10年後も生きる為に、特種素材を求めて、異世界を旅する事になりました。《仮》

夕刻の灯

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第3章・炎帝龍の山

十話・蜂と蜘蛛そして、熊再び

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ホームワールドの新たな空間
階層のガーデニング・ガーデン
オレの目の前には、一面の花畑が広がっていた。

「ボルドーこの花畑は、一体どうしたんだ?」
『それはですね。彼らが頑張ってくれたんですよ。』

彼らって?
ボルドーは、横を向いて顎をグイっと向けた
その先には、以前見た物に似たものがあった
それは、巨大な蜂の巣
その蜂の巣の前には、以前出会った魔物
蜂と蜘蛛が居た。
器用に手?足?をこっちに振ってくれた。
それにオレも手を振って応える。

「彼らってこの子たちの事か?」
『そうですが、それだけではありませんよ?』

へ?蜂と蜘蛛以外にも居るの?

『うん?ああ、まさに噂をすればってヤツですね。来ましたよ。』

端の方から、近づいて来る
赤茶色の大きな体に縦にラインが入ってる

「さっきの熊?」
『そうです。この階層の花畑の土の運び入れを手伝ってくれました。』

この広大な花畑の土を運び入れたのか?
すごいな

「でも何で手伝ってくれたんだ?」
『それはですね。彼を見てもらえば分かりますよ。』

え⁉︎すでにがっつり姿が見えてるし、見たよ?
どこか違う所があるのかなぁ~?
う~ん?

「うん?アレ?顔の傷跡が無いよ?」

二本入ってて、目が塞がってたはずなのに
今じゃ、青い目が両方ともこちらを見ている

『そうです。カーディナルがキュアで治したんです。』

キュア⁉︎確かにそれなら、傷跡が治っているのも頷けるな
しかし…

「なら、さっきの二人にしたヤツだけじゃなかったの⁉︎」
『そうです。彼が私達を手伝いたいと申しましたので、ならばっとカーディナルが治したんですよ。』

なら…カーディナルは、1日に三人分もキュアを使ったのか?

「ひょっとして、カーディナルが寝込んでるのって…」
『そうですが、そうじゃありませんよ?』

他にも原因が何かあるのか?

『…まだ…カーディナルは、キュアをうまく使えないんだそうですよ。』
「うまく使えない?」

どういう意味だろう?
さっきの二人にしたキュア
何も問題なさそうだったけど?

『医の神の所で練習したらしいのですが、使い熟すには何度も使い込む事で、術を知る必要があるんだとか』

何度も使い込む必要か…
体で覚えるようなものだろうか?

『…やはり、治癒魔法は使うには、極めて難しくこの世界イレベリアでも使い手は数少ないのです。』
「そうなんだ…やっぱり、カーディナルには、無茶をさせてしまったな…」

本当にカーディナルには、申し訳ない。

『アイ様あまり、気にし過ぎないで下さい。』

しかし、実際にカーディナルに無理をさせてしまったよ?
ボルドーは、話を続けた。

『カーディナルは…いずれは、何度も使う必要がある事があるかも知れません。ですから…使いたいっと言っていましたよ?』

カーディナルも色々と考えてくれているんだな…
ボルドーとカーディナルは、自分には勿体無いかも知れない。
…改めて、そう思った。


さてと、話を戻そう
そろそろ、彼らを起こさないといけない
街道を全力疾走して逃げ続けている馬車は
この場所からどんどん遠ざかって行っているらしい。
しかし、ボルドーに言わせれば

『私には、そう離れているとは思えない程度ですがね…』

ボルドーが走れば余裕で追いつけるっという話…
馬車が数時間、街道を全力疾走しているのに
それに余裕で追いつける…
やっぱりボルドー、君かなりこの世界でも速いよね?
君の全力疾走まだしてないって聞いたけど
人前では、全力疾走しちゃダメだからね?

とにかく、彼らを起こさないといけない
っていう事で、彼らを花畑の階層に移動させた
しかし…そこで、ボルドーがオレに

『アイ様、お分かりかと思いますが祠のある階層に移動してもらえますか?』

やっぱり、一緒にいちゃ駄目?

『駄目です!!約束したでしょう?起こすなら、アイ様の居ない場所ですると』

確かに…それは、そういう約束だけどね~
そこを何とか、ボルドーさん。
出来ませんかね?

『駄目です。出来ませんよ?嫌なら起こしませんからね?』

ボルドーは、頑なに彼らの目覚める場所にいるのはダメだという…
仕方ない諦めよう…

「ボルドー、それじゃあ、後はよろしくね?」
『お任せ下さい。』

あ、忘れる所だった…

「オレが居ないからって、間違っても彼らを殺したりしたらダメだからね」

ギクリ!!って音が聞こえそうな程
ボルドーがビクッとした。
あ~、コレは…オレが居ない場所でする気だったな?

『も、もちろんですとも、アイ様当たり前じゃないですか?』

ボルドーがそう言って、オレと目を合わせない
…かなり不安
しかし、仕方ない彼に任せるしかないし
オレはそう思いながら、転移の門で普段いる祠の階層へと移動するのだった。

かなり…不安だ。
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