報
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翌日、アリシアは仕事を終えてお風呂を済ませた後、隣室のリーゼに「相談に乗ってほしい事がある」と声を掛けた。すぐに出てきてくれたので、アリシアの部屋へ招いた。キッチンのテーブルの椅子に対面で腰かけると同時に、リーゼがしれっとした顔で口を開いた。
「相談ってどうしたの?ハルシュタイン将軍の事?」
「・・・ハルシュタイン将軍は関係ないの。事あるごとにハルシュタイン将軍って言うのやめて・・・」
今日は仕事でちょっとした事が気になり『教えて欲しいんだけど』と前置きした時も。雑談中に『そういえば』と言った後にどう説明するか考えている時も。応接室に飾られた花を見て『お花が可愛いわね』と言った時も。風が吹いて『秋風が爽やかね』と言った時も。リーゼが毎回小さい声でハルシュタイン将軍とそれらを関連付けて来たのだ。
ガックリと項垂れるアリシアに、リーゼはクスクスと笑った。
「だってミリィ、反応が可愛いんだもの」
「・・・そんなことないわよ」
ふいっと横を向いて拗ねる。子供っぽい挙動なのは自分でも分かっている。『可愛い』と言われて照れくさいのもあるが、今日一日揶揄われ続けたので、どうしても拗ねた気持ちになってしまう。
「ごめんごめん。ミリィっていつも凛とした雰囲気だから、こういう普段見られない一面が楽しくて。あ。そんなギャップにハルシュタイン将軍もやられちゃったのかしら」
再びハルシュタイン将軍を持ち出したリーゼに、アリシアは半目でジトリとみやる。
「そんな顔をしても可愛いだけよ。で?相談って?」
パーラー長エルゼの口癖を真似て言うリーゼに、アリシアは小さく「もう」と小さく抗議をした。
「・・・今って、王宮でコーヒーを淹れられる人、一人だけだったよね?」
「そうよ。でもシェフだから、忙しくてあまり頻繁には出来ないって。シェフも人足りてないからね。だから王宮でも募集はしてるんだけど、応募には全然来ないし、やっと応募があったと思っても王宮使用人としては条件に合わないしで、相変わらずみたい」
「もし、もう一人、今いる王宮使用人の中からコーヒーを淹れられる人が出たら?」
「・・・役職にもよると思うけど、魔王様がコーヒーをお好きだからねぇ。エレオノーラ様もカフェオレならお飲みになるし。可能な限りで魔王様方のご希望を優先するように、作業を割り振りされるんじゃない?」
「そうよね。・・・リズはもし自分がコーヒーを淹れられるようになったら、どう思う?」
「え?私が?」
驚いた顔でアリシアを見た後、リーゼは視線を上に向けて考え込んだ。
「そうねぇ・・・。もし私が淹れられるようになれば、色々と都合がいいわよね。パーラーとしてお客様にもお出しできるわ。エレオノーラ様の給仕も時々担当するし、魔王様が将軍と文官長とで会議する時もパーラーが数人で担当するじゃない?それにも参加したことがあるから、上の人達からもほどほどの信用はあるかな?と思うし」
「リズってパーラーの中で年齢的に若い世代だけど、その中では有望株だと私は思うのよ。だからほどほどの信用っていうのは、ちょっと過小評価じゃない?」
「ええ?お世辞はやめてよ」
ないない!と照れて手を振るリーゼに、アリシアはフフッと笑った。
「・・・じゃあ、リズ自身は自分でコーヒーを淹れられるようになったら、どう思う?」
「それは・・・嬉しいに決まってるじゃない」
目線を一旦上にあげて考える素振りをする。想像してみたのだろう。うん、と首を縦に振ると、真っすぐに目を合わせて言うリーゼに、アリシアは笑みを浮かべた。
「そうよね。・・・あのね。実は私、コーヒーの知識を持ってるの」
「・・・え!?」
「でも事情があって隠してるのよ。表沙汰になったらとても困る。もしかしたら王宮使用人を辞める事になるかもしれない」
「ええ!?」
2度も続けて驚いたせいか、声が大きいリーゼに、アリシアは苦笑して自分の口元に人差し指を置く。リーゼは口を手で覆って何度も頷いた。
「でも、やっぱり今の王宮を見てると、このまま隠しておくのもね・・・だからリズに代わってもらえないかなって」
「・・・代わるって?」
「私がリズにコーヒーの淹れ方と知識を教えるから、リズが王宮でコーヒーを淹れるの」
「・・・・・・ミリィはそれでいいの?」
気遣わし気な顔で見るリーゼに、アリシアは再び苦笑した。
「むしろその方が助かるんだって。さっきも言ったでしょ?私は王宮使用人でいたいから。でもその代わり、私がどこで習ったのかは深くは聞かないで欲しい。ただ、実家の近くで教わったとだけ」
「分かったわ」
諜報員として沢山の偽りの中にあるアリシアにとって、それは数少ない口に出して言える真実だ。
祖国神聖ルアンキリで、学生時代に家の近くの喫茶店が気に入り、本や教科書、課題を手に通っていた。段々とそこの店主と仲良くなり、コーヒーの事を教わるようになった。そんなアリシアの趣味の一つが、今こうして役立っている。何がどう転ぶか本当に分からないものだ。
「それと、これは本当に申し訳ないんだけど・・・私から教わったっていう事も内緒にしてほしいの。だからリズはしばらく休日の度に王宮の外まで出かけてもらえないかな?」
「休日に・・・?ああ、私が外で誰かに教わってるように見せかけるのね?」
「うん」
アリシアはドキドキと緊張と不安で脈打つ自分の鼓動を感じる。どうするか考えているリーゼを祈る気持ちで見つめた。
「ミリィがそれでいいなら、私は是非教えて欲しい」
「本当?良かった・・・!」
アリシアは心の底からホッとした。
リーゼの事は、その裏表のない性格のおかげで信用している。だけどやはり不安は不安だ。
世の中には、どれだけお願いして約束をしても、平気な顔で破る人もいる。困っている人を心の中で笑って見下す人もいる。人の気持ちも考えず自分勝手な人なんて数えきれない。学生時代にそんな人を沢山見てきた。
しかし今のリーゼのやる気に満ちた顔を見たら、それらは不要な心配だったと実感できた。
王宮側としても、リーゼがコーヒーを扱えるようになったらとても助かるだろう。既に王宮で働いているのだから、身辺調査も面接も新規雇用手続きも教育もいらない。
(それに、これで自然にリズから話が聞けるわ)
リーゼにお願いして良かったと、安堵の笑みを浮かべたアリシアは席を立った。
「じゃあ、今から早速やる?」
「え・・・?でも、コーヒーの豆とか買いに行かないと・・・」
「この前、街の喫茶店で売ってるのを見かけて、一式揃えたの。それで部屋で一人、こっそり淹れて飲んでた」
えっという顔をした後、リーゼはあははと笑った。
「もーそういう大胆で慎重なところもミリィらしいわ。じゃあお願いしようかな」
「うん。こっちに来て」
リーゼをキッチンに招いて、収納棚から豆やミルなどを取り出し、それぞれ説明する。今日は二人分なので、面倒くさがらずコーヒーサーバーも取り出した。
「今日は私が二人分淹れるから、リズは見ててね」
「うん、よろしく。しっかり見とく」
豆の分量。ミルで挽く時の粉の荒さで味が変わる事。お湯の温度にも注意が必要な事。ネルに粉を入れたら、まずは香りを引き出すために少量のお湯を注いで蒸らす必要がある事。その時のお湯の量と蒸らし時間で味が変化する事。その後のお湯の淹れ方もやり方が色々ある事。
今日は最初なので作業をしながらざっくりと説明をしていく。
「すごい。そんなに奥深いのね。だから適当に淹れても美味しくならないんだ」
「適当にやっても、ある程度のレベルにはなると思うけど、やっぱり専門家になるなら知識はないとね。自分で研究するのも楽しいわよ」
「うんうん!いいわね。私こういうの好きよ」
目をキラキラさせるリーゼに、アリシアはフフッと笑った。
コーヒーを落とし終わると、片付けを魔術で行なう。きっちり消臭もしておいた。
「じゃあ飲みますか。そういえば今更だけど、リーゼはコーヒー飲める人?」
「うん。あんまりにも苦いのは無理だけど、大抵は大丈夫よ」
言いながらテーブルへと戻り、二人共座ってからコーヒーを一口飲んだ。
(いつも通りの味ね)
説明しながらだったので、少し心配だったが大丈夫そうだ。アリシアはホッとしつつ香りを楽しみながらコーヒーをゆっくりと飲む。
「久しぶりに飲んだけど、美味しい。ミリィ上手ね。・・・半年くらい前だったかしら。高齢でお辞めになった元侍女長が、ご用事で登城された時にね。パーラーなのだから一度は飲んでみなさいって、私達に淹れてくださった事があったわ」
リーゼはそう言うと、カップを口許に寄せてコーヒーを香る。
「やっぱり、コーヒーって良い香り。早く自分で淹れられるようになりたい」
「リズならすぐよ。ただ単に淹れるだけなら、それほど難しくないもの」
「そう?」
「うん。今日みたいに時間が合う日はうちで練習すれば良いわ」
「・・・ありがとう。ミリィ」
互いに笑い合うと、アリシアはコップをテーブルに置いて口を開いた。
「そういえば話は変わるけど、今日は珍しい来客があったわね」
「そうだっけ?どなたの事?」
「グルオル地方の食糧管理補佐官・・・ホルツマンだったかしら」
「ああ!地方の食糧管理補佐官が来るなんて、って皆が話してたわね」
「地方からの嘆願って、通常は王宮の行政館に届いて、必要があれば行政館から文官長が魔王様に持って行くでしょ?でも地方の、しかも補佐官が直接来るなんて・・・」
「あれはね。聞いた話だと」
不自然にならないように、今日あった事を話題に出す。ついでに今日のハルシュタイン将軍への報告書にも書けるので一石二鳥だ。
「ええ!?何それ・・・・・・。そんなに大変なことになってたの・・・。それに随分おかしい話だけど、大丈夫なの?」
「魔王様に直訴されたから、きっと魔王様が対応されるわ。近いうちにアードラー文官長が呼ばれるんじゃない?食糧関係はあの方が担当だから」
自然とアードラー文官長の名前が出てきたので、アリシアは本題に入るためのを問いを投げかけた。
「アードラー文官長っていうと、昨日登城されてたわね。初めてお顔を拝見したわ」
「ああ、ミリィは初対面だったっけ。たまに登城されるから今後も見かけると思うわよ。・・・ああ、アードラー文官長で思い出した。昨日登城されて魔王様とのご用が終わった後、エレオノーラ様の所にも行ったのよ」
「え?エレオノーラ様に?」
エレオノーラは魔神エルトナからの依頼で、本の代筆をしている。文官長ならもしかして代筆に関係する事かな?とアリシアは思ったが、リーゼの嫌そうな顔を見て、そうではない事を察した。
「・・・どうかしたの?」
まさか既に何かあったのだろうか。アリシアは俄に緊張する。
リーゼは大きくため息を付いてから口を開いた。
「あろうことか、ヴュンシュマン将軍との縁談を持ってきたらしいの」
「・・・・・・は?」
アリシアは目を見開いてリーゼを凝視する。
(・・・何故今このタイミングでエレオノーラ様となの?その兄である魔王様の暗殺を企ててるのに?)
「意味分かんないわよね。リューベックにあんなことしておいて、まだ1年も経ってないのよ?エレオノーラ様もその事をご存知だから、その場でお断りしたけど・・・なかなか諦めてくれなくて、お帰り頂くのに時間かかったみたい」
全く失礼よね!と怒りながらリーゼはコーヒーを飲む。
「何故ヴュンシュマン将軍の縁談をアードラー文官長が?あのお二方って親しい間柄なの?」
ハルシュタイン将軍からは『アードラー文官長はヴュンシュマン将軍側』としか聞いていないし、本や新聞からもそういった情報を今のところ得られていない。どういった間柄なのだろうか。
「あのお二人、幼馴染らしいわよ」
「・・・なるほど」
「いくら幼馴染みでも、魔王様のお膝元で問題を起こした将軍よ?その上エレオノーラ様と面識すらないのに、縁談なんて持っていく?」
「え・・・?面識がないの?」
アリシアは眉を寄せて再びリーゼを凝視した。リーゼも顔を顰めて頷く。
「うん。そうらしいわよ。まぁ、身分差恋愛小説では良くあるじゃない?貴族は面識が無くても家同士の繋がりの為に結婚するって。でもこの国でそんな話聞いたことが無いわ」
確かに、とアリシアは思う。
魔国ティナドランでは恋愛かお見合いで結婚すると聞いている。本人の意思を無視した結婚は法律で禁じられていると、アリシアが今までに読んだ本にも記載があった。
(まさか、魔王様の妹であるエレオノーラ様と結婚しておけば、次の魔王になれるって考えてるとか・・・?)
さすがにそれはないように思えるのだが。しかしそれ以外に、魔王暗殺を計画しておきながらその妹と結婚する理由が思いつかない。
「ねえ、ミリィ」
考え込んでいたアリシアは、緊張したような、強張った声で呼ぶリーゼに視線を向ける。
「エレオノーラ様って、人を悪く言わないの。いつも明るくて元気で、そういうマイナスな発言はしない方なのよ。だから、もしかしたらアードラー文官長からヴュンシュマン将軍との結婚をしつこく勧められた事も、魔王様には伝えてないかもしれないって、今話しながら気付いて・・・」
アリシアは再び眉を寄せる。それは今の状況を考えると、非常に危険なのではないか。
「なんだか不安なの。今度はエレオノーラ様が被害に遭われるんじゃないかって・・・。ミリィはハルシュタイン将軍と文通してるでしょ?ハルシュタイン将軍にお話して、どうにかエレオノーラ様をお守りすることは出来ないかしら」
アリシアは軽く握った手を顔に寄せ、口元に折り曲げた人差し指を当てて考える。
ヴュンシュマン将軍の監視があるため、王宮にハルシュタイン将軍とリーネルト将軍の配下を置くことは出来ないと言っていた。
しかし兵士は将軍だけが持つものではない。魔王ギルベルトも近衛隊を持っている。
(魔王様が自ら動けば大きくなるから気付かれる、とは言ってたけど、王宮内の近衛兵の配置変更程度なら、それほど大きくならない、かな?)
今回警護するのは魔王ギルベルトではなく、その妹のエレオノーラだ。前に起こしたヴュンシュマン将軍の事件を思えば、面識もない相手との縁談が来た時点で警戒して当然だろう。
アリシアは口許に当てていた手を下ろすと、リーゼに頷いた。
「分かった。今日の分の手紙はこの後書く予定だから、伝えてみるわ。でも」
アリシアは一度言葉を止めて、リーゼを見る。
「ハルシュタイン将軍に伝えた事は誰にも話さないで欲しいの。もしヴュンシュマン将軍の耳に入ったら、恥をかかされたって理由で、将軍同士の争いになるかもしれない。そうなったら・・・武力衝突もあり得ない話じゃないわ」
「武力衝突!?」
声を抑えつつ驚くリーゼに、アリシアは頷く。
自分が魔王になるためだけに、魔王暗殺を企てる利己的な人物だ。エレオノーラの件もその計画の一環だと思うが、敵とみなしている勢力に妨害されたと知れば、逆上するかもしれない。その行く末に武力衝突にでもなったら、混乱に乗じて魔王ギルベルトの暗殺を決行するだろう。そうして正当性は自分にあるとでも主張しそうだ。そうなってはもう武力衝突ではなく内乱だ。
しかしリーゼにそんな話は出来ないので、詳細な理由は伝えないまま続ける。
「そうならないように、ハルシュタイン将軍なら上手に采配されると思う。だから私達は邪魔にならないように行動しないと」
「・・・そうね。その通りだわ。うん、分かった。誰にも言わない」
何度も頷いて同意するリーゼに、アリシアは笑みを浮かべた。彼女がこうして約束してくれたのなら、絶対に口外しないだろう。
「じゃ、これで怖い話はやめて、楽しい事でも話しましょ」
「・・・そうね。折角ミリィが淹れてくれた美味しいコーヒーもあるんだし」
アリシアは暗くなった場を変えようと、明るい声を出すと、リーゼも笑みを浮かべた。
「相談ってどうしたの?ハルシュタイン将軍の事?」
「・・・ハルシュタイン将軍は関係ないの。事あるごとにハルシュタイン将軍って言うのやめて・・・」
今日は仕事でちょっとした事が気になり『教えて欲しいんだけど』と前置きした時も。雑談中に『そういえば』と言った後にどう説明するか考えている時も。応接室に飾られた花を見て『お花が可愛いわね』と言った時も。風が吹いて『秋風が爽やかね』と言った時も。リーゼが毎回小さい声でハルシュタイン将軍とそれらを関連付けて来たのだ。
ガックリと項垂れるアリシアに、リーゼはクスクスと笑った。
「だってミリィ、反応が可愛いんだもの」
「・・・そんなことないわよ」
ふいっと横を向いて拗ねる。子供っぽい挙動なのは自分でも分かっている。『可愛い』と言われて照れくさいのもあるが、今日一日揶揄われ続けたので、どうしても拗ねた気持ちになってしまう。
「ごめんごめん。ミリィっていつも凛とした雰囲気だから、こういう普段見られない一面が楽しくて。あ。そんなギャップにハルシュタイン将軍もやられちゃったのかしら」
再びハルシュタイン将軍を持ち出したリーゼに、アリシアは半目でジトリとみやる。
「そんな顔をしても可愛いだけよ。で?相談って?」
パーラー長エルゼの口癖を真似て言うリーゼに、アリシアは小さく「もう」と小さく抗議をした。
「・・・今って、王宮でコーヒーを淹れられる人、一人だけだったよね?」
「そうよ。でもシェフだから、忙しくてあまり頻繁には出来ないって。シェフも人足りてないからね。だから王宮でも募集はしてるんだけど、応募には全然来ないし、やっと応募があったと思っても王宮使用人としては条件に合わないしで、相変わらずみたい」
「もし、もう一人、今いる王宮使用人の中からコーヒーを淹れられる人が出たら?」
「・・・役職にもよると思うけど、魔王様がコーヒーをお好きだからねぇ。エレオノーラ様もカフェオレならお飲みになるし。可能な限りで魔王様方のご希望を優先するように、作業を割り振りされるんじゃない?」
「そうよね。・・・リズはもし自分がコーヒーを淹れられるようになったら、どう思う?」
「え?私が?」
驚いた顔でアリシアを見た後、リーゼは視線を上に向けて考え込んだ。
「そうねぇ・・・。もし私が淹れられるようになれば、色々と都合がいいわよね。パーラーとしてお客様にもお出しできるわ。エレオノーラ様の給仕も時々担当するし、魔王様が将軍と文官長とで会議する時もパーラーが数人で担当するじゃない?それにも参加したことがあるから、上の人達からもほどほどの信用はあるかな?と思うし」
「リズってパーラーの中で年齢的に若い世代だけど、その中では有望株だと私は思うのよ。だからほどほどの信用っていうのは、ちょっと過小評価じゃない?」
「ええ?お世辞はやめてよ」
ないない!と照れて手を振るリーゼに、アリシアはフフッと笑った。
「・・・じゃあ、リズ自身は自分でコーヒーを淹れられるようになったら、どう思う?」
「それは・・・嬉しいに決まってるじゃない」
目線を一旦上にあげて考える素振りをする。想像してみたのだろう。うん、と首を縦に振ると、真っすぐに目を合わせて言うリーゼに、アリシアは笑みを浮かべた。
「そうよね。・・・あのね。実は私、コーヒーの知識を持ってるの」
「・・・え!?」
「でも事情があって隠してるのよ。表沙汰になったらとても困る。もしかしたら王宮使用人を辞める事になるかもしれない」
「ええ!?」
2度も続けて驚いたせいか、声が大きいリーゼに、アリシアは苦笑して自分の口元に人差し指を置く。リーゼは口を手で覆って何度も頷いた。
「でも、やっぱり今の王宮を見てると、このまま隠しておくのもね・・・だからリズに代わってもらえないかなって」
「・・・代わるって?」
「私がリズにコーヒーの淹れ方と知識を教えるから、リズが王宮でコーヒーを淹れるの」
「・・・・・・ミリィはそれでいいの?」
気遣わし気な顔で見るリーゼに、アリシアは再び苦笑した。
「むしろその方が助かるんだって。さっきも言ったでしょ?私は王宮使用人でいたいから。でもその代わり、私がどこで習ったのかは深くは聞かないで欲しい。ただ、実家の近くで教わったとだけ」
「分かったわ」
諜報員として沢山の偽りの中にあるアリシアにとって、それは数少ない口に出して言える真実だ。
祖国神聖ルアンキリで、学生時代に家の近くの喫茶店が気に入り、本や教科書、課題を手に通っていた。段々とそこの店主と仲良くなり、コーヒーの事を教わるようになった。そんなアリシアの趣味の一つが、今こうして役立っている。何がどう転ぶか本当に分からないものだ。
「それと、これは本当に申し訳ないんだけど・・・私から教わったっていう事も内緒にしてほしいの。だからリズはしばらく休日の度に王宮の外まで出かけてもらえないかな?」
「休日に・・・?ああ、私が外で誰かに教わってるように見せかけるのね?」
「うん」
アリシアはドキドキと緊張と不安で脈打つ自分の鼓動を感じる。どうするか考えているリーゼを祈る気持ちで見つめた。
「ミリィがそれでいいなら、私は是非教えて欲しい」
「本当?良かった・・・!」
アリシアは心の底からホッとした。
リーゼの事は、その裏表のない性格のおかげで信用している。だけどやはり不安は不安だ。
世の中には、どれだけお願いして約束をしても、平気な顔で破る人もいる。困っている人を心の中で笑って見下す人もいる。人の気持ちも考えず自分勝手な人なんて数えきれない。学生時代にそんな人を沢山見てきた。
しかし今のリーゼのやる気に満ちた顔を見たら、それらは不要な心配だったと実感できた。
王宮側としても、リーゼがコーヒーを扱えるようになったらとても助かるだろう。既に王宮で働いているのだから、身辺調査も面接も新規雇用手続きも教育もいらない。
(それに、これで自然にリズから話が聞けるわ)
リーゼにお願いして良かったと、安堵の笑みを浮かべたアリシアは席を立った。
「じゃあ、今から早速やる?」
「え・・・?でも、コーヒーの豆とか買いに行かないと・・・」
「この前、街の喫茶店で売ってるのを見かけて、一式揃えたの。それで部屋で一人、こっそり淹れて飲んでた」
えっという顔をした後、リーゼはあははと笑った。
「もーそういう大胆で慎重なところもミリィらしいわ。じゃあお願いしようかな」
「うん。こっちに来て」
リーゼをキッチンに招いて、収納棚から豆やミルなどを取り出し、それぞれ説明する。今日は二人分なので、面倒くさがらずコーヒーサーバーも取り出した。
「今日は私が二人分淹れるから、リズは見ててね」
「うん、よろしく。しっかり見とく」
豆の分量。ミルで挽く時の粉の荒さで味が変わる事。お湯の温度にも注意が必要な事。ネルに粉を入れたら、まずは香りを引き出すために少量のお湯を注いで蒸らす必要がある事。その時のお湯の量と蒸らし時間で味が変化する事。その後のお湯の淹れ方もやり方が色々ある事。
今日は最初なので作業をしながらざっくりと説明をしていく。
「すごい。そんなに奥深いのね。だから適当に淹れても美味しくならないんだ」
「適当にやっても、ある程度のレベルにはなると思うけど、やっぱり専門家になるなら知識はないとね。自分で研究するのも楽しいわよ」
「うんうん!いいわね。私こういうの好きよ」
目をキラキラさせるリーゼに、アリシアはフフッと笑った。
コーヒーを落とし終わると、片付けを魔術で行なう。きっちり消臭もしておいた。
「じゃあ飲みますか。そういえば今更だけど、リーゼはコーヒー飲める人?」
「うん。あんまりにも苦いのは無理だけど、大抵は大丈夫よ」
言いながらテーブルへと戻り、二人共座ってからコーヒーを一口飲んだ。
(いつも通りの味ね)
説明しながらだったので、少し心配だったが大丈夫そうだ。アリシアはホッとしつつ香りを楽しみながらコーヒーをゆっくりと飲む。
「久しぶりに飲んだけど、美味しい。ミリィ上手ね。・・・半年くらい前だったかしら。高齢でお辞めになった元侍女長が、ご用事で登城された時にね。パーラーなのだから一度は飲んでみなさいって、私達に淹れてくださった事があったわ」
リーゼはそう言うと、カップを口許に寄せてコーヒーを香る。
「やっぱり、コーヒーって良い香り。早く自分で淹れられるようになりたい」
「リズならすぐよ。ただ単に淹れるだけなら、それほど難しくないもの」
「そう?」
「うん。今日みたいに時間が合う日はうちで練習すれば良いわ」
「・・・ありがとう。ミリィ」
互いに笑い合うと、アリシアはコップをテーブルに置いて口を開いた。
「そういえば話は変わるけど、今日は珍しい来客があったわね」
「そうだっけ?どなたの事?」
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「地方からの嘆願って、通常は王宮の行政館に届いて、必要があれば行政館から文官長が魔王様に持って行くでしょ?でも地方の、しかも補佐官が直接来るなんて・・・」
「あれはね。聞いた話だと」
不自然にならないように、今日あった事を話題に出す。ついでに今日のハルシュタイン将軍への報告書にも書けるので一石二鳥だ。
「ええ!?何それ・・・・・・。そんなに大変なことになってたの・・・。それに随分おかしい話だけど、大丈夫なの?」
「魔王様に直訴されたから、きっと魔王様が対応されるわ。近いうちにアードラー文官長が呼ばれるんじゃない?食糧関係はあの方が担当だから」
自然とアードラー文官長の名前が出てきたので、アリシアは本題に入るためのを問いを投げかけた。
「アードラー文官長っていうと、昨日登城されてたわね。初めてお顔を拝見したわ」
「ああ、ミリィは初対面だったっけ。たまに登城されるから今後も見かけると思うわよ。・・・ああ、アードラー文官長で思い出した。昨日登城されて魔王様とのご用が終わった後、エレオノーラ様の所にも行ったのよ」
「え?エレオノーラ様に?」
エレオノーラは魔神エルトナからの依頼で、本の代筆をしている。文官長ならもしかして代筆に関係する事かな?とアリシアは思ったが、リーゼの嫌そうな顔を見て、そうではない事を察した。
「・・・どうかしたの?」
まさか既に何かあったのだろうか。アリシアは俄に緊張する。
リーゼは大きくため息を付いてから口を開いた。
「あろうことか、ヴュンシュマン将軍との縁談を持ってきたらしいの」
「・・・・・・は?」
アリシアは目を見開いてリーゼを凝視する。
(・・・何故今このタイミングでエレオノーラ様となの?その兄である魔王様の暗殺を企ててるのに?)
「意味分かんないわよね。リューベックにあんなことしておいて、まだ1年も経ってないのよ?エレオノーラ様もその事をご存知だから、その場でお断りしたけど・・・なかなか諦めてくれなくて、お帰り頂くのに時間かかったみたい」
全く失礼よね!と怒りながらリーゼはコーヒーを飲む。
「何故ヴュンシュマン将軍の縁談をアードラー文官長が?あのお二方って親しい間柄なの?」
ハルシュタイン将軍からは『アードラー文官長はヴュンシュマン将軍側』としか聞いていないし、本や新聞からもそういった情報を今のところ得られていない。どういった間柄なのだろうか。
「あのお二人、幼馴染らしいわよ」
「・・・なるほど」
「いくら幼馴染みでも、魔王様のお膝元で問題を起こした将軍よ?その上エレオノーラ様と面識すらないのに、縁談なんて持っていく?」
「え・・・?面識がないの?」
アリシアは眉を寄せて再びリーゼを凝視した。リーゼも顔を顰めて頷く。
「うん。そうらしいわよ。まぁ、身分差恋愛小説では良くあるじゃない?貴族は面識が無くても家同士の繋がりの為に結婚するって。でもこの国でそんな話聞いたことが無いわ」
確かに、とアリシアは思う。
魔国ティナドランでは恋愛かお見合いで結婚すると聞いている。本人の意思を無視した結婚は法律で禁じられていると、アリシアが今までに読んだ本にも記載があった。
(まさか、魔王様の妹であるエレオノーラ様と結婚しておけば、次の魔王になれるって考えてるとか・・・?)
さすがにそれはないように思えるのだが。しかしそれ以外に、魔王暗殺を計画しておきながらその妹と結婚する理由が思いつかない。
「ねえ、ミリィ」
考え込んでいたアリシアは、緊張したような、強張った声で呼ぶリーゼに視線を向ける。
「エレオノーラ様って、人を悪く言わないの。いつも明るくて元気で、そういうマイナスな発言はしない方なのよ。だから、もしかしたらアードラー文官長からヴュンシュマン将軍との結婚をしつこく勧められた事も、魔王様には伝えてないかもしれないって、今話しながら気付いて・・・」
アリシアは再び眉を寄せる。それは今の状況を考えると、非常に危険なのではないか。
「なんだか不安なの。今度はエレオノーラ様が被害に遭われるんじゃないかって・・・。ミリィはハルシュタイン将軍と文通してるでしょ?ハルシュタイン将軍にお話して、どうにかエレオノーラ様をお守りすることは出来ないかしら」
アリシアは軽く握った手を顔に寄せ、口元に折り曲げた人差し指を当てて考える。
ヴュンシュマン将軍の監視があるため、王宮にハルシュタイン将軍とリーネルト将軍の配下を置くことは出来ないと言っていた。
しかし兵士は将軍だけが持つものではない。魔王ギルベルトも近衛隊を持っている。
(魔王様が自ら動けば大きくなるから気付かれる、とは言ってたけど、王宮内の近衛兵の配置変更程度なら、それほど大きくならない、かな?)
今回警護するのは魔王ギルベルトではなく、その妹のエレオノーラだ。前に起こしたヴュンシュマン将軍の事件を思えば、面識もない相手との縁談が来た時点で警戒して当然だろう。
アリシアは口許に当てていた手を下ろすと、リーゼに頷いた。
「分かった。今日の分の手紙はこの後書く予定だから、伝えてみるわ。でも」
アリシアは一度言葉を止めて、リーゼを見る。
「ハルシュタイン将軍に伝えた事は誰にも話さないで欲しいの。もしヴュンシュマン将軍の耳に入ったら、恥をかかされたって理由で、将軍同士の争いになるかもしれない。そうなったら・・・武力衝突もあり得ない話じゃないわ」
「武力衝突!?」
声を抑えつつ驚くリーゼに、アリシアは頷く。
自分が魔王になるためだけに、魔王暗殺を企てる利己的な人物だ。エレオノーラの件もその計画の一環だと思うが、敵とみなしている勢力に妨害されたと知れば、逆上するかもしれない。その行く末に武力衝突にでもなったら、混乱に乗じて魔王ギルベルトの暗殺を決行するだろう。そうして正当性は自分にあるとでも主張しそうだ。そうなってはもう武力衝突ではなく内乱だ。
しかしリーゼにそんな話は出来ないので、詳細な理由は伝えないまま続ける。
「そうならないように、ハルシュタイン将軍なら上手に采配されると思う。だから私達は邪魔にならないように行動しないと」
「・・・そうね。その通りだわ。うん、分かった。誰にも言わない」
何度も頷いて同意するリーゼに、アリシアは笑みを浮かべた。彼女がこうして約束してくれたのなら、絶対に口外しないだろう。
「じゃ、これで怖い話はやめて、楽しい事でも話しましょ」
「・・・そうね。折角ミリィが淹れてくれた美味しいコーヒーもあるんだし」
アリシアは暗くなった場を変えようと、明るい声を出すと、リーゼも笑みを浮かべた。
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