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第一章:天上のラストルーム
第20話:再び武具店
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レベル上げを切り上げたアルスト達は、アーカイブに戻ると装備を整えるためにアリーナの武具店を訪れていた。
見た目、ではなく単純に強い装備を手に入れるためだ。
アリーナには事前に連絡を入れていたので、ある程度の装備品を準備してもらっていた。
「そっちの子が魔導師で、そっちの子が槍術士だね。一応、こんな感じで用意してみたから見てみてよ」
「……お、多いですね」
「……その、あまりGはないんだが」
「大丈夫よー。たぶん最初のアルスト君と同じ持ち合わせだと思って、比較的安価な商品で見繕ってるからさ。もし足りなければ、他の装備品で見繕うから言ってね」
「あ、ありがとうございます」
アレッサがお礼を口にすると、二人は装備品を物色し始めた。
その直後にはアリーナが忍び足でアルストの隣に移動する。
「どうやってあんな可愛い子達をナンパしたのよ?」
「ナン! ……ち、違いますからね? 俺はソロプレイをしたかったんですが、成り行きでパーティを組むことになったんです」
「へぇー、成り行きでねぇー」
「……信じてませんよね?」
ニヤニヤしながら横目でアルストを見ているアリーナは、逃げるようにして二人のところへ移動してしまう。
溜息をつきながら三人を眺めているのも暇なので、アルストは展示されている装備を見て回ることにした。
レアボスモンスターとボスモンスター、それに多くのモンスターを倒していたこともあり懐は潤っている。この機会に新しい装備を購入するのも悪くないかと思っていた。
「アルスター3は手に馴染んでるし、買うなら別の装備だろうな」
最終的にはアリーナに預けている【ゴルイドの剛骨】から剣を作ってもらう予定もあるので、剣を見るのは早々に止めた。
軽鎧のブルスター3に腕当や脚当と一通りの装備は購入している。ならば剣術士《ソードメイト》ではなく魔導師の装備を見てみようと考えた。
「うーん、武器もあれは使えないから選ばないといけないのか」
レアボスモンスターとの死闘で手に入れた一角獣の銀角はレア度8もあるので能力は破格なのだが、色々と問題になる可能性も秘めているのでしばらくは使えない。
安全に楽しくゲームをプレイするなら普通の装備が必要なのだ。
今のアルストの手持ちは3045Gあるので少し高い装備でも購入が可能である。ゆっくりと魔導師の棚を見ていると、一式の装備を物色していた二人から声が上がった。
「こ、これでお願いします!」
「私はこれで!」
アリーナが見繕った装備品から気に入ったものが見つかったようだ。
アルストは魔導師装備の物色を中断して二人のところへと戻った。
すでに試着も終わっていたようで、その姿は初期装備ではなく新しい衣装に変わっている。
アレッサは濃紺のローブ姿、手には先端に群青の丸い宝石がはまった杖を持つ。
エレナは槍を扱うため動きやすさを重視したブレストプレートを身に付け、腕当と脚当を着用。手には穂先が深紅の素材で作られた槍を持つ。
「……これって、結構なお値段じゃないですか?」
「予想よりも手持ちが多くてさ。別で見繕ったらそっちを気に入ったみたいなのよ」
「このローブ、とても軽くて動きやすいんです!」
「私もこれが気に入った! 特にこの槍が格好いいじゃないか!」
二人の手持ちで支払えるなら問題はない。ないのだが、一つだけ問題が発生した――主にアルスト個人の問題だ。
「俺が一番、質素な装備だな……」
金額で言えば初回特典の1000Gで購入できた装備である。アリーナの気持ち分割引にはなっているのだが、それでも二人の装備と比べてアルストの装備は見劣りしてしまった。
「アルストはレベルが高いからいいではないか」
「私達よりもずっと強いですものね」
「だそうよ? それとも、新しく買っていくかい?」
少しだけ考えたアルストだったが、今すぐに必要というわけではないと自分に言い聞かせて断った。
お金はあるものの、無駄遣いは避けなければならない。これも転職した時のためなのだ。
「まあ、アルスター3とブルスター3があれば五階層くらいまではソロでも十分いけるわよ」
「そ、そうなんですか?」
二階層のモンスターでも多少の苦戦を強いられたアルストは、五階層と聞いて驚きを隠せなかった。
「一般的に言われていることだけど、一から五階層までは初期職でも頑張ればソロでもクリア可能よ。六から一〇階層は発展職や複合職で何とか。それ以上はソロだと厳しいかもしれないわね」
「へぇ、知らなかった」
「アルスト君がソロでバベルに挑戦するなら相応の装備が必要になる。お金を貯めておくのもいい選択かもしれないわね」
ここで【ゴルイドの剛骨】について何も言わないのはさすがアリーナである。レア素材の情報が漏れてしまえば色々と揉め事に巻き込まれるので当然ではあるのだが。
「それと、二人の装備なら初期職のレベルがMAXじゃなくても五階層まで行けるはずよ。パーティなら余裕だと思うわ」
「……ご、五階層ですか」
「……まだ、一階層なんですが」
「あれ、そうなんだ。アルスト君は?」
「一階層のボスモンスターはソロで倒しました。アリーナさんが言っていたみたいに楽勝でしたね」
「そりゃそうでしょうね」
そこまで口にすると右手を差し出してくる。
アルストが首を傾げていると、ニヤリと笑ったアリーナが口を開いた。
「何か素材を手に入れなかった?」
「あー、そういうことですか」
納得したアルストは武器商アスラを討伐した時に手に入れた素材アイテムの【ミスリル】と槍術士専用装備のフレイム・ドン・スピアを取り出した。
見た目、ではなく単純に強い装備を手に入れるためだ。
アリーナには事前に連絡を入れていたので、ある程度の装備品を準備してもらっていた。
「そっちの子が魔導師で、そっちの子が槍術士だね。一応、こんな感じで用意してみたから見てみてよ」
「……お、多いですね」
「……その、あまりGはないんだが」
「大丈夫よー。たぶん最初のアルスト君と同じ持ち合わせだと思って、比較的安価な商品で見繕ってるからさ。もし足りなければ、他の装備品で見繕うから言ってね」
「あ、ありがとうございます」
アレッサがお礼を口にすると、二人は装備品を物色し始めた。
その直後にはアリーナが忍び足でアルストの隣に移動する。
「どうやってあんな可愛い子達をナンパしたのよ?」
「ナン! ……ち、違いますからね? 俺はソロプレイをしたかったんですが、成り行きでパーティを組むことになったんです」
「へぇー、成り行きでねぇー」
「……信じてませんよね?」
ニヤニヤしながら横目でアルストを見ているアリーナは、逃げるようにして二人のところへ移動してしまう。
溜息をつきながら三人を眺めているのも暇なので、アルストは展示されている装備を見て回ることにした。
レアボスモンスターとボスモンスター、それに多くのモンスターを倒していたこともあり懐は潤っている。この機会に新しい装備を購入するのも悪くないかと思っていた。
「アルスター3は手に馴染んでるし、買うなら別の装備だろうな」
最終的にはアリーナに預けている【ゴルイドの剛骨】から剣を作ってもらう予定もあるので、剣を見るのは早々に止めた。
軽鎧のブルスター3に腕当や脚当と一通りの装備は購入している。ならば剣術士《ソードメイト》ではなく魔導師の装備を見てみようと考えた。
「うーん、武器もあれは使えないから選ばないといけないのか」
レアボスモンスターとの死闘で手に入れた一角獣の銀角はレア度8もあるので能力は破格なのだが、色々と問題になる可能性も秘めているのでしばらくは使えない。
安全に楽しくゲームをプレイするなら普通の装備が必要なのだ。
今のアルストの手持ちは3045Gあるので少し高い装備でも購入が可能である。ゆっくりと魔導師の棚を見ていると、一式の装備を物色していた二人から声が上がった。
「こ、これでお願いします!」
「私はこれで!」
アリーナが見繕った装備品から気に入ったものが見つかったようだ。
アルストは魔導師装備の物色を中断して二人のところへと戻った。
すでに試着も終わっていたようで、その姿は初期装備ではなく新しい衣装に変わっている。
アレッサは濃紺のローブ姿、手には先端に群青の丸い宝石がはまった杖を持つ。
エレナは槍を扱うため動きやすさを重視したブレストプレートを身に付け、腕当と脚当を着用。手には穂先が深紅の素材で作られた槍を持つ。
「……これって、結構なお値段じゃないですか?」
「予想よりも手持ちが多くてさ。別で見繕ったらそっちを気に入ったみたいなのよ」
「このローブ、とても軽くて動きやすいんです!」
「私もこれが気に入った! 特にこの槍が格好いいじゃないか!」
二人の手持ちで支払えるなら問題はない。ないのだが、一つだけ問題が発生した――主にアルスト個人の問題だ。
「俺が一番、質素な装備だな……」
金額で言えば初回特典の1000Gで購入できた装備である。アリーナの気持ち分割引にはなっているのだが、それでも二人の装備と比べてアルストの装備は見劣りしてしまった。
「アルストはレベルが高いからいいではないか」
「私達よりもずっと強いですものね」
「だそうよ? それとも、新しく買っていくかい?」
少しだけ考えたアルストだったが、今すぐに必要というわけではないと自分に言い聞かせて断った。
お金はあるものの、無駄遣いは避けなければならない。これも転職した時のためなのだ。
「まあ、アルスター3とブルスター3があれば五階層くらいまではソロでも十分いけるわよ」
「そ、そうなんですか?」
二階層のモンスターでも多少の苦戦を強いられたアルストは、五階層と聞いて驚きを隠せなかった。
「一般的に言われていることだけど、一から五階層までは初期職でも頑張ればソロでもクリア可能よ。六から一〇階層は発展職や複合職で何とか。それ以上はソロだと厳しいかもしれないわね」
「へぇ、知らなかった」
「アルスト君がソロでバベルに挑戦するなら相応の装備が必要になる。お金を貯めておくのもいい選択かもしれないわね」
ここで【ゴルイドの剛骨】について何も言わないのはさすがアリーナである。レア素材の情報が漏れてしまえば色々と揉め事に巻き込まれるので当然ではあるのだが。
「それと、二人の装備なら初期職のレベルがMAXじゃなくても五階層まで行けるはずよ。パーティなら余裕だと思うわ」
「……ご、五階層ですか」
「……まだ、一階層なんですが」
「あれ、そうなんだ。アルスト君は?」
「一階層のボスモンスターはソロで倒しました。アリーナさんが言っていたみたいに楽勝でしたね」
「そりゃそうでしょうね」
そこまで口にすると右手を差し出してくる。
アルストが首を傾げていると、ニヤリと笑ったアリーナが口を開いた。
「何か素材を手に入れなかった?」
「あー、そういうことですか」
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