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23・天に召されよ!(終)
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ポク、ポク、ポク、チーン。
あれから数日して、タイゾウは死んだ。葬式の途中、「お義母さんが連れて行ったんだろうね」と言って、トオルはぶるると震えあがった。
タカコが「毎日お線香をあげたいから仏壇をもらう」と言い出したから、家には今仏壇があり、毎日毎日お線香の香りが広がっている。
マコトは最初、こんなことになったのはタカコの心に変化が起こって親子関係が良くなったからだと考えたけれど、どうもそうではないらしい。おそらく、魔除け的にお線香をあげているだけだ。伏せたままの写真立てを見れば、バカにでもそう想像できる。
おかげさまで最近は、「おばあちゃんちの香りがする」と茶化されて迷惑しているけれど、あのドタバタした日々よりはマシかな、とマコトは思っている。
「ふぁ~」
アヤコが居なくなってから、体が軽い。心置きなく大きく深呼吸できるって、こんなに幸せなことだったんだ、と思う。いろいろ変わったことはあるけれど、まぁ、平凡な日常を取り戻せた、と言ってもいいのかな。
「ただいまー」
「父さん、おかえり~」
「おかえりなさい。今日はね、筑前煮作ったの!」
「お、やったぁ。タカコの筑前煮、好きなんだよな~」
ばあちゃんが成仏する前より、父さんと母さんの仲が深まったような気がする。その点、平凡な日常をばあちゃんと共にちょっと手放した、とも言えるのかもしれない。
『おお、筑前煮かぁ。アヤコのやつはまぁ食えたが、タカコのやつはどんなかね』
リビングに緊張が走った。
「と、父さん?」
「え? いや、ええっと?」
『あ、どうも。わしわし。タイゾウ』
「……ぎゃーっ!」
「ちょっと、勝手に体を乗っ取らないでください!」
『まぁまぁ、いいじゃないか』
「っていうか、なんで成仏してないんですか!」
『そりゃあ、アヤコが成仏しちまったせいで、わしが成仏できなくなっちまったからだな』
「父さん、葬式だよ! きっと、葬式に行ったからだよ!」
「ああ、もう! 葬式なんかやらなきゃよかった! あれ? でも、体乗っ取るの早くない? だってマコトが憑かれた時はもっと……」
『アヤコと比べてくれるな。わしのほうが器用じゃ』
「ああ! こんな状態でどうやって仕事をすれば……。マコトはどうやって乗り切った?」
「ま、まぁ……いろいろあったけど強く生きた。友の力を借りながら」
「くそぉー!」
「……はっ! お線香!」
三人そろって仏壇へ駆けると、写真立てを起こし、久しぶりに写真を見つめた。それから、針山と見間違うほどたくさんの線香を香炉に立てた。数えきれない煙の線がのびる。
パン!
息ぴったりに手を叩き、息ぴったりに叫ぶ。
「お義父さん!」
「お父さん!」
「じいちゃん!」
「「「さっさと成仏してください!」」」
―了―
あれから数日して、タイゾウは死んだ。葬式の途中、「お義母さんが連れて行ったんだろうね」と言って、トオルはぶるると震えあがった。
タカコが「毎日お線香をあげたいから仏壇をもらう」と言い出したから、家には今仏壇があり、毎日毎日お線香の香りが広がっている。
マコトは最初、こんなことになったのはタカコの心に変化が起こって親子関係が良くなったからだと考えたけれど、どうもそうではないらしい。おそらく、魔除け的にお線香をあげているだけだ。伏せたままの写真立てを見れば、バカにでもそう想像できる。
おかげさまで最近は、「おばあちゃんちの香りがする」と茶化されて迷惑しているけれど、あのドタバタした日々よりはマシかな、とマコトは思っている。
「ふぁ~」
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「お、やったぁ。タカコの筑前煮、好きなんだよな~」
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「と、父さん?」
「え? いや、ええっと?」
『あ、どうも。わしわし。タイゾウ』
「……ぎゃーっ!」
「ちょっと、勝手に体を乗っ取らないでください!」
『まぁまぁ、いいじゃないか』
「っていうか、なんで成仏してないんですか!」
『そりゃあ、アヤコが成仏しちまったせいで、わしが成仏できなくなっちまったからだな』
「父さん、葬式だよ! きっと、葬式に行ったからだよ!」
「ああ、もう! 葬式なんかやらなきゃよかった! あれ? でも、体乗っ取るの早くない? だってマコトが憑かれた時はもっと……」
『アヤコと比べてくれるな。わしのほうが器用じゃ』
「ああ! こんな状態でどうやって仕事をすれば……。マコトはどうやって乗り切った?」
「ま、まぁ……いろいろあったけど強く生きた。友の力を借りながら」
「くそぉー!」
「……はっ! お線香!」
三人そろって仏壇へ駆けると、写真立てを起こし、久しぶりに写真を見つめた。それから、針山と見間違うほどたくさんの線香を香炉に立てた。数えきれない煙の線がのびる。
パン!
息ぴったりに手を叩き、息ぴったりに叫ぶ。
「お義父さん!」
「お父さん!」
「じいちゃん!」
「「「さっさと成仏してください!」」」
―了―
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ありがとうございます!
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