突然能力に目覚めた男の７3０日

５章 なんでもできる男のどうすることもできない過去

５１０日目その２～その女、一途につき～

火火野「後から聞いたら、丸２日くらい記憶がなかったらしい。それから大学も辞めて、今までの繋がりも全て断って、大検取ったりして、今に至ってる。」
雷華「だから？」
火火野「…え！？だから？」
雷華「さっきの話が、私にどう関係しますか。」
火火野「いやいや、だから、俺は恋愛はしないんだよ。」
雷華「それで、命さんが喜ぶとでも？ただの自己満足でしょう？」

ぐっ、た…確かにそうかもしれない。
が、だがしかし。そう簡単に割り切れない。

雷華「毎月、２日に外出していますね？」
火火野「あぁ。…まぁ、もう隠す事じゃないからな。命の月命日なんだよ。２日は。」
雷華「お墓参りに行ってるんですか。」
火火野「あぁ。」
雷華「お墓の場所はどうやって？」
火火野「あー。先田先生が辞める時に教えてくれたんだよ。」
雷華「…今日、誕生日ですか？」
火火野「あー。そうだな。」
雷華「明日が…」
火火野「そうだ。あれから…１５年経つ。なんか、あっという間だったのか、途方もなく長かったのか、良く分からない。でも、これからもずっと続いていく。俺が、死ぬまでずっと。な。」
雷華「私も一緒についていきます。」
火火野「えぇ！？」
雷華「嫌だと言っても…」
火火野「あーダメなんだろ。…分かったよ。」

雷華は悪意のない笑顔で応える。

雷華「でも、ご家族と会うんじゃないですか？その前に、今までお墓で会った事ないんですか？」
火火野「あー、まぁ、会いそうになったら、逃げたり、隠れたりしたこともあったよ。でも、毎年、命日は朝早く行くからニアミスしたことすらないな。」
雷華「…そうなんですね。」
火火野「だから、明日朝、５時には出るぞ。」
雷華「早！！」


なんか、事件の時よりだいぶ疲れた一日が終わる。
そして、今までよりだいぶ面倒な命の命日を迎える。