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夢の中で
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◇
「…………ちっ」
ルイスのやつめ、もう少しで触れそうな時に醒めるようにしやがって。
ルイス。うん覚えてるな。名前はルイス。あのインキュバスはルイス。
夢の中ではギルドに出向いた時の続きのようだったが、実際はきちんと宿に泊まっておりベッドの中でひとり寝ていた。
今は夢なのか現実なのか時々分からなくなるが、夢精で下半身の不快さに現実であることを教えてくれる。
……夢精せずに醒めるすべはないものかな。
ため息つきながら下半身をスッキリすべく、シャワーしに向かった。
◇
結局毎日来て欲しいという希望は叶わず、夢で会えない日々が続いたが、ふとルイスの名前を心の中で思い浮かべることがありがたかった。
名前を呼ぶことで、あの時の夢を鮮明に思い出すことができる。
本日も依頼を受け、着々とレベルが上がりつつあった。もう少しでSランクに届きそうだ。そろそろ今後のことを考えなきゃいけないな。
地元のギルドで報酬を受けたあと、常連である酒場に寄ってみると先客であろう数十人の団体が盛り上がっていた。空いてる席はないかと探してみるとオーナーと目が合った。
「おぉ、リトか。そこちょっとうるさいけど暴れはしない人達だから安心しな。何がほしい?」
「とりあえずビールで。……あとはビールに合ったツマミもいくつか頼むよ」
「了解。空いてる机の席に座りな」
空いていた机見つけ、席に座ると早速ビールを持ってきてくれ、一口飲んだ。やっぱり一仕事終わったあとのビールは最高だな。
ツマミが来るまで、何度か飲んでるとすぐ無くなってしまい、おかわりを頼んだ。その様子を見ていたであろう団体の中の一人から「良い飲みっぷりだねぇ!」と声かけられ、何がそうさせたの? って訊かれてしまった。
「……今回の依頼がなかなか難儀だったもんでね」
とりあえず相手してやると、俺が冒険者だと気付いたのか、どんな依頼内容なんだ? って興味を持たれてしまい、気づいたら青年らしき人が3人ほど同席されていた。
仕方なしにどれだけ難儀だったか説明してやると、相手のほうはすでにデキ上がっているのかいちいち大げさに反応してくる。だがこういうのもたまには悪くはないな。
「いいよなぁ。冒険者はロマンがあって。俺なんか家庭があるから無理だよ」
「いいじゃないすかー。帰宅すると大切な人がいるって幸せなことっすよー」
「まぁな。でも時々どうしたらいいのか分からない仕事も入ってくるんだよなー」
「確かにー。どう守ればいいんだっていう内容もありますもんねー」
ビールのおかわりとともにツマミも持ってきてくれたオーナーが大丈夫か?と目配せをしてきた。大丈夫だとアイコンタクトで返し、みんなの会話を傾聴する。
「そうそう。配偶者がインキュバスに狙われているみたいだから守ってくれっていう依頼もあったしー」
「本人の夢の中に出てくる魔物をどう守れってハナシですよねー」
インキュバスという単語に引っかかり、思わず盛り上がっていた会話を止めさせた。
「インキュバスだって?」
「そう! 夢に出てくる魔物のインキュバス! サキュバスの依頼が来ないのはオトコだからですかねぇ。依頼があれば俺が守るついでに相手にしてやるのになぁ。ま、その前にどうやって夢に入るのかってハナシですけどね」
「すまないが、君たちはどんな職業をしてるんだ?冒険者にはそんな依頼はないしギルドにもなかった」
「あぁ、そっか。俺たち護衛してるんす。魔物を撲滅するだけでなく、人民を守る仕事でもあって、人民優先なんすよ。なので冒険者ギルドよりも結構依頼がたくさん来るんですよ~。大変たいへん」
ため息ついてビールを流し込む青年。
護衛か。冒険者ギルドよりも依頼が多いということは、もしかしたら情報も豊富なのではないだろうか?
「……インキュバスの詳細は分かるのか?」
「さぁ? 俺は依頼を受けたことはないんですが、件数は案外あるってハナシは聞いたことありますねぇ」
「…………ちっ」
ルイスのやつめ、もう少しで触れそうな時に醒めるようにしやがって。
ルイス。うん覚えてるな。名前はルイス。あのインキュバスはルイス。
夢の中ではギルドに出向いた時の続きのようだったが、実際はきちんと宿に泊まっておりベッドの中でひとり寝ていた。
今は夢なのか現実なのか時々分からなくなるが、夢精で下半身の不快さに現実であることを教えてくれる。
……夢精せずに醒めるすべはないものかな。
ため息つきながら下半身をスッキリすべく、シャワーしに向かった。
◇
結局毎日来て欲しいという希望は叶わず、夢で会えない日々が続いたが、ふとルイスの名前を心の中で思い浮かべることがありがたかった。
名前を呼ぶことで、あの時の夢を鮮明に思い出すことができる。
本日も依頼を受け、着々とレベルが上がりつつあった。もう少しでSランクに届きそうだ。そろそろ今後のことを考えなきゃいけないな。
地元のギルドで報酬を受けたあと、常連である酒場に寄ってみると先客であろう数十人の団体が盛り上がっていた。空いてる席はないかと探してみるとオーナーと目が合った。
「おぉ、リトか。そこちょっとうるさいけど暴れはしない人達だから安心しな。何がほしい?」
「とりあえずビールで。……あとはビールに合ったツマミもいくつか頼むよ」
「了解。空いてる机の席に座りな」
空いていた机見つけ、席に座ると早速ビールを持ってきてくれ、一口飲んだ。やっぱり一仕事終わったあとのビールは最高だな。
ツマミが来るまで、何度か飲んでるとすぐ無くなってしまい、おかわりを頼んだ。その様子を見ていたであろう団体の中の一人から「良い飲みっぷりだねぇ!」と声かけられ、何がそうさせたの? って訊かれてしまった。
「……今回の依頼がなかなか難儀だったもんでね」
とりあえず相手してやると、俺が冒険者だと気付いたのか、どんな依頼内容なんだ? って興味を持たれてしまい、気づいたら青年らしき人が3人ほど同席されていた。
仕方なしにどれだけ難儀だったか説明してやると、相手のほうはすでにデキ上がっているのかいちいち大げさに反応してくる。だがこういうのもたまには悪くはないな。
「いいよなぁ。冒険者はロマンがあって。俺なんか家庭があるから無理だよ」
「いいじゃないすかー。帰宅すると大切な人がいるって幸せなことっすよー」
「まぁな。でも時々どうしたらいいのか分からない仕事も入ってくるんだよなー」
「確かにー。どう守ればいいんだっていう内容もありますもんねー」
ビールのおかわりとともにツマミも持ってきてくれたオーナーが大丈夫か?と目配せをしてきた。大丈夫だとアイコンタクトで返し、みんなの会話を傾聴する。
「そうそう。配偶者がインキュバスに狙われているみたいだから守ってくれっていう依頼もあったしー」
「本人の夢の中に出てくる魔物をどう守れってハナシですよねー」
インキュバスという単語に引っかかり、思わず盛り上がっていた会話を止めさせた。
「インキュバスだって?」
「そう! 夢に出てくる魔物のインキュバス! サキュバスの依頼が来ないのはオトコだからですかねぇ。依頼があれば俺が守るついでに相手にしてやるのになぁ。ま、その前にどうやって夢に入るのかってハナシですけどね」
「すまないが、君たちはどんな職業をしてるんだ?冒険者にはそんな依頼はないしギルドにもなかった」
「あぁ、そっか。俺たち護衛してるんす。魔物を撲滅するだけでなく、人民を守る仕事でもあって、人民優先なんすよ。なので冒険者ギルドよりも結構依頼がたくさん来るんですよ~。大変たいへん」
ため息ついてビールを流し込む青年。
護衛か。冒険者ギルドよりも依頼が多いということは、もしかしたら情報も豊富なのではないだろうか?
「……インキュバスの詳細は分かるのか?」
「さぁ? 俺は依頼を受けたことはないんですが、件数は案外あるってハナシは聞いたことありますねぇ」
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