フェイタリズム

倉木元貴

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出会いの形は最悪だ 23

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「中田さん。あなたが迷っている地学部ですが、碧ちゃんは地学部に入るのであなたも地学部に入ることを勧めます」
 
 僕はフリーズした。それは、この話が本当に有益だったからだ。さっきまでは、あんなに自信満々に嘘をつくつもりでいたけど、罪悪感そんなものじゃない、何か他の感情に押しつぶされて僕はこの話が有益だと認めてしまった。
 
「でも、何で僕が地学部に入ろうか迷っていると知っているの?」
 
「ああ、それは簡単ですよ。ただ単に鎌をかけただけですよ。地学部の見学に二回も行っているのですから迷っているのかなと思っただけですよ」
 
 今回ばかりは樹ではなかったようだ。すまない樹。勝手に疑ったりして。
 
「でもなんか、そんな理由で地学部に入るのは違う気がする。まあ誰かに憧れてその部活に入るのも悪くはないけど」
 
 消極的な僕を見て如月さんは更に有益な情報を開示した。
 
「地学部に入ることの利点は沢山ありますよ。まず一つ目は、ご存知のようにこの学校は必ずどこかの部活に入らなければならないところ。地学部に入ってしまえば変な勧誘もされないと思いますよ。そして二つ目、早期に部活を辞めてしまった場合は、仕事を辞めた時と同じように先生との面談の末次の部活を決めないといけないのです。面倒なことが嫌いな中田さんからすれば、それは一番避けたいのではないですか? そして三つ目は、あの山河内碧が入る部活ですよ。入らないと言う選択肢はないと思います」
 
 最後のだけは不純な情報だけど、部活を早期に辞めればそんなペナルティがあるのか。ならば、少しでも続きそうな部活を選ぶのはあながち間違いではなさそうだ。
 
「それともう一つ有益な情報があるのですけど、聞きますか?」
 
 意味深に聞こえてしまっているが、さっきからいいことしか言ってない如月さんを疑う気はさらさらなかった。
 僕は固唾を飲んだ。如月さんからどんな話を聞けるのか楽しみに待っていた。だけど、如月さんの話に僕はまたしてもフリーズした。それは、どんな内容だったかと言うと。
 
「中田さん。私は恋愛科学研究会のメンバーとしてあなたの恋を応援します。言うことを全て聞けとは言いません。私のアドバイスを受け取るか受け取らないかは、中田さんあなた自信が決めてください」
 
 話の意味を僕は全く掴めなかった。
 
「ちょ、ちょっと待って! ぼ、僕がいつ山河内さんが好きだと? それに、恋愛科学研究会は何の関係があるの?」
 
「恋愛科学研究会は、ただの部活ですよ。人の色恋話を聞いたり、たまには助言をして、あ、あと、占いとかもしていますよ」
 
 僕が訊きたいのはそこじゃない。山河内さんの方だ。
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