どうやら勇者に寝返る魔王の側近だけども【R18】

梅乃屋

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ルキフェル視点

06

 


「下位天使って基本的に純粋で従順なのよ。嘘すらつけないの。だってそう作ったから」

 豊かな紫色の髪を弄りながら私にそう言ってきたのは、時空の神。

 あれから五年。
 ミラはやはり自分の空間から出て来てはくれなかった。
 私はこの魔界序列第一位の座を保持し、一ヶ月後の戴冠式でサタンから全てを継承するばかりだった。

 時空の神が言いたいのは、例えミラを連れ出しても私を受け入れず衰弱させるだけだと。彼女は魔界人となった今でもその精神は変わらず、天使としての生き方しか持っていない。そういう事らしい。

「だからね。選択としてはこのまま魂に還してあげるか、もしくは、天使の記憶をさっぱり消してあげるかの二択だと思うの」

 どっちにする?
 艶やかな唇に弧を描き、まるで遊戯を楽しむように選択を迫る。
 神というのは本当に戯れ好きだ。

 記憶が無くなればそれはもうミラではなく、別の魔界人である。ただ、時空の神が言うには記憶を奪うのではなく、奥底に眠らせるだけだと。受け入れられる精神を持てば思い出す可能性があると。

「一生思い出さない可能性もあるけどね♪」

 ねぇ、ルキちゃんどうする?

 私の選択を実に楽しそうな顔で見つめる時空の神。

 私が何のためにこの座を獲得したのか知っているにも拘らず、したり顔で問う好奇心旺盛な神。
 多少の苛立ちを覚えたが神に悪態を吐く訳にはいかない。
 私は迷う事なく選択した。



 私は時空の神の力でミラの閉じこもった空間へ足を運んだ。

 真っ白で、何もない空間。
 そこにぽつんと膝を抱える私の天使。

 久々の再会に駆け寄ると、彼女は小さく怯えた。

「ルキ様…!どうやってここに…?」

 堪えきれずミラの体を抱き締めると、僅かに残った背中の羽根がぱさりと床に落ち、大量に散らばった羽根の残骸と溶けあった。
 ミラの痩せ細った体が身動ぐのを制して、私をどうか受け入れて貰えないか尋ねた。

 答えは否だった。

 わかってはいたが、辛かった。

「ルキ様。私は初めてルキ様を見た時から憧れていました。沢山の天使に囲まれ敬われ、人間達にも崇拝される熾天使様を遠くからずっと眺めていたんです。私はそんなルキ様を穢すくらいなら、魂に還る事を選びます」

「私の全てをお前に捧げると言っても、ダメなのか?」

 ミラは小さく笑い、骨だけになった背中の翼を見て、受け止めきれないと顔を顰めた。

 私はしばらくこの純粋な天使を抱きしめていた。
 可憐で無垢で、そして私だけを見つめる私の天使だ。

「ミラ。ずっと私の傍に居てくれないか」

「ルキ様……駄目です。お願いですから、私をこのまま眠らせてください」

 お願い…。
 そういってピンクの混じった瞳から、大粒の涙をとめどなく流すミラ。
 堪えきれず彼女の頬を掬い、涙で濡れた顔にキスを落とし唇を奪う。

 小さく呻く彼女を掻き抱き、口蓋を舐め上げ舌で貪った。
 絡み合う舌に抗えず、ミラは恍惚とした表情で私の唾液を啜り貪る。

 体が欲していたものを吸収すると、彼女の顔色が少しずつ色付いてきた。
 夢中で私の口付けを受け取り、小さな手で服を掴む手の力が和らぐ。

 それでも

 彼女は私を拒んだ。


 私は時空の神へ合図を送る。

「ミラ。私の全てはお前のものだ。何が起ころうともこの誓いは破らない」

 だから。

 私の傍にいて欲しい。



 時空の神の指がミラに向けられる。

 ミラは突然現れた神に気付き、目を瞠った。
 同時にミラの視線は空を舞い、全ての動きが止まるとそのまま眠りについた。

「記憶は閉じ込めたわよ。目が覚めたら、ルキちゃんの知らないミラになってるわ」
 時空の神はミラの髪を撫で付け、額にキスを落とした。

「感謝する」
「そうね。大事になさい。何たって私の娘だからね」

 そのまま私達はミラの空間を後にした。

 私の腕の中で眠る、可愛い私の天使。
 私に付いてきたばかりに堕天し、魔界人となり翼を失くしてしまった。


 目が覚めたら、


 たっぷりと愛してあげよう。




 ◆




 美しい睫毛が揺れる。

 あぁもうすぐ目を覚まして私を見つめてくれるのだと思うと、心が弾んだ。

 私はミラをベッドへ寝かせ、彼女が目覚めるのを何日も待った。
 時折ゼブルやサタンが様子を見にきていたが、飽きて何処かへ去っていく。それでも私はミラの傍を離れず彼女が目覚めるのを待った。

 目を覚ました瞬間、私を見て欲しい。
 まるで親鳥が雛に刷り込みをするような感覚に自嘲したが、ほぼそれだ。

 はぁ、と大きく息を吐き出し、彼女の可愛い唇が震えた。

 睡たげな瞼が二、三度瞬き、目を覚ます。

 ミラ。

 驚かせてはいけないと、私は静かに彼女の目覚めを待った。
 彼女は周囲を目で追い、やがて私を認識した。

「だれ?」

 可愛い声で紡いだ言葉は胸に突き刺さった。
 だがそれでも構わない。時間はたっぷりあるのだから、これから私との時間を過ごせば良い。

「ルキフェルだ。次代の魔王となる者だ」

 そう答えると彼女は慌てて平伏した。
 どこまでの記憶と知識が残っているのか、きちんと時空の神と打ち合わせをしておくべきだったな。

「お前は私の側仕えだ。名前は思い出せるか?」
 そう問うと、彼女は逡巡し思い出したようにミラと名乗った。

 そして痩せ細った自分の姿に茫然とし、渇きを感じたのだろう体を捩らせ恥ずかしそうに甘い息を吐いた。

「渇いているのか?」

 ミラは発情し、顔を紅潮させながら答えた。
「はい。……その、とても………」

「では今後一切私以外の者に触れないと約束するなら、私が与えよう」

 余程渇いていたのか、夢魔には過酷な条件であるにも拘らず、彼女は目の前にぶら下げたエサに飛びついた。

 私も幾度となく他人の交合を見てきたが実践するのは初めてで、ミラを傷付けないか不安だったが杞憂だった。

 彼女の痩せ細った体を撫で上げ、味わい、夢中で貪る。
 形の良い可愛らしい唇、慎ましい胸とその先端にある尖り。柔らかく官能的な蜜を出す、誰にも暴かれたことのない花弁も、全てを私が堪能した。
 属性的な本能なのか、触れるたびにミラは悦び震えて私が欲しいと囁く。

 彼女のナカヘ禊を挿れると熱くて狭くて、控えめに言って最高だった。

 正直天使をやめて良かったとこの時初めて感じた瞬間でもあった。
 何度も何度も私の精を与え、彼女が満足する頃にはあばらの浮いていた体が、男を誘う肉感的な姿に変貌していた。
 骨だけになっていた背中の翼は黒く艶のある皮膜となり、尻には可愛らしい尻尾が生えていて、それを撫でると興奮するようだ。

 かつてあどけない笑顔を見せていたミラは消えてしまったが、それでもこの子はミラだ。
 好きだったイチゴを口移しで与えると、甘い息を吐き咀嚼するミラ。以前の彼女なら考えられない行為だが、今なら私の好きなように懐柔できる。
 楽しみで仕方がない。



 可憐で純粋な私だけの天使。
 私だけを見て、私だけを渇望する、

 憐れな元天使。

 もし記憶が戻る時が来たら、私を軽蔑するだろうか?


 それでも私はこの憐れな天使を離してやれない。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



愛が重いのはルキの方だったのかも:(;゛゜'ω゜'):
これにてルキ編は終わりです。ご精読ありがとうございます♡
次回からはまた主人公視点に戻りますので、よろしければもう少しお付き合いくださいませ(^人^)


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