マッチングアプリの男 有吉似の男編

椋のひかり~むくのひかり~

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7.永作博美スマイル

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さちこはいつもならやる気のない不機嫌そうな態度の男を目の当たりにすると
自分に非がなくても急に自信がなくなって、
男のご機嫌を取ろうとしたりすることもあるが、 
前日のスマイルサイコー宣言があったし、
女性性開花のワークもしっかりやってたので妙に自分に自信があった。 
 
(私は遅刻もせず、何も悪くないし、あんた今こうしてやる気なさげで、 
ケチっぷり全開だけど、 
私が今からマスクを外してあんたの言う永作博美スマイルを見せたら
きっと後悔するよ! 
今からマスクとるからよう見ててみ~笑) 
 
そう思いながらサラっとすまし顔でマスクを外した。 
彼がこっちを見てテンションが上がり、 
目をランランと輝かせる様がスローモーションで見えた。 
 
(やっぱりな。笑 わかりやす~笑) 
 
彼がもうさちこの笑顔に目が釘付けになっているのがよく伝わった。 
 
(こいつも笑顔だとすごい愛嬌のある顔だな。有吉に似てる。 
いつもこういう表情してたらいいのに。) 
 
彼からこぼれる満面の笑みにさちこはダメ押しのはにかみを浮かべた。 

「どうしたの?すごい笑ってるね。笑」 
「やっぱ、笑顔素敵!すごいいいよね!」 
「そう?ありがとう♡」 
 
(ほらな。後悔したか?今までの言動後悔したやろ?笑) 
 
まさに女性性開花ワーク実践の賜物である。笑 
 
「ねえ、手袋外さないの?」 
「あー、これね、手荒れがひどくてね。ほら。」 
 
ちらっと手袋をめくってガサガサの甲を見せた。 
 
「そうなんだ。痛そうだね。私も今手荒れ酷くて。」 
「別に手に入れ墨が入ってるわけでもないんで。」

(おもんないからスルー)
 
「寒いと荒れるよね。私の使ってる薬用クリームつけてみる?結構効くよ。」 
「洗い物とかしてると洗剤が合わなかったのか手が荒れちゃってね。」 
 
(人の話聞いてるか?) 
 
「洗い物であかぎれできちゃうと痛いよね。 
私も今年はひどくなって全然治らないからとうとう薬用クリームつけたの。 
ちょっとマシになったからつけてみる?今持ってるし。」 
「いや、いいよ。俺は薬は使わない主義なんだ。」 
「そっか。 
でもそこまで荒れてると一旦つけないとなかなか回復しないんじゃない? 
私も極力薬に頼らないようにしてるけど。」 
「薬はねえ、慣れてしまうとどんどん弱くなっちゃうから。」 
 
(それぐらい知ってるよ。人の話聞かない奴だな。) 
 
「そうだね。じゃあ自力で頑張って。」 
 
注文したポテトとパンケーキ、コーヒーが運ばれてきた。 
 
「お腹空いてるでしょ? 
昼ご飯食べてないでしょ?ポテトも食べたら?」 
 
明らかに最初のテンションと違う。 
 
ただ人の話を聞かず、 
自分の話ばっかりするところは興味のある女に対しても治せないようである。 
メニュー表の小指指しといい、 
初対面の女に聞いてもない身の上話を次から次へと話し、 
しかも人に話を振っておきながらノーコメントで 自分の話をするあたりは
夫とよく似ている。 
夫と最初に食事に行ったときのことを思い出した。 
 
とはいえ、既婚を告げていなかったので、 
こちらのことを追及されたくない今の立場からすれば 
それは必ずしもマイナスポイントにはならず、寧ろ聞き上手な女に徹しやすい。 
 
お互いの利害が一致して彼は元嫁との結婚生活から離婚を経て現在に至るまで 
詳しく語ってくれた。 
 
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