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12・レイに興味を持たれちゃった⁉
しおりを挟む「はぁ……」
「どうした? マコト。計画、上手くいかなかったのか?」
机に突っ伏してため息をついていると、ミツキに声をかけられた。
「そうなんだよぅ」
「……ってかお前、ちゃんと歯磨きしてるか?」
「なんだよ急に」
「いや、なんかちょっと頬っぺた腫れてる気がしてさ? 虫歯かな? って思って」
「あ、ああ……」
これ以上見つめられたくない気がして、頬に手を当てた。あったかい。肌に触れれば温かさを感じることなんて当たり前のことだけれど、叩かれたせいで熱を余計に持っている気がしなくもない。
あの後たくさん冷やしたし、赤みが引いているからバレないと思った。それに、教室に着くまでに誰に指摘されるでもなかったから、問題ないとも思った。
けれど、ミツキ相手にはバレるらしい。こいつ、オレのことをよく見てくれているんだな。いいヤツだな。
「……オレ、歯磨き雑なのかな。痛くないし虫歯じゃないと思うけど、歯磨き気をつけるわ」
「おう」
頬の腫れはバレるけれど、小さなウソはバレないみたいだ。いいや、もしかしたら、触れてはいけないこととして、そっとしておいてくれただけかもしれない。いいヤツだし。
「それで? そのどんよりした感じは……」
「そりゃあもちろん」
「……ばあちゃんだよな。どの辺がうまくいかないわけ? っていうか、昨日の今日じゃ、ホップから挫折したってこと?」
「まぁ。なんか、一段ずつ進めない不器用なばあちゃんみたいで」
――失礼な!
「ターボババアみたいな感じか」
――ターボババアって、なんだったかしら? まさか妖怪とかじゃないわよね?
「……まぁそんな感じ。走り出したらホップからステップまで行っちゃって、結果ジャンプし損ねて泥沼にドーンとダイブしてる」
マコトの嘆きを聞いたミツキは、腕を組んでため息をついた。
「じゃあ、どうするよ。どうやって成仏させる?」
「うーん」
ふたりして考え込んでいると、
「ねぇ」
話しかけてきたのは、クラスメイトのレイだった。
レイは怪しい人形を作ったり、オカルト本を読んでいたりする危険人物なんだけど、普段は明るくて、成績優秀で、スポーツ万能。児童会役員を務めていて、誰にでも優しく、信頼が厚い。そして、レイはトラブルの匂いを嗅ぎつける嗅覚が異常なのだ。レイの信頼は、その嗅覚と行動力が掛け合わされることによって生み出されているものなんじゃないかとマコトは思っている。
「んー? どうした? レイ」
ミツキが腕を組んで難しい顔をしたまま言った。
「なんか、成仏って聞こえたから、気になっちゃって。なんの話をしてるの?」
「ああ、えっと。マコト、これって言っていいやつ?」
「ああ、そういう話? 教室の中で普通に話してるから、平気なのかと思ってた。じゃあさ、放課後、話を聞かせてくれない? ね、マコト。ダメ?」
「ああ、いや、ダメってわけじゃないけど……」
――ねぇ、マコちゃん! この子、かわいいじゃないの!
ばあちゃんがガヤガヤうるさいから、話をしたくないかもしれない。
放課後、マコトはミツキとレイとともに、音楽室に忍び込んだ。
「ここなら平気だよ!」と、レイが胸を張る。
「いや、バレたらだめでしょ」と、ミツキが恐る恐る辺りを見回しながら言う。
「っていうか、今日って音楽クラブの活動ないの?」と、マコトが問うと、
「大丈夫! 音楽クラブは今日は校外練習だから、児童はもちろん、先生ももう学校にいないんだ」
さすが、信頼と人脈がある人が持っている情報は、一般児童とは比べ物にならない。
「それで? 成仏の話、聞かせてよ」
「ああ、うん。えっと……」
「言いにくいなら俺が言うけど?」
「じゃ、じゃあ、頼もうかな」
「オッケー! えっとな、この前、マコトがおかしくなって、保健室へ行ったじゃんか」
「ああ、『まったく! マコちゃんにむかってバカとはなんなのよ!』のこと?」
完璧に覚えていて、完璧に再現してくれなくてもいいんだよ? レイ。
「そう。で、その原因がな、こいつがばあちゃんに乗っ取られるようになったせいで……」
「なにそれ!」
レイの瞳に星が宿った。そんなトキメキを隠せない顔を見ながら、〝こういう子に憑けばばあちゃんは楽しくて幸せだっただろうに〟とマコトは思った。
「それで、なんか、ばあちゃんと母ちゃんが喧嘩してるっていうか、仲良くなくてさ。それが原因? 心残り? で、ばあちゃんは成仏できないと。で、マコトは憑かれたまんまじゃ困るから、成仏させてやるために、ばあちゃんと母ちゃんのわだかまりを無くす計画を立てたんだけど」
「うまくいってないんだ」
「その通り」
「ふーん。なるほどね……。もうすこし詳しく教えてもらってもいい? 計画のこととか、おばあちゃんのこととか。あと、もしおばあちゃんと話せるなら、話してみたい」
「ああ、でも……。ばあちゃんとは、学校では出ないっていう約束をしてて、だから……」
「じゃあ、うちにおいでよ」
「……はあっ?」
ミツキが大声で言った。よほど驚いたらしい。
「え、ダメ? うちは平気だけど」
「いや、レイが平気だったとしても……」
ミツキがマコトを見た。マコトもミツキを見た。アヤコがそっと呟く。
――さてはこのふたり……女の子の家に行ったことがないなぁ?
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