【完結】あなたと恋がしたい

まこ

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06 気付いた自分の気持ち

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中から鍵をかけた望月くんがこちらを振り返ると、最初に話しかけてきた頃を思い出させるような冷たい眼差しで俺を見下ろした。

「何俺以外に触られてんの?気を付けろって言ったよな」

床に寝転んだままの俺の上に覆い被さると、腕を一纏めにされて頭上で押さえつけられた。

腕を掴む望月くんの手はとても力強くて、かなり憤りを感じているのが分かる。

(何でこんなに怒ってるんだろう)

そんなに怒りをむき出しにされたら、嫉妬してくれたんじゃないかとか期待してしまうじゃないか。

「お前、アイツらの時は全く反応してなかったくせに何で手掴まれたくらいで勃ってんの?もしかしてさっき物足りなかった?」

「…!」

(もしかしてこの流れは、二回目抱いてくれるのか?)

さっきまで感じていた恐怖も嫌悪感も全て無くなり、俺は期待に満ち溢れた。

「うんっ…足りない…もっともっと、望月くんにむちゃくちゃにされたい!」

「いいよ。そういやさっき少し見てたけどさ。…お前ってこういう刺激、弱いの?」

「…え?」

ニヤッと口角を上げて笑った望月くんが送ってきた刺激は、擽りだった。

「あ…っ、ぁ!?…や、…っぁは、…も、ちづきく…っ…だめ、あははっ」

いつも抵抗なんて殆どしない俺が全力で暴れると、望月くんは嬉しそうにしながら俺の脇腹を擽ってきた。

「へぇ、そんな顔出来るんだ」

「やめてっ!ひゃはは!あは!こ、こういうのはっ、苦手…っ、だめ、離してっ、ぁはは!」

「無理。お前が物足りないって言ったんじゃねーか」

「ひゃは!これ違うっ、あはっ、んんッ、!ふふ、んひゃはぁっ!!」

「お前こんな刺激で勃つの?すげーな」

「え?うそ…っ、何でっ、ぁはは!」

さっき擽られても不快感しか感じなかったのに。望月くんだとこんな刺激でも興奮してしまう。

(あぁ、そうか。俺)

激しくされたいと思うのは。
俺を触ってもいいのは。

望月くんだけなんだ。

すると、今までの自分の気持ちがストンと腑に落ちた。

メッセージがくるだけで嬉しいのも、普段何してるんだろうと考えてしまうのも望月くんの事が特別な意味で好きだったからだ。

ここで初めて自分がこの人に恋していたんだと知った。

「…望月、くんっ」

「何」

「入れて……っ」

自分の気持ちを伝えたら、関係は終わるかもしれない。だから、伝える前に抱いて欲しい。

「…足開けよ」

「うん…」

教えられたわけではないが、自分で膝裏を抱えてよく見えるように今から繋がる部分を晒すと、満足そうに微笑む望月くんが見えた。

さっきイッてたのにまた入れてくれるのは俺の事を思ってくれてるからなんだろうか。

それともただ、発散したいだけ?

よく分からないけど、一日に二回も繋がれる事が嬉しくて、快感に泣きながら望月くんの名前をたくさん呼んだ。

激しく奥を突かれると、好きだと認識したからなのか、ナカだけでイキそうになる。拳を握り締めて耐えていると、腕を掴まれて望月くんの背中に回すように誘導された。

しがみついてもいい状況が嬉しくて堪らなくて、強く抱き付くと、望月くんも優しく抱き締めてくれた。

「ぁ"……ッ、ね、ねぇっ、望月、くッ」

「…何、しんどい?」

「や、やばいっ、ナカ、ナカでっ…、今、やっ、イッ、」

「イキそう?いいよ別に。俺さっきイッてるしもう少しかかると思う。俺がイクまでは抜かねーけど」

ガンガンと奥を貫かれると、激しく体が跳ねて初めてナカだけの刺激で絶頂した。

前でイクのと全く違う感覚に混乱しながらも、休みなく与えられる刺激。

「ひッ、ぁ!!あッ…!!待っ、止まってっ、止まってぇぇっ、やばい!いまっ、ぁぁぁあ"」

「連続で攻められてきついなら調整しながらイケよばーか」

「む、むちゃっ、言わ、ないっ、でよ、っ、ばかぁ、」

「…締め付けやば。ごめん。ゴム一個しかないから今そのまま入れたんだ。お腹に出すね」

中に出していいよ、という暇もなく望月くんは自身を引き抜いて予告通り外に射精してくれた。

しかしお腹まで間に合わなかったのか、俺の自身にぶっかかったので、何ともいやらしい事になった。

荒い息を繰り返しながらも、自分で出した精液を処理しながら、俺の体も綺麗にしてくれた。

いつもはやる事が終わればすぐに帰ってしまうのに。終わった後も一緒に居れる事が嬉しくてクスッと笑うと、不機嫌そうに「何?」と言われた。

「初めてだなと思って。…終わった後もこうやって望月くんが傍に居てくれるの」

「…またアイツらが戻ってきたら嫌だから。自分のモンに手出されたらむかつくだけ」

「ねぇ望月くん」

「ん?」

「俺さ、ずっとみんなを思いやれる優しい良い人でありたくて、ずっとずっと、自分よりも他人を優先して生きてきたんだ。けど望月くんと出会って、無理矢理ああいう事をされて…その間だけは全てを忘れる事が出来た。性欲が満たされたからもあるかもしれないけど、望月くんと居る時間だけは何も考えない自分で居れるようになったんだ」

「…」

「…望月くんじゃなくても、同じように激しく抱いてくれる人が居るのなら代わりはいくらでも居るんじゃないかって思ってたんだけど、さっき知らない人に犯されそうになって、指を入れられただけで恐怖で…嫌悪感が激しかった。それでさっき初めて気付いた。俺は激しく抱いてくれる誰かじゃなくて、望月くん…あなたのことが好きだって。俺は望月くんのペットでも、なんなら所有物だって何でもいい。他の誰にも俺に触らせない。だから…これからも抱いてほしいし……また、俺の事を千明って呼んで欲しい。俺も許可してくれるなら、奏多くんって呼びたい」

後は、望月くんの返事次第。これで関係が終わる可能性は高いが、きっと頭の良い望月くんの事だから俺が黙っていてもすぐに恋愛感情を抱いているのは気付くだろう。

少しの間望月くんは視線を落として考えているようだったので、俺は口を開いてくれるまでじっと見つめて待つ事にした。

「…いいよ、別に。俺の所有物にしてやるよ。ただ俺の事は今まで通り名字で呼べ。俺もお前の名前は呼びたくない。さっきは咄嗟に出ただけだし」

「何で下の名前は嫌なの?」

「…俺の事を名前で呼んでいいのは俺が認めた奴だけ」

「ふふ。望月くんってガード固そうだもんね。けど…このままで居てもいいって事だよね。それだけで凄く嬉しい。いつか俺の事を好きになってもらえるように…頑張ってもいいかな」

「なる可能性は限りなく低いよ。それでもいいなら勝手にすれば?」

今までだったら「黙れ」等と一蹴されていただろうが、可能性が0%じゃないと思えば小さな希望になった。

相手は俺しか居ないみたいだし、少なくとも俺の事は"物"の中では一番大切に思ってくれてるのは分かる。

「ほら、綺麗になったぞ。そろそろ帰るぞ」

「一緒に帰ってくれるの?」

「今日だけな。取られたくないだけだから。深い意味はない」

制服を着て、だるい体を無理矢理起こすと支えてはくれなかったが、倒れた時の為なのか、すぐ近くに居てくれる望月くん。

(……やばい、何かキスしたくなってきた)

俺を見つめる望月くんを眺めていると、好きと自覚したからか、無性にしたくなった。

怒られるのは承知だが、俺は油断している望月くんの唇に自分の唇を重ねた。

「今の、俺のファーストキスなんだ。望月くんにあげるね」

すぐに唇を離して微笑むと、ムッとした望月くんは俺を壁際にやり、激しい壁ドンをしてくれた。

「勝手に動くな。全部俺からするから、お前は何もすんな」

そう言いながら、次は舌を絡めた深いキスが贈られた。少しだけ挑発したのもあるが、こうも簡単にノッてくれるなんて。

激しく唾液が絡まり合う音が響く中、長い間深いキスが続けられた。

望月くんのぬくもりと、いい香りがして幸せで堪らない。ぎゅっと手を繋いでみても、引き離されない。

「……っ、ぷは」

漸く唇が離れた頃には少し酸欠になっていて頭がふわふわとした。とても心地よい唇の余韻に恍惚としていると、望月くんは帰る準備をし始めた。

「ねぇ、望月くん。喉乾いちゃった。今日は二回エッチしたからもう一つミルクティー飲みたい」

「……帰る」

そう言いながらも、下足室とは逆方向の自販機がある方へ歩き出したのでついていくと、もちろん目的地は自販機の前。

(何だかんだ可愛いよな、望月くんって)

そう思いながら見ていると、ガコンと商品が取り出し口に落ちてきて、それを手に取った望月くんは俺にミルクティーを渡してくれた。

「望月くんは何が好き?」

「…俺はこのカフェオレが好き」

「そっか。じゃあ次から学校で呼び出された時はカフェオレを買ってからくるようにするね。ミルクティー、いつもありがとう。はいこれ」

たった今購入したカフェオレを手渡すと、それを受け取った望月くんは早速ストローを差して飲み始めた。

「…美味しい」

「俺も。今日飲んだミルクティーが一番美味しいかも」

そう言って、お互い無言だけども居心地の悪くない空気感の中、紙パックが空になるまで一緒にその場で過ごした。

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