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第9幕 奏でられない音
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昼頃、扉をノックして母さんが入ってきた。
「友和。お昼ご飯できたわよ。」
「降りていらっしゃい。」
失敗した。
いらないって言っておけばよかった。
でも、母さんがせっかく用意してくれたんだ。
残すわけにはいかない。
「ありがとう。」
俺は部屋から出て、階段を降りた。
ミートソースのスパゲッティだ。
前は好きだったが、最近食べてない。
割と量が多い……。
1.5人分はあるんじゃないか?
昔から母さんはたくさん食べて大きくなりなさいが口癖だったから、量が多い時がある。
「いただきます…。」
スパゲッティをお茶で無理矢理流し込む。
これは食べるというより、胃の中に押し込んでいるようだ。
「夜ご飯はどうする?」
「大丈夫……。多分学とどっかで食べてくから。」
「そう……。学君によろしく伝えておいてね。」
母は何か言いたそうだった。
多分綾葉の件だ。
今の交際相手と殺されたことをニュースで知ったんだろう。
なんて言葉をかけようかわからないみたいだ。
「ただいま~。」
沙和子が帰ってきたみたいだ。
「お帰りなさい沙和子。」
「お昼ご飯は?」
「大丈夫だよ。済ましてきたから。」
「あ………友和じゃん!ニュース見たよ!」
最悪だ。
「大沢さん殺されたんだって?」
「交際相手と殺されたって聞いたけど捨てられて頭きちゃったんだー。こわ。」
違う俺は何もしてない。
あいつらがどうなったて俺は…。
ぐっと堪える。
何を言っても信じてもらえそうにない。
「やめなさい!沙和子!」
「友和が……あんなことするわけないでしょ…。」
母さん嘘をつかないでくれ。
母さんも俺のこと疑ってるくせに…。
「えー。でも1番怪しいのこいつじゃん。」
「困るんだけど……。家族にイカれた人殺しがいるの。」
「沙和子!」
母さんが怒鳴った。
あまり怒鳴らない母を見て沙和子は黙った。
数秒の沈黙の中、沙和子が口を開いた。
「はいはい。ちょっとした冗談じゃん…。」
「私部屋にいるから。」
沙和子はそう言って去っていった。
「友和。あなたじゃないんでしょう?」
「私は信じてるからね…。」
嘘はやめてくれ。
俺を見る目と言ってる言葉が違うじゃないか…。
「俺…学との待ち合わせ時間まで部屋にいるよ…。」
「ご馳走様。」
「友和…。」
俺は部屋に戻ってベッドに横たわった。
俺の目の前にベースが置いてある。
すっかり弦が錆び付いてしまった。
学生時代弾いてたけど、センス無かったなぁ…。
ギターボーカルの学、リードギターは武、ドラムは綾葉だった。
学は歌が上手いだけでなくギターもしっかりこなしてたし、綾葉はかなり細身なのにパワフルなドラムだった。
武はギターがとても上手かった。
それだけ音楽への情熱が俺らよりも強かった。それで高校卒業後に1人で音楽やっていくって、音信不通になったんだ……。
今どこで何をしてるんだろう?
もうあの頃には戻れないな…。
そう思い目を閉じた。
「友和。お昼ご飯できたわよ。」
「降りていらっしゃい。」
失敗した。
いらないって言っておけばよかった。
でも、母さんがせっかく用意してくれたんだ。
残すわけにはいかない。
「ありがとう。」
俺は部屋から出て、階段を降りた。
ミートソースのスパゲッティだ。
前は好きだったが、最近食べてない。
割と量が多い……。
1.5人分はあるんじゃないか?
昔から母さんはたくさん食べて大きくなりなさいが口癖だったから、量が多い時がある。
「いただきます…。」
スパゲッティをお茶で無理矢理流し込む。
これは食べるというより、胃の中に押し込んでいるようだ。
「夜ご飯はどうする?」
「大丈夫……。多分学とどっかで食べてくから。」
「そう……。学君によろしく伝えておいてね。」
母は何か言いたそうだった。
多分綾葉の件だ。
今の交際相手と殺されたことをニュースで知ったんだろう。
なんて言葉をかけようかわからないみたいだ。
「ただいま~。」
沙和子が帰ってきたみたいだ。
「お帰りなさい沙和子。」
「お昼ご飯は?」
「大丈夫だよ。済ましてきたから。」
「あ………友和じゃん!ニュース見たよ!」
最悪だ。
「大沢さん殺されたんだって?」
「交際相手と殺されたって聞いたけど捨てられて頭きちゃったんだー。こわ。」
違う俺は何もしてない。
あいつらがどうなったて俺は…。
ぐっと堪える。
何を言っても信じてもらえそうにない。
「やめなさい!沙和子!」
「友和が……あんなことするわけないでしょ…。」
母さん嘘をつかないでくれ。
母さんも俺のこと疑ってるくせに…。
「えー。でも1番怪しいのこいつじゃん。」
「困るんだけど……。家族にイカれた人殺しがいるの。」
「沙和子!」
母さんが怒鳴った。
あまり怒鳴らない母を見て沙和子は黙った。
数秒の沈黙の中、沙和子が口を開いた。
「はいはい。ちょっとした冗談じゃん…。」
「私部屋にいるから。」
沙和子はそう言って去っていった。
「友和。あなたじゃないんでしょう?」
「私は信じてるからね…。」
嘘はやめてくれ。
俺を見る目と言ってる言葉が違うじゃないか…。
「俺…学との待ち合わせ時間まで部屋にいるよ…。」
「ご馳走様。」
「友和…。」
俺は部屋に戻ってベッドに横たわった。
俺の目の前にベースが置いてある。
すっかり弦が錆び付いてしまった。
学生時代弾いてたけど、センス無かったなぁ…。
ギターボーカルの学、リードギターは武、ドラムは綾葉だった。
学は歌が上手いだけでなくギターもしっかりこなしてたし、綾葉はかなり細身なのにパワフルなドラムだった。
武はギターがとても上手かった。
それだけ音楽への情熱が俺らよりも強かった。それで高校卒業後に1人で音楽やっていくって、音信不通になったんだ……。
今どこで何をしてるんだろう?
もうあの頃には戻れないな…。
そう思い目を閉じた。
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