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8.彼の部屋
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入り口で顔認証システムを通り、受付嬢が座っていた。
受付嬢はちらっとこちらを見て挨拶せずに目を背けた。
(この男また違う女連れてきよった。そう思ってるんやろな。)
受付嬢の前を無言で通り過ぎエレベーターに乗った。
エレベーターに乗る際も顔を近づける。
すると18階まであるボタンの16階ボタンが光っていた。
「へー高層階なんやね。さすがやね。
やらしい話してごめんやけど、関西人やから、
やっぱ上に行くほど家賃高くなるんやろ?」
「うん。もちろん。
このエレベーター顔認証で自分の住居の階しか行けないようになってて、
2階がジムで、ジムも顔認証しなきゃ2階に降りれなくて、
住んでる階で使える人と使えない人がいて。」
「へえー勝ち組でんなあ。さすがでんなあ。笑」
(まあ普通の分譲マンションでも自分の階しか降りれないようになってるけどね。
全然興味ないけどどんな部屋か興味はある。)
「いえいえ、すみません。低層階で。」
「それ言わんほうがええよ。嫌味になるから。笑」
エレベーターを降りるとホテルのフロアのような造りである。
奥に進むと彼の部屋に着いた。
「一応俺、こういうしきりがないと嫌だったんで。」
(まだ言うか~。)
「あー、なるほど。」
確かに向かいの部屋の玄関はドアが廊下にむき出しに並んでいて、
まさしくホテルの部屋のようであった。
彼の部屋はドアの前にポーチ的なプライベートなスペースがあり、
彼はそれを自慢したかったのであろう。
玄関を開けるとフラットな床に玄関マットが敷いてあるだけだった。
「どうぞ。」
彼は遠目からでもわかるような
ド派手なグッチ柄のスニーカーを脱ぎながら先に入った。
「お邪魔します。ああ、土足厳禁なのね。笑」
「アメリカやないねんから。靴脱いでや。」
「はい。」
いくら高級なスニーカーでも脱いだ靴の並べ方で育ちというか品性がわかる。
いくら家賃の高そうなマンションに住んでも
そういうところに目がいってしまうのは私のサガである。
グッチの靴がかわいそうに見えた。
部屋は思ったほど広くなかった。
廊下を進むと小さめの対面キッチンがあり、ダイニングテーブルの置き場所はない。
50インチ以上はある大きなテレビの前にローテーブルとソファがあった。
その奥にはセミダブルのベッドがあり、
その先にバルコニーと呼べるほどではない狭いベランダがあった。
「ねえ、外の景色見てもいい?」
「うん、どうぞ。」
ベランダ用のスリッパがなかった。
「このまま出てもいいの?」
「んー、まあちょっとだけならいいわ。」
(は?今私の靴下じゃなくて自分の部屋が汚れることだけ心配したやろ?
はよ靴持ってこいよ。)
「じゃあちょっとだけ。」
彼も一緒にベランダに出てきた。
16階だけあって、ビル群の中ではさほどの高さではないため、
想像ほどの眺めではないが、海が近くに見え、橋のイルミネーションも美しく、
オフィス街なので土曜の夕方ともあって静かでいい雰囲気であった。
受付嬢はちらっとこちらを見て挨拶せずに目を背けた。
(この男また違う女連れてきよった。そう思ってるんやろな。)
受付嬢の前を無言で通り過ぎエレベーターに乗った。
エレベーターに乗る際も顔を近づける。
すると18階まであるボタンの16階ボタンが光っていた。
「へー高層階なんやね。さすがやね。
やらしい話してごめんやけど、関西人やから、
やっぱ上に行くほど家賃高くなるんやろ?」
「うん。もちろん。
このエレベーター顔認証で自分の住居の階しか行けないようになってて、
2階がジムで、ジムも顔認証しなきゃ2階に降りれなくて、
住んでる階で使える人と使えない人がいて。」
「へえー勝ち組でんなあ。さすがでんなあ。笑」
(まあ普通の分譲マンションでも自分の階しか降りれないようになってるけどね。
全然興味ないけどどんな部屋か興味はある。)
「いえいえ、すみません。低層階で。」
「それ言わんほうがええよ。嫌味になるから。笑」
エレベーターを降りるとホテルのフロアのような造りである。
奥に進むと彼の部屋に着いた。
「一応俺、こういうしきりがないと嫌だったんで。」
(まだ言うか~。)
「あー、なるほど。」
確かに向かいの部屋の玄関はドアが廊下にむき出しに並んでいて、
まさしくホテルの部屋のようであった。
彼の部屋はドアの前にポーチ的なプライベートなスペースがあり、
彼はそれを自慢したかったのであろう。
玄関を開けるとフラットな床に玄関マットが敷いてあるだけだった。
「どうぞ。」
彼は遠目からでもわかるような
ド派手なグッチ柄のスニーカーを脱ぎながら先に入った。
「お邪魔します。ああ、土足厳禁なのね。笑」
「アメリカやないねんから。靴脱いでや。」
「はい。」
いくら高級なスニーカーでも脱いだ靴の並べ方で育ちというか品性がわかる。
いくら家賃の高そうなマンションに住んでも
そういうところに目がいってしまうのは私のサガである。
グッチの靴がかわいそうに見えた。
部屋は思ったほど広くなかった。
廊下を進むと小さめの対面キッチンがあり、ダイニングテーブルの置き場所はない。
50インチ以上はある大きなテレビの前にローテーブルとソファがあった。
その奥にはセミダブルのベッドがあり、
その先にバルコニーと呼べるほどではない狭いベランダがあった。
「ねえ、外の景色見てもいい?」
「うん、どうぞ。」
ベランダ用のスリッパがなかった。
「このまま出てもいいの?」
「んー、まあちょっとだけならいいわ。」
(は?今私の靴下じゃなくて自分の部屋が汚れることだけ心配したやろ?
はよ靴持ってこいよ。)
「じゃあちょっとだけ。」
彼も一緒にベランダに出てきた。
16階だけあって、ビル群の中ではさほどの高さではないため、
想像ほどの眺めではないが、海が近くに見え、橋のイルミネーションも美しく、
オフィス街なので土曜の夕方ともあって静かでいい雰囲気であった。
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