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優しい父
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ユランは現世でも体力がないらしい。
あのままお風呂で気を失ってしまったらしく、気がつけばベッドで横になっていた。
髪は香油でいつのまにか綺麗に整えられていて、寝衣にかわっていた。
「お目覚めですか、ユラン様。無茶をさせてしまいましてすみません」
(しまった。俺の手で喘ぐユラン様があまりにも可愛らしくてやり過ぎでしまった)
目の前に少ししょぼくれた美少年のドアップが近づいてきた。
「おはよう、ヒース。ううん。むしろ僕のために頑張ってくれてありがとね。それなのに僕気を失っちゃってあまり覚えてないんだ…」
「っ!ユラン様っ!お優しいお言葉ありがとうございます。これからもお手伝いさせていただきますので…」
ヒースは顔を真っ赤にして鼻を押さえている。
(大丈夫かな?
ヒースもお風呂にずっといたからのぼせてしまったのだろうか…)
*
「父上、おはようございます」
なんやかんやですっかりお昼になってしまっていた。
(朝ごはんも食べそびれたのでお腹空いちゃったな)
少しグッタリしてしまったユランをヒースが横抱きにして、ダイニングルームまで運ぶ。
そこには午前の執務を終えたゆったりとくつろぐ父の姿があった。
「おお、私の天使ユラン、どうしたんだい。昨日あまり寝られなかったとカールから聞いてはいるが…」
父はヒースからユランを受け取ると、お膝に横抱きに抱っこした。
「ご心配おかけして申し訳ありません、父上。気が昂っていたみたいで…
でも、ゆっくり休んだので、もう大丈夫です」
(父上は優しいなぁ。こんなに優しい家族に囲まれて僕本当に幸せ……この幸せを逃したくない…)
ニコリと父を見上げて微笑むと、父もすごく嬉しそうユランの額に唇を押し当てた。
「今日は予定はないから、無理はせずに安静にしておくんだよ」
(あぁ、この子はなんて優しくて可愛いんだろう…閉じ込めてしまいたい)
父は穏やかに微笑むと、ユランの頬に自分の頬をあてて擦り擦りした。
少しくすぐったく感じたユランの口から自然と笑いが溢れた。
「ふふっ、父上。くすぐったいです。ふふ…」
(騎士団長の父はとても強くて部下から恐れられる人って聞いてるけど、想像つかないなぁ)
「ユラン…お父様は午後は王宮に行くから、ユランはお部屋でゆっくり休んでいるんだよ」
(なんだろう、真っ白な頸に赤い唇…色艶を感じるような…
いや、気のせいだ…気のせいに違いない。ん?でも、まさかカールが?いやいや…そんなばかな)
父が真剣な顔で覗き込んできたので、はいと返事をして父の頬に唇を当てた。
ユランは父の斜め隣の席にちょこんと座り、いつもより少し豪華なお昼を堪能した。
(朝ごはんも食べていないし、いつもよりお腹空いていたと思ったけど、ユランは少食らしい…すぐにお腹いっぱいになってしまう。こんなにたくさん用意してもらったのに申し訳ないな…)
「父上、お勤め頑張ってください。父上も無理しないでくださいね。
父上はいつも格好良いですけれど、父上の騎士団長の姿もまた違って素敵なんでしょうね。
尊敬する父上の騎士団での勇姿、一度でいいから見てみたいです」
ゲームの中ではほとんど父の出番はなかったので、ユランは父の剣技を見たことがない。
(父上の華麗な剣捌きとか見てみたいなぁ。父上は全然20代で通じるぐらい若々しいし、筋肉隆々で非の打ち所がないもんな…さぞかし素晴らしいだろう…)
父の騎士服姿を想像するだけでユランの表情には笑みが溢れてくる。キラキラと目を潤ませながら父へお願いをする。
(あぁ、ユラン。こんなに可愛いユランを他の目には触れさせたくないな…
しかも、あんな狼達のいるところなんて…
いや…でも、ユランに格好良いところを見せたいし…それにユランのお願いは叶えてやりたい)
「…いいだろう。手配をしておくから、それまで体調を整えなさい」
「ありがとうございます、父上」
(やったぁ、楽しみ。心のフォトで父上の勇姿を撮りまくるぞ。
あ、思い出した。たしか、ゲームでは、たしか騎士科のユランが騎士団にはじめて見学に行って、騎士団で活躍する兄上を貶して父に頬を叩かれるんだよな。
本当なら入学後のことだけれど…今騎士団見に行っても大丈夫かな…なんだっけ、強制力だっけ…どうなっちゃうのだろう。
今は仲良くしてる父上だけど、僕のことゲームの時みたいにあんな冷たい目で見てくるようになるのかな。もしそうなったらいやだなぁ…)
あのままお風呂で気を失ってしまったらしく、気がつけばベッドで横になっていた。
髪は香油でいつのまにか綺麗に整えられていて、寝衣にかわっていた。
「お目覚めですか、ユラン様。無茶をさせてしまいましてすみません」
(しまった。俺の手で喘ぐユラン様があまりにも可愛らしくてやり過ぎでしまった)
目の前に少ししょぼくれた美少年のドアップが近づいてきた。
「おはよう、ヒース。ううん。むしろ僕のために頑張ってくれてありがとね。それなのに僕気を失っちゃってあまり覚えてないんだ…」
「っ!ユラン様っ!お優しいお言葉ありがとうございます。これからもお手伝いさせていただきますので…」
ヒースは顔を真っ赤にして鼻を押さえている。
(大丈夫かな?
ヒースもお風呂にずっといたからのぼせてしまったのだろうか…)
*
「父上、おはようございます」
なんやかんやですっかりお昼になってしまっていた。
(朝ごはんも食べそびれたのでお腹空いちゃったな)
少しグッタリしてしまったユランをヒースが横抱きにして、ダイニングルームまで運ぶ。
そこには午前の執務を終えたゆったりとくつろぐ父の姿があった。
「おお、私の天使ユラン、どうしたんだい。昨日あまり寝られなかったとカールから聞いてはいるが…」
父はヒースからユランを受け取ると、お膝に横抱きに抱っこした。
「ご心配おかけして申し訳ありません、父上。気が昂っていたみたいで…
でも、ゆっくり休んだので、もう大丈夫です」
(父上は優しいなぁ。こんなに優しい家族に囲まれて僕本当に幸せ……この幸せを逃したくない…)
ニコリと父を見上げて微笑むと、父もすごく嬉しそうユランの額に唇を押し当てた。
「今日は予定はないから、無理はせずに安静にしておくんだよ」
(あぁ、この子はなんて優しくて可愛いんだろう…閉じ込めてしまいたい)
父は穏やかに微笑むと、ユランの頬に自分の頬をあてて擦り擦りした。
少しくすぐったく感じたユランの口から自然と笑いが溢れた。
「ふふっ、父上。くすぐったいです。ふふ…」
(騎士団長の父はとても強くて部下から恐れられる人って聞いてるけど、想像つかないなぁ)
「ユラン…お父様は午後は王宮に行くから、ユランはお部屋でゆっくり休んでいるんだよ」
(なんだろう、真っ白な頸に赤い唇…色艶を感じるような…
いや、気のせいだ…気のせいに違いない。ん?でも、まさかカールが?いやいや…そんなばかな)
父が真剣な顔で覗き込んできたので、はいと返事をして父の頬に唇を当てた。
ユランは父の斜め隣の席にちょこんと座り、いつもより少し豪華なお昼を堪能した。
(朝ごはんも食べていないし、いつもよりお腹空いていたと思ったけど、ユランは少食らしい…すぐにお腹いっぱいになってしまう。こんなにたくさん用意してもらったのに申し訳ないな…)
「父上、お勤め頑張ってください。父上も無理しないでくださいね。
父上はいつも格好良いですけれど、父上の騎士団長の姿もまた違って素敵なんでしょうね。
尊敬する父上の騎士団での勇姿、一度でいいから見てみたいです」
ゲームの中ではほとんど父の出番はなかったので、ユランは父の剣技を見たことがない。
(父上の華麗な剣捌きとか見てみたいなぁ。父上は全然20代で通じるぐらい若々しいし、筋肉隆々で非の打ち所がないもんな…さぞかし素晴らしいだろう…)
父の騎士服姿を想像するだけでユランの表情には笑みが溢れてくる。キラキラと目を潤ませながら父へお願いをする。
(あぁ、ユラン。こんなに可愛いユランを他の目には触れさせたくないな…
しかも、あんな狼達のいるところなんて…
いや…でも、ユランに格好良いところを見せたいし…それにユランのお願いは叶えてやりたい)
「…いいだろう。手配をしておくから、それまで体調を整えなさい」
「ありがとうございます、父上」
(やったぁ、楽しみ。心のフォトで父上の勇姿を撮りまくるぞ。
あ、思い出した。たしか、ゲームでは、たしか騎士科のユランが騎士団にはじめて見学に行って、騎士団で活躍する兄上を貶して父に頬を叩かれるんだよな。
本当なら入学後のことだけれど…今騎士団見に行っても大丈夫かな…なんだっけ、強制力だっけ…どうなっちゃうのだろう。
今は仲良くしてる父上だけど、僕のことゲームの時みたいにあんな冷たい目で見てくるようになるのかな。もしそうなったらいやだなぁ…)
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