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お城奪還編
第36話 密告のチクリス
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空には雲が点在し、風も少し強いが天候は概ね晴れと言える。
アル達が村に到着してから数時間経過し、陽の長い初夏とは言え若干日も傾きかけてきた。
「早めに帰らないと、日が暮れちゃうよなぁ…… アイツ等、もう買い終えたかなぁ」
アルは待ち合わせ場所に向かう道中、そんな事を呟きながら歩を進めていた。
「おっ、もう居るじゃん! 意外と早かったなぁ」
街道沿いにある空き地には食料を満載した馬車、それにレイとシナモンの姿がある。
アルは酒瓶を片手に二人の元へ向かいながら、にこやかに手を振った。
その姿に気付いたレイは「こっちだよぉ」と言いながら、笑顔で両手を振っている。
一方のシナモンは腕組みをしながら、少しだけ不機嫌そうな様子を見せていた。
「お待たせ! 随分、早かったなぁ」
「当然なのですよ! 前もって用意して貰うように頼んでたです」
少し得意げな口調でそう言いつつもシナモンは、不機嫌そうな表情を崩さない。
「そっか。 ってか、何か機嫌悪いけど…… どしたの?」
シナモンの様子を見て少しだけ気不味そうに話しかけるアル。
「当然なのですよ。 あれだけのお金でお酒一本しか買えないなんて…… 商人失格なのですよ」
腕を組みフンッと鼻を鳴らしながら、そっぽを向くシナモン。
その様子を見てアルは、少し気不味そうな表情で言い訳する。
「いやぁ…… 悪い悪い。 ってか、俺は商人じゃないしなぁ……」
「何言うです! 身分証はウルスラ商業都市の商人なのですよ? 泥を塗って貰っては困るです」
不機嫌そうなシナモンにアルは、事の真相を告げようか悩んでいたが
(まぁ…… 実際に身分証が手に入ってからでも良いか…… 手に入らんかもしれんし……)
アルはそんな事を考えつつ、気不味そうな表情のままシナモンへ謝罪を続ける。
「悪かったって。 今度からは、ちゃんとお前に相談するからさ?」
いつもと違い素直な様子のアルに、シナモンは若干戸惑っていた。
「むむっ。 分かれば良いのですよ、分かれば」
そんな二人の様子を見ていたレイは、アルに笑顔で話しかける。
「えへへぇ。 そんな事言いながらシナモンちゃん、アルのお酒もちゃんと買ってたんだよ?」
「あぁぁぁ! それは言わない約束なのですよ!!」
レイの言葉を聞いたシナモンはレイに向けた両手を軽く振りながら、口を抑えようとしていた。
その様子は少し照れたような感じで、怒りより恥ずかしさが勝っているように見える。
「そっか! ありがとな、シナモン」
アルは敢えてお前呼ばわりせずに、優しくポンっとシナモンの頭を撫でるように叩く。
「むむ……。 これを餌にいっぱい働かせるつもりなのです。 覚悟するですよ……」
照れを隠すように強がるシナモンの頭をアルは、少し苦笑いしつつ撫でていた。
「さてと…… 日の暮れる前に帰るか?」
「うん! ちょっと急ごっか?」
「はいなのです」
お互いの意志が確認出来た所でアル達一行は村を後にし、集落跡へと向かう事にした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
村を出たアル達一行の姿を、物陰からジッと見つめる数人の人影が見える。
正体は先程アル達が玉鋼を換金した際に、運ぶのを手伝っていたならず者風の男達。
その男達はアル達の姿が小さくなるのを確認すると、集合し腕組みをしながら言葉を交わす。
「見失わなかったか?」
「もちろんでやす。 さっそくチクリス様に報告するでやすよ」
会話を聞いていた残りの男達が静かに頷くと、一行は店へと向かっていく。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
店に戻った男達を見た店主は、懐疑的な表情で男達に言葉をかける。
「戻ったか? 首尾は?」
その言葉を聞いた男達が静かに頷くと、店主はニヤッとした表情に変わる。
「よし。 話は奥で聞く。 オイ、店番しておけ」
店番に一人を残し、男達は店主と共に店の奥へ消えていった。
店の奥にある応接間のような部屋。
室内は狭いながらも高価そうな調度品で溢れ、部屋の主の成金趣味を伺わせた。
部屋の中央にある豪華なテーブルを挟むように置かれたソファ。
上座には一際目立つ、フカフカのソファが置かれていた。
直立不動で立つ男達を他所に、フカフカのソファに腰掛けた店主が男達に声をかける。
「んで? アイツ等に怪しい動きはあったか?」
少し不機嫌そうな表情で男を睨みつける店主。
直立不動のままの男達のリーダー格と思わしき人物が、店主へと返答する。
「チクリス様の睨んだ通り、彼らは怪しい動きをしておりました」
男の返答を聞いた店主チクリスは「ふぅ……」と小さな溜息を吐いていた。
「やはりか。 一体、何者なんだ?」
「正体までは不明です。 ただ、大量に食料を買い込んでいたようです」
「ほほぅ…… 食料をね。 他には?」
チクリスはソファに深く腰掛けると、足を組みながら質問を続ける。
「男の方は酒場に向かいました。 あのディンゴの酒場です」
その言葉を聞いた店主は、思わず身を乗り出し言葉をかけた。
「ディンゴの? アイツは確か裏で調達屋をやっていたよな? ディンゴの野郎も絡んでるのか」
「そのようです。 何を調達するかは既に調べてあります」
リーダー格の男がチクリスの近くまで寄ると、スッと薄い木の板を差し出す。
それは十数名の年齢と性別だけが書かれているメモ書きされた木板。
チクリスは木板に目を通しながら、上目遣いで睨むようにリーダー格の男へ声をかけた。
「これは?」
「恐らくその人数分の身分証を頼んだようです。 ディンゴはウルスラにツテがあるらしいので」
その言葉を聞いたチクリスは乗り出していた身を再度、ソファの背もたれに預ける。
そして手に持っていた木板をポイッとテーブルの上に投げ置くと
「なるほど……。 確かアストリナ貴族は、ザーマス様が取り逃がしたって話だったよな……」
小さな声でブツブツと呟くチクリス。
「それで? 連中の行き先は分かってるのか?」
「はい。 どうやら集落跡の方へ向かったようです。 具体的な場所は後ほど分かるかと」
その言葉を聞いたチクリスは口角を上げ、下品な笑顔へと変わる。
そして何かを決心するようにパンっと両膝を両手で叩いたチクリスは
「よし。 俺はこれからゼニール様の所へ向かう。 準備しろ!」
チクリスの言葉を聞いた男達は、慌ただしく応接間を後にしていった。
アル達が村に到着してから数時間経過し、陽の長い初夏とは言え若干日も傾きかけてきた。
「早めに帰らないと、日が暮れちゃうよなぁ…… アイツ等、もう買い終えたかなぁ」
アルは待ち合わせ場所に向かう道中、そんな事を呟きながら歩を進めていた。
「おっ、もう居るじゃん! 意外と早かったなぁ」
街道沿いにある空き地には食料を満載した馬車、それにレイとシナモンの姿がある。
アルは酒瓶を片手に二人の元へ向かいながら、にこやかに手を振った。
その姿に気付いたレイは「こっちだよぉ」と言いながら、笑顔で両手を振っている。
一方のシナモンは腕組みをしながら、少しだけ不機嫌そうな様子を見せていた。
「お待たせ! 随分、早かったなぁ」
「当然なのですよ! 前もって用意して貰うように頼んでたです」
少し得意げな口調でそう言いつつもシナモンは、不機嫌そうな表情を崩さない。
「そっか。 ってか、何か機嫌悪いけど…… どしたの?」
シナモンの様子を見て少しだけ気不味そうに話しかけるアル。
「当然なのですよ。 あれだけのお金でお酒一本しか買えないなんて…… 商人失格なのですよ」
腕を組みフンッと鼻を鳴らしながら、そっぽを向くシナモン。
その様子を見てアルは、少し気不味そうな表情で言い訳する。
「いやぁ…… 悪い悪い。 ってか、俺は商人じゃないしなぁ……」
「何言うです! 身分証はウルスラ商業都市の商人なのですよ? 泥を塗って貰っては困るです」
不機嫌そうなシナモンにアルは、事の真相を告げようか悩んでいたが
(まぁ…… 実際に身分証が手に入ってからでも良いか…… 手に入らんかもしれんし……)
アルはそんな事を考えつつ、気不味そうな表情のままシナモンへ謝罪を続ける。
「悪かったって。 今度からは、ちゃんとお前に相談するからさ?」
いつもと違い素直な様子のアルに、シナモンは若干戸惑っていた。
「むむっ。 分かれば良いのですよ、分かれば」
そんな二人の様子を見ていたレイは、アルに笑顔で話しかける。
「えへへぇ。 そんな事言いながらシナモンちゃん、アルのお酒もちゃんと買ってたんだよ?」
「あぁぁぁ! それは言わない約束なのですよ!!」
レイの言葉を聞いたシナモンはレイに向けた両手を軽く振りながら、口を抑えようとしていた。
その様子は少し照れたような感じで、怒りより恥ずかしさが勝っているように見える。
「そっか! ありがとな、シナモン」
アルは敢えてお前呼ばわりせずに、優しくポンっとシナモンの頭を撫でるように叩く。
「むむ……。 これを餌にいっぱい働かせるつもりなのです。 覚悟するですよ……」
照れを隠すように強がるシナモンの頭をアルは、少し苦笑いしつつ撫でていた。
「さてと…… 日の暮れる前に帰るか?」
「うん! ちょっと急ごっか?」
「はいなのです」
お互いの意志が確認出来た所でアル達一行は村を後にし、集落跡へと向かう事にした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
村を出たアル達一行の姿を、物陰からジッと見つめる数人の人影が見える。
正体は先程アル達が玉鋼を換金した際に、運ぶのを手伝っていたならず者風の男達。
その男達はアル達の姿が小さくなるのを確認すると、集合し腕組みをしながら言葉を交わす。
「見失わなかったか?」
「もちろんでやす。 さっそくチクリス様に報告するでやすよ」
会話を聞いていた残りの男達が静かに頷くと、一行は店へと向かっていく。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
店に戻った男達を見た店主は、懐疑的な表情で男達に言葉をかける。
「戻ったか? 首尾は?」
その言葉を聞いた男達が静かに頷くと、店主はニヤッとした表情に変わる。
「よし。 話は奥で聞く。 オイ、店番しておけ」
店番に一人を残し、男達は店主と共に店の奥へ消えていった。
店の奥にある応接間のような部屋。
室内は狭いながらも高価そうな調度品で溢れ、部屋の主の成金趣味を伺わせた。
部屋の中央にある豪華なテーブルを挟むように置かれたソファ。
上座には一際目立つ、フカフカのソファが置かれていた。
直立不動で立つ男達を他所に、フカフカのソファに腰掛けた店主が男達に声をかける。
「んで? アイツ等に怪しい動きはあったか?」
少し不機嫌そうな表情で男を睨みつける店主。
直立不動のままの男達のリーダー格と思わしき人物が、店主へと返答する。
「チクリス様の睨んだ通り、彼らは怪しい動きをしておりました」
男の返答を聞いた店主チクリスは「ふぅ……」と小さな溜息を吐いていた。
「やはりか。 一体、何者なんだ?」
「正体までは不明です。 ただ、大量に食料を買い込んでいたようです」
「ほほぅ…… 食料をね。 他には?」
チクリスはソファに深く腰掛けると、足を組みながら質問を続ける。
「男の方は酒場に向かいました。 あのディンゴの酒場です」
その言葉を聞いた店主は、思わず身を乗り出し言葉をかけた。
「ディンゴの? アイツは確か裏で調達屋をやっていたよな? ディンゴの野郎も絡んでるのか」
「そのようです。 何を調達するかは既に調べてあります」
リーダー格の男がチクリスの近くまで寄ると、スッと薄い木の板を差し出す。
それは十数名の年齢と性別だけが書かれているメモ書きされた木板。
チクリスは木板に目を通しながら、上目遣いで睨むようにリーダー格の男へ声をかけた。
「これは?」
「恐らくその人数分の身分証を頼んだようです。 ディンゴはウルスラにツテがあるらしいので」
その言葉を聞いたチクリスは乗り出していた身を再度、ソファの背もたれに預ける。
そして手に持っていた木板をポイッとテーブルの上に投げ置くと
「なるほど……。 確かアストリナ貴族は、ザーマス様が取り逃がしたって話だったよな……」
小さな声でブツブツと呟くチクリス。
「それで? 連中の行き先は分かってるのか?」
「はい。 どうやら集落跡の方へ向かったようです。 具体的な場所は後ほど分かるかと」
その言葉を聞いたチクリスは口角を上げ、下品な笑顔へと変わる。
そして何かを決心するようにパンっと両膝を両手で叩いたチクリスは
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