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第一章:天上のラストルーム
第17話:戦い方指南
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二人のステイタスは覗かないようにしながら、メニュー項目にあるヘルプ画面まで進むことができたアルストは、そこから戦い方指南を開いてもらう。
その中には基本の攻撃方法に加えてスキルの発動方法なども記載されており、さらに映像としても見ることができるのでゲーム初心者でも分かりやすい作りになっていた。
「ほうほう、これがこうなって、こうか!」
「うおっ!」
「魔導師は魔法をこうして……えいっ!」
「どわあっ!」
悲鳴を上げているのはアルストである。なぜかと言えば、二人が映像を見ながらお互いだけを気にして素振りや魔法を放っているので、アルストがそれを都度回避している構図が生まれていた。
「エレナちゃん、これすごいよ!」
「うむ! 私もこれなら戦えそうだ!」
手を取り合って喜んでいる二人を見て溜息をついているアルストは、次にスキルの発動方法についての項目を開いてもらった。
「あっ、スキルを発動する時は、俺が離れてからでお願いします」
お互いに顔を見合わせて首を傾げている二人を見て、アルストは急いで曲がり角へと移動して顔を覗かせる。
映像を見ながらしばらくはブツブツ呟いていた二人だったが、まずはエレナが槍を後ろに引いたかと思えば穂先に白色の光が顕現する。そして――
「えいやああああぁぁっ!」
突き出された槍から放たれたのは遠距離攻撃のスキル――ロングジャベリン。
スマッシュバードが縦長の飛ぶ斬撃ならば、ロングジャベリンは貫通力の高い飛ぶ刺突である。
その飛ぶ刺突がアルストが通った通路を疾走して角の壁に激突した。
「……ほら、やっぱりね」
隠れていてよかったと心底ホッとするアルストだったが、ここにはもう一人スキルを発動しようとしているプレイヤーがいる。
「フレイム!」
アレッサの杖から放たれたのは火属性の魔法であるフレイムだった。
顕現した火の玉が若干の弧を描いて対象物へと飛んでいくのだが、こちらもロングジャベリンが突き刺さった壁へと向かっていき――爆発。
「熱い! 痛い! 爆発が、爆発が!」
隠れていたものの、火の粉と壁の破片がアルストに飛んできたので慌てて距離を取る。
「……俺、選択を間違えたかなぁ」
今更ながら戦い方を教えると言ったことに後悔し始めたアルストだったが、次の瞬間にはその後悔が確実なものとなった。
――ヒタッ。ヒタッ。
聞き覚えのある足音。プレイヤーではなく、一階層に潜むモンスターの足音だ。
振り返ったアルストが見たものは、爆発音を聞いて集まってきた多くのモンスターだった。
「……マ、マジかよ」
後退りしながら奥のフロアにいる二人に声を掛けようとしたのだが――
――ビュンッ!
――ドカンッ!
スキルの練習をしているのか、無駄に発動し続けて声を掛ける暇がない。
アルストが大声を上げても聞こえていないのか、再びスキルが通路を疾走して壁に激突している。
「……め、面倒くせえぇぇ」
肩を落として下を向くアルスト。
そんなプレイヤーめがけて多くのモンスターが襲い掛かる――だが。
「あぁ、もう! スマッシュバード!」
突如として振り抜かれたアルスター3とスマッシュバード。
白い飛ぶ斬撃は前方にいたゴブリンをまとめて仕留めると、次に飛び込んできたベビーパンサーを連撃で斬り捨ててその隙間からモンスターの群れに飛び込んだ。
煌めく銀閃に一階層のモンスターは一撃で光の粒子へと変わっていく。
ゴブリンを壁にして跳び跳ねて突っ込んでくるモスキートーンもいたのだが、レベル11の力でまとめて斬り裂いていく。
アルストの後方ではいまだに爆発音が聞こえているからか、奥の方からはまだまだモンスターがやってくる。
「……一度、二人に倒してもらおうかな」
そう考えたアルストは目の前のブルブックを袈裟斬りで仕留めると、一足飛びで後退し通路を曲がる。
飛んでくるのはもちろん、ロングジャベリンとフレイムだ。
「ちょっと!」
「きゃあっ!」
さすがの二人も飛び出してきたアルストに驚きの声を上げたが、それに反応している暇はない。
真っすぐ飛んできたロングジャベリンを地面すれすれまで態勢を落として避けると、弧を描いて飛んできたフレイムは軌道の逆へ飛び回避する。
着弾と同時に火の粉が弾け飛ぶが気にすることなく駆け抜けると、アルストは二人を間を抜けて後方へ移動した。
「ア、アルストさん!」
「お前、危ないじゃないか!」
後ろに行ったアルストを振り返る二人が大声を上げる。
「それをお二人が言いますか! それよりも、今までの練習の成果を見せてくださいね!」
「「えっ?」」
そんなアルストの言葉に振り返った二人が見たものは、一〇匹を超える数のモンスターが通路の奥から駆け出してくる姿だった。
「きゃああああああぁぁっ!」
「いや、あれは無理だ! あの数は無理だから!」
「無理じゃありませんよ! 今まで使っていたスキルを使えばやれますから!」
絶叫するアレッサは杖をモンスターに向けると大声でスキルを発動する。
「フ、フレイムウウウウゥゥ!」
最前列にいたベビーパンサーが爆散すると、その余波に巻き込まれて周囲のモンスターも光の粒子へと変わっていく。
それでもモンスターが全滅したわけではなく、まだまだ後方から迫ってきた。
「ロロロ、ロングジャベリン!」
エレナが放ったロングジャベリンはブルブックを貫くと、その後ろに連なっていた他のモンスターをも貫き光の道が出来上がる。
「ま、まだいます!」
「ちょっと、アルスト!」
「……はぁ、接近戦はできないんですか!」
二人を追い越して迫るゴブリンを両断すると、返す剣でスライムとモスキートーンを斬り捨てる。
さらにブルブックの分厚い体毛を物ともせずに胴を薙ぐと、飛び掛かってきたベビーパンサーの首を刎ねた。
アルストがあえてモンスターの群れに飛び込んだのには理由がある。それは二人に接近戦を直に見てもらう為だ。
今の戦闘により二人のレベルは上がっただろう。そうなれば槍術師《スピアメイト》のエレナなら問題なく接近戦でモンスターを倒せるはずである。
アルストの戦い方を視線を逸らすことなく見ていた二人。
――結果、アルストは一階層でありながらレベルを12まで上げることに成功したのだった。
その中には基本の攻撃方法に加えてスキルの発動方法なども記載されており、さらに映像としても見ることができるのでゲーム初心者でも分かりやすい作りになっていた。
「ほうほう、これがこうなって、こうか!」
「うおっ!」
「魔導師は魔法をこうして……えいっ!」
「どわあっ!」
悲鳴を上げているのはアルストである。なぜかと言えば、二人が映像を見ながらお互いだけを気にして素振りや魔法を放っているので、アルストがそれを都度回避している構図が生まれていた。
「エレナちゃん、これすごいよ!」
「うむ! 私もこれなら戦えそうだ!」
手を取り合って喜んでいる二人を見て溜息をついているアルストは、次にスキルの発動方法についての項目を開いてもらった。
「あっ、スキルを発動する時は、俺が離れてからでお願いします」
お互いに顔を見合わせて首を傾げている二人を見て、アルストは急いで曲がり角へと移動して顔を覗かせる。
映像を見ながらしばらくはブツブツ呟いていた二人だったが、まずはエレナが槍を後ろに引いたかと思えば穂先に白色の光が顕現する。そして――
「えいやああああぁぁっ!」
突き出された槍から放たれたのは遠距離攻撃のスキル――ロングジャベリン。
スマッシュバードが縦長の飛ぶ斬撃ならば、ロングジャベリンは貫通力の高い飛ぶ刺突である。
その飛ぶ刺突がアルストが通った通路を疾走して角の壁に激突した。
「……ほら、やっぱりね」
隠れていてよかったと心底ホッとするアルストだったが、ここにはもう一人スキルを発動しようとしているプレイヤーがいる。
「フレイム!」
アレッサの杖から放たれたのは火属性の魔法であるフレイムだった。
顕現した火の玉が若干の弧を描いて対象物へと飛んでいくのだが、こちらもロングジャベリンが突き刺さった壁へと向かっていき――爆発。
「熱い! 痛い! 爆発が、爆発が!」
隠れていたものの、火の粉と壁の破片がアルストに飛んできたので慌てて距離を取る。
「……俺、選択を間違えたかなぁ」
今更ながら戦い方を教えると言ったことに後悔し始めたアルストだったが、次の瞬間にはその後悔が確実なものとなった。
――ヒタッ。ヒタッ。
聞き覚えのある足音。プレイヤーではなく、一階層に潜むモンスターの足音だ。
振り返ったアルストが見たものは、爆発音を聞いて集まってきた多くのモンスターだった。
「……マ、マジかよ」
後退りしながら奥のフロアにいる二人に声を掛けようとしたのだが――
――ビュンッ!
――ドカンッ!
スキルの練習をしているのか、無駄に発動し続けて声を掛ける暇がない。
アルストが大声を上げても聞こえていないのか、再びスキルが通路を疾走して壁に激突している。
「……め、面倒くせえぇぇ」
肩を落として下を向くアルスト。
そんなプレイヤーめがけて多くのモンスターが襲い掛かる――だが。
「あぁ、もう! スマッシュバード!」
突如として振り抜かれたアルスター3とスマッシュバード。
白い飛ぶ斬撃は前方にいたゴブリンをまとめて仕留めると、次に飛び込んできたベビーパンサーを連撃で斬り捨ててその隙間からモンスターの群れに飛び込んだ。
煌めく銀閃に一階層のモンスターは一撃で光の粒子へと変わっていく。
ゴブリンを壁にして跳び跳ねて突っ込んでくるモスキートーンもいたのだが、レベル11の力でまとめて斬り裂いていく。
アルストの後方ではいまだに爆発音が聞こえているからか、奥の方からはまだまだモンスターがやってくる。
「……一度、二人に倒してもらおうかな」
そう考えたアルストは目の前のブルブックを袈裟斬りで仕留めると、一足飛びで後退し通路を曲がる。
飛んでくるのはもちろん、ロングジャベリンとフレイムだ。
「ちょっと!」
「きゃあっ!」
さすがの二人も飛び出してきたアルストに驚きの声を上げたが、それに反応している暇はない。
真っすぐ飛んできたロングジャベリンを地面すれすれまで態勢を落として避けると、弧を描いて飛んできたフレイムは軌道の逆へ飛び回避する。
着弾と同時に火の粉が弾け飛ぶが気にすることなく駆け抜けると、アルストは二人を間を抜けて後方へ移動した。
「ア、アルストさん!」
「お前、危ないじゃないか!」
後ろに行ったアルストを振り返る二人が大声を上げる。
「それをお二人が言いますか! それよりも、今までの練習の成果を見せてくださいね!」
「「えっ?」」
そんなアルストの言葉に振り返った二人が見たものは、一〇匹を超える数のモンスターが通路の奥から駆け出してくる姿だった。
「きゃああああああぁぁっ!」
「いや、あれは無理だ! あの数は無理だから!」
「無理じゃありませんよ! 今まで使っていたスキルを使えばやれますから!」
絶叫するアレッサは杖をモンスターに向けると大声でスキルを発動する。
「フ、フレイムウウウウゥゥ!」
最前列にいたベビーパンサーが爆散すると、その余波に巻き込まれて周囲のモンスターも光の粒子へと変わっていく。
それでもモンスターが全滅したわけではなく、まだまだ後方から迫ってきた。
「ロロロ、ロングジャベリン!」
エレナが放ったロングジャベリンはブルブックを貫くと、その後ろに連なっていた他のモンスターをも貫き光の道が出来上がる。
「ま、まだいます!」
「ちょっと、アルスト!」
「……はぁ、接近戦はできないんですか!」
二人を追い越して迫るゴブリンを両断すると、返す剣でスライムとモスキートーンを斬り捨てる。
さらにブルブックの分厚い体毛を物ともせずに胴を薙ぐと、飛び掛かってきたベビーパンサーの首を刎ねた。
アルストがあえてモンスターの群れに飛び込んだのには理由がある。それは二人に接近戦を直に見てもらう為だ。
今の戦闘により二人のレベルは上がっただろう。そうなれば槍術師《スピアメイト》のエレナなら問題なく接近戦でモンスターを倒せるはずである。
アルストの戦い方を視線を逸らすことなく見ていた二人。
――結果、アルストは一階層でありながらレベルを12まで上げることに成功したのだった。
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