マッチングアプリの男 有吉似の男編

椋のひかり~むくのひかり~

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6.パンケーキ屋でポテトとお冷を頼む男

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店に着くと店内はガラガラであった。 
壁際に飾ってある食品サンプルを見て、 
「わーおいしそうだねー。」 
と言っていると店員が出てきて中に案内された。 
向い席に通された。 

一応上座の席を譲ってみた。 
 
「奥座る?」 
 
彼は何の躊躇もなく奥の席に座った。 
 
(マジで座りよった!笑 
別にええけど、普通なんかひとこと言うよね。紳士のたしなみがないね。笑) 
 
そんな男と食事するのは初めてで驚きつつ席についた。
 
「只今、衛生対策として
メニューはQRコードから読み込みでお願いしています。」 
「はい、わかりまし。。。」 
 
さちこが言いかけると遮るように彼が強い口調で店員に言った。 
 
「ブックの方でお願いします。」 
「かしこまりました。」 
 
目つきの悪い男に強い口調で言われたからか、
若い女の子の店員の緊張感が伝わった。 
 
(ブック?ブックって言うんや。メニューじゃないのね?! 
初めて聞いた。ウケる!笑) 
 
店員は潔く返事したあとメニュー表を持ってきてくれた。 
 
「今さ、どこでもQRコードとかするじゃん。あれ嫌なんだよね。」 
「確かにめんどくさいよね。
結局お皿下げにくる時に頼んだりして意味ないしね。」 
 
初めて共感できたものの、店員に対する態度には共感できなかった。 
 
「どれもおいしそうだね。どれかお勧めあるの?」 
「これが名物っていうか、珍しいからこれで有名になったみたい。」 
「あ、こないだ写真送ってくれたやつだね。おいしかった?どんな味?」 
「覚えてない。」 
 
(は?写真まで送ってきて、予約までしようとしてたのに?
そりゃ8階と間違えるわな。笑) 
 
「じゃあ、そんなにだったんだね。甘い系なのかなあ?と思って。」 
「甘くはなかったと思う。」 
 
(じゃあなんでこの店選んだんや?笑 
確か、私に甘い物好きなんですね。って言ってたよな?
私がめっちゃ甘党やったら、ここであんたの株ダダ下がりやで。笑) 
 
「じゃあ私このチーズ系のにする。おいしそう!」 
「あ、それおいしそうだね。いいんじゃない。俺はポテトにする。」 
 
(は?パンケーキ食べないの?) 
 
「まさかのパンケーキ屋でパンケーキ食べないっていうパターンね。笑」 
 
彼は店員を呼んで注文した。 
メニュー表を開けて小指で写真を指さして注文する。 
私が一番嫌いな夫の仕草である。 
 
(うわっ出た!私の一番嫌いな仕草!これも旦那と同じ。) 
 
しかも毛玉じみた手袋をしたままである。 
 
「ご一緒にドリンクはいかがですか?」 
「じゃあホットコーヒー下さい。」 
 
(普通店員が聞く前に男が私に提案することだよね。 
彼はケチっぷりを発揮して頼まなさそうだけど、 
そこは遠慮なく私は飲みたいから頼んでやったぞ!笑) 
 
「ホットコーヒーおひとつでよろしいですか?」 
 
(いいねえ、店員さん! 
こいつケチやからさっきのお返しでもっと嫌味っぽく言ってやってもいいよ!笑) 
 
「はい、僕はいいです。ひとつで。」 
 
(やっぱり。笑 ポテトと水?笑) 
 
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