夢で会ったインキュバスが忘れられないんだが

Sui

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夢の中で

04

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「あんた、もう、そろそろ…っ、イけよ…っ!」
「俺の形を覚えた?」
「だからっ、覚えねぇって…、あっ、あんっ」

 ベッドやお互いの下半身にはインキュバスの精液と潤滑剤でベトベトになっている。だが目覚めたらなにもなくなっているだろう。

「お前はインキュバスなのだからこのぐらいはまだイケるだろう? というか欲情は底なしだと思ったんだが違うのか?」
「……俺はっ! 完全のインキュバス、じゃねぇんだよ…っ!」
「完全のインキュバスじゃない?」

 どういう意味なのか分からず、思わず動きを止めた。

「おい…っ! イってから止まりやがれ…っ」
「——俺がイったら夢が終わるんだろう? その前に教えろ」

 そう言うと、先ほどまで快感でとろけていた眼がギッと睨まれ、突然起きあがって馬乗りのように自分の腰を上下揺らしていく。
 さらに後孔もキュウキュウと締め付けて、俺をイかそうとしてきた。

「……っ、やるじゃないか……っ」

 騎乗位といえば、通常よりも深く届くとか聞いたことあるな……と、こちらも腰を浮かし突き上げてやった。

「ああんっ、あっ、奥、ふか…っ」

 結構深く良いところに当たってるらしい。突き上げるたびに腰に挟んでいる足の力が抜けている感じがする。
 インキュバスの顔を見れば、睨んでいたはずなのに、またとろけた顔をしていた。
 快感に弱いインキュバスっているのだろうか。

「……また俺の夢に来てくれるか?」
「んっ、あっ、しらな、いっ……」

 何度か大きく突き上げると、立つ力が無くなったのか俺のほうに倒れてきて、俺のペニスがヌルリと抜けてしまった。
 抜けたついでにインキュバスを四つん這いにさせたが、腕に力が入らないのか腰だけ上げられ、ハッキリ見える後孔がゆっくり開閉を繰り返している。
 完全に閉じ切る前に再び挿れてやると、身体が反って嬌声が響く。

「……もう俺の形、覚えたよな?」
「あっ、ああっ」

 腰を動かすたびに揺れる陰茎を握り、亀頭を親指で少しだけ強く擦る。

「……ひっ、あっ、ああ——っ」

 インキュバスには何度目かの射精に後孔がかなり締まられ、そろそろ限界だ。せっかくなら奥深いところで出したいと思い、思い切り穿って爆ぜた。

「んんっ、あっ、濃いぃ…っ、あっ……」

 精気をいただいたインキュバスは最初の時より色っぽさが濃くなっていく。

「綺麗だな……。なぁ、お前の名前教えてくれよ」

 そっと頬を撫でて、キスしようと唇を触れた──。





 ……唇を触れたとこで目が覚めた。
 安宿らしき狭き部屋にシングルベッド。安っぽい毛布の肌触り。そして俺だけの温もり。

「……ちっ! 名前聞き出せなかったな」

 起きあがると、下着がしっとりとしていて気持ち悪かった。なるほど、インキュバスでもオトコの場合は夢精するのか。

「夢精なんぞ、久しぶりだな……」

 心なしか下半身はスッキリしている。そりゃそうだ。あんな濃いセックスしたらそうなるだろう。ただ一回しかイってないのは物足りない気がした。
 もう二度と会えないのだろうか。
 ため息をつき、シャワーを浴びた。夢では汗などであんなにベトベトしていたのに、股間以外は汚れていなかった。本当に夢だけの出来事なんだな。
 だが、インキュバスの唇の感触に肌の弾力さ、後孔の締まり具合は覚えていて、思い出すとペニスがムクムクと勃ちあがってくる。
 ……向こうも、俺のを覚えてたらいいのに。



 あれから月日は流れ、夢でまた会えるだろうかと毎日待ち望んでいたが出てこなかった。
 もしかしたら本当にただの夢だったのかもしれない。
 だが、あの夢を見てから娼館へ行くことはなくなった。というのもオンナとセックスすることができなくなったのだ。性欲はあるものの、いざセックスしようと豊満な胸を揉んでも、柔らかなお尻を触っても、インキュバスのほうが良かったなと思い出しテンションが下がってしまい、何もせず後にするのが数度起きていた。

 そのため、ここしばらくはなんとか自慰だけで済ませていたものの、うまく発散できずにいたため、性欲をかき消すために冒険者として依頼をいつもより多めに引き受けていた。
 そうしていつの間にかランクが上がっており、その分の情報を新たに得られるようになっていた。
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