マッチングアプリの男 チャラ男編

椋のひかり~むくのひかり~

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9.そそられない男

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「ここに何人連れてきたん?笑」
「そんなおらんよ。」
「ふーん。」

部屋に戻ると棚にかばんやマフラーのわかりやすいグッチのロゴが
ごった返しているのが目に入った。

(一目でブランド物ですってわかるブランド物が好きそうやもんなあ。
いじってほしいんやろなあ。笑)

「グッチ、グッチ、グッチ、グッチ好きなん?」
「え?そんなことないよ。」

(はいはい。)

「だって靴もグッチやんなあ?」
「あー、そうやなあ。あ、そのマフラーもか。」

(白々しい。
ほらこれ、タグをいちいちこっちにキレイに見えるように置いてるよ!
偶然かもしれんけど。笑
せっかくいじったってんから喜べや。)

「ここにどれくらい住んでるの?」
「1年くらい。家賃高いからもう引っ越そうかと思って。」
「ふーん。」

(まあ私も住みたいとは思わないな。)

「出張ばっかりでそんなに住んでないし、もったいないかなと思って。」
「それはもったいないねえ。」
「でもきれいに片付いてるね。家政婦さん雇ってるの?」
「いや、そんなん雇ってないよ。お金払ったら掃除してくれるから。」
「ふーん。それはいいね。」
「炭酸水しかないけどいい?」
「炭酸水は飲めないから。水ある?」
「普通の水は水道水しかない。」

(え?普通リッチな人は浄水器かウオーターサーバーとかつけてるよ。)

「あ、あった、あった。はい。」

500MLのペットボトルと紙コップをテーブルに置いてソファに座った。

「ありがとう。」
「紙コップしかなくて悪いけど。」
「いえいえ、ありがとう。
紙コップ添えてくれるだけですごいと思うわ。さすがやね。」
「え、このまま飲めって?そんなこと言うやついないでしょ。」
「そうなんや。」

ソファに座ると彼はぴったりとくっついてきた。

「せーへんよ。」
「うん、生理?」
「うん。」

(なんでわかるんだろ?)

「キスはいい?」

なんとなくキスくらいは試してみようかと受け入れた。
口ひげがこんなにある人とキスをするのは初めてかもしれない。
なんとも髭の硬さが気になって唇の感触がわかりにくい。
キスの相性がいいとは思えなかった。

彼の右手がVネックから侵入し左乳首を捉えた。

「どれくらいの力でつまんでほしい?」

(いきなりそれ聞くか?どんなセックスしとんねん。)
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