突然能力に目覚めた男の730日

こうめい

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1章 あのポーズが全ての始まり

3日目~初出社と練習と~

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誰しもが憂鬱な月曜日。

正しくは、サ〇エさんが始まったくらいから憂鬱になりはじめる。

通勤は、1時間ちょっと。

家から駅まで徒歩で15分。

電車を2回乗り換える。

座ることなどできはしない。

いつもは、携帯でゲームをしたり、小説を読んだりしているが、今日からは違う。

徒歩の時は出来ないが、電車に乗ってからはがっつり練習できる…ハズ。

まだ、あまり自身から離れたところに火を出すことはできないが、昨日の練習した感じだと電車の屋根の上くらいならギリいけそうだった。

さぁ、いつもの時間に会社へ出発。

昨日の練習のせいか、多少体が重く感じる。
多分、この重さは気分のせいだ。月曜だし。

でも…なんか、心なしかいつもより体が軽い?

…気のせいか?

ちょっと駆けってみようか。

周りには誰も居ない、心の中でヨーイ…ドンッ!!

ビューン

数十mを一瞬で駆け抜けた。

…こ…これは、、、今後気を付けよう。誰かに見られると、とんでもなくヤバいことになる。

そこからは普通に歩いて、駅まで行く。

ふーっ。こんなに緊張する通勤は初めてか。

日本の電車は時間に正確だ。

定刻通り、いつもの電車に乗り込む。

駅に居る人間達は、全然知り合いじゃない。当然、喋ることも全くない。が、大体いつも通りの顔ぶれだと分かる。

プルルルル…

発車のベルと号令とともに電車が動き出す。

さぁ、練習の開始だ。

だが、火は出しているが、自分から見えない。屋根の上だし。
能力を出している感じがするだけ。

消えたのもなんとなく分かる。見えないけど。

ガタンと電車が揺れる度に火が消える。

踏ん張ることに意識を持っていかれるからだ。

うーん、息をするように、いや、心臓が動くように、血がめぐるように、そのくらい無意識で能力を使えるようにならないとなぁ。

………

ハッ!!

気づいたら、つり革に掴まって意識が飛んでいた。

やっぱり、少し離れたところで火を出し続けるのは結構キツイのか。

会社で寝ちゃうのはマズいから、ちょっとやめとくか。

鞄の中にだせないかな…いや、ボヤでも起こしたらそれこそヤバいのでやめとこう。

いつもの時刻に出社。

おはようございます。

の声があちらこちらから聞こえてくる。

??「おはよーす!!相変わらず貧相な恰好してますねー」

少しがっちりした体型の、青年が元気よく声をかけてくる。

火火野「おう。しかしお前、朝から、しかも月曜の。失礼極まりないな。」

こいつは、『水元 流也(ミズモト リュウヤ)』。

年は25歳。しがない派遣社員の俺とは違い、一流の大学出て入社している正社員様だ。

新入社員で入ってきた時から仕事で絡むことが多く、自然と仲良くなった。

水元「いやいや、火火野さんこそ、最低限度の身だしなみは重要でしょー。」

まぁ、たしかに、使い古されたスーツ。ヨレヨレのYシャツ。いつから使っているのか分からないネクタイ。

さらに、ボサボサの髪の毛と、無精髭。

よく、これで派遣切りされないものだ。

火火野「まぁ、能力があるから見てくれは大目に見てくれるだろ?」

水元「それ自分で言うと恥ずかしいやつですよ?」

火火野「じゃぁ、ほっとけ。」

こうして、いつものように、仕事が始まる。

ミーティング、資料作成、打合せ、プログラム作成、試験、またミーティングなどなど。

やることは大量だ。

時刻はあっという間に定時を過ぎたが、仕事はまだまだ。これからが本番だ。

時計の針が、頂点で重なろうとしたころ、やっと帰宅にとりかかる。

水元「ふー今日もやっと終わったー。仕事は増え続ける一方ですがねw」

火火野「マジでなw仕事量半端ねー。」

水元「ですね。」

なんてやり取りを毎日しながら帰る。

でも、今日はこれからが、本番だ。
いや、練習だ。

会社から駅はすぐ。

水元とは別のホームだ。

火火野「また明日な、お疲れー。」

水元「お疲れっした!」

水元と別れ、既にホームに停まっている最終電車に乗り込み、発車するまで意識を集中させる。
もう深夜。普通に火を屋根上に出すと、誰かに見られる可能性が高い。

それを解決する方法を昨日編み出していた。
限りなく赤い火は見えない。が、そこは燃えている。完全燃焼というやつ青い火に近いが、更に色は薄めた感じ。

プルルルル…

定刻になり、発車のベルが鳴る。

よし。始めよう。

帰りは最終電車。さすがに座ることができる。

屋根の上をイメージして、火を灯す。

…無理ーッ。

これ、数秒すら維持できんわ。

屋根の上という、(ちょっとだけど)遠距離と完全燃焼というテクニックの合わせ技がキツ過ぎます。

と、早々に諦め、帰宅してから(ちょっとだけど)大きい火を出すのを頑張りました。

…3日目終了していて、もう4日目に突入している。
もう、スライムくらいは簡単に倒せるようになっているのかな。
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