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第一章:天上のラストルーム
第39話:三回目のレアボスモンスター
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天上のラストルームを始めて二日目のアルストなのだが、この時点で三回目のレアボスモンスター討伐になってしまった。
いくら特殊能力があるとはいえ、二日で三回の遭遇は度を超えている気がする。
アルストが初心者ではなく攻略組であれば問題はなかっただろう。強力な装備を身につけていても怪しまれることがないからだ。
だが、今のアルストでは装備してしまうと目立ってしまいPKの標的にされる恐れがあるため装備できず、宝の持ち腐れになってしまう。
それはアルストだけではなくアレッサやエレナにも当てはまるのだ。
「やっぱり、レアボスモンスターだったか」
「アルストの言った通りだったな。二階層のクエストとしては確かに異常な強さだったからな」
「サンダーボルトが役に立ってよかったです」
アレッサの発言にアルストは思い出したかのように口を開いた。
「そうですよ! サンダーボルトって、すごい魔法でしたね! どうして今まで使わなかったんですか?」
麻痺効果を持つサンダーボルトがなければ救済処置を使用しなければ倒すことはできなかっただろう。もしかしたら時間制限に引っかかってしまい救済処置を使用しても倒せなかったか、倒せてもクエストクリアはできなかったかもしれない。
アレッサの魔法がパーティを救ったのだ。
「連続して使える魔法ではないみたいなんです。それで、フレイムしか使えませんでした」
「そうなんですね。でも本当に助かりました。貴重な救済処置も使わずに済みましたし」
「そうだ! おいアルスト、あの行動はなんだったのだ。あんな危険な真似は止めてもらいたいぞ」
エレナの発言を聞いて、二人が説明書を読んでいないことを今さらながら思い出した。
アルストが初心者救済処置について説明すると、二人はぽかんとしたまま固まってしまった。
「……そ、そんなものがあるんですね」
「……三回もあるのか。だが72時間いないだと? 使わなければ勿体ないが……痛いのは嫌だなぁ」
「使わないに越してことはないですよ。俺の場合は今回みたいなイレギュラーがありましたからすでに二回も使っちゃいましたけど」
「イレギュラー……あぁ、確かにこんな奴と一人で戦うとなれば使ってしまうだろうな」
「私では一瞬で三回とも使ってしまいそうです」
そもそもの耐久力が低いアレッサであれば地割れの一撃を受けただけで全損してしまうだろう。
無敵時間を利用して逃げ切ることができなければ、本当に三回とも使ってしまうかもしれない。
「それよりも、せっかくですからドロップアイテムを見てみませんか?」
「おぉ! それもそうだな!」
「どんなアイテムが出るのか楽しみです!」
アルストが手に入れてきたアイテムはレア度7やレア度8の高レアリティのアイテムばかりだった。
それを知っている二人からすると楽しみで仕方ないのだろう。
ただ、アイテムボックスを確認した二人の表情はあまり芳しくないように見えた。
「ど、どうしたんですか?」
「いや、高レアリティのアイテムではあるんだが……」
「アルストさんみたいに7とか8ではありませんね……」
「えっ? そうなんですか?」
驚いたアルストは二人に許可をもらってアイテムを確認する。すると、アレッサはレア度4の装備アイテム、エレナはレア度5の素材アイテムだった。
一方のアルストはというと――
「……レア度6と7と8ですね」
剣術士専用装備の腕当【剛力の腕輪】がレア度6、素材アイテム【キングベアーの剛毛】がレア度7、そして【折れた魔杖(ディルッペン)】がレア度8。
折れた系は今すぐにどうこうできる物ではなく、素材アイテムもアルストではどうしようもない。となると注目すべきは剛力の腕輪だろう。
エレナがレア度5のアイテムを手に入れているので大きくレア度が高いわけではないが、それでもレア度6は破格と言えるだろう。
「やはりここでも特殊能力が関係しているんでしょうか」
「その可能性もありますが、もう一つ可能性があります」
「何かあるのか?」
アルストしか手に入れていないものがあるのだ。
「MVP賞とラストアタック賞です」
「そういえば、今回はアルストが二つとも手に入れていたな」
「はい。討伐報酬はパーティ全員が手に入れられるので、もしかしたらMVP賞やラストアタック賞は高レアリティのアイテムが出やすいんじゃないかって思ったんです」
「うーん、だが私が一階層のボスを倒した時はそこまで高くなかったぞ?」
「それではやはり特殊能力ですか?」
答えの見つからない迷路に入り込んでしまった三人だったが、ひとまずはアーカイブに戻ってクエスト完了を報告しようと話し合い二階層を後にした。
下層に他のプレイヤーがいる可能性は低いもののゼロではない。
道中ではレアボスモンスターや高レアリティドロップについての話題には触れずに進んでいく。
ただ、三人の頭の中ではそれぞれである一定の答えは導き出していた。
それは、アルストの特殊能力に起因するものだということ。
そして、考えるならアリーナがいた方がいいだろう。というあまりにも身勝手な答えだった。
いくら特殊能力があるとはいえ、二日で三回の遭遇は度を超えている気がする。
アルストが初心者ではなく攻略組であれば問題はなかっただろう。強力な装備を身につけていても怪しまれることがないからだ。
だが、今のアルストでは装備してしまうと目立ってしまいPKの標的にされる恐れがあるため装備できず、宝の持ち腐れになってしまう。
それはアルストだけではなくアレッサやエレナにも当てはまるのだ。
「やっぱり、レアボスモンスターだったか」
「アルストの言った通りだったな。二階層のクエストとしては確かに異常な強さだったからな」
「サンダーボルトが役に立ってよかったです」
アレッサの発言にアルストは思い出したかのように口を開いた。
「そうですよ! サンダーボルトって、すごい魔法でしたね! どうして今まで使わなかったんですか?」
麻痺効果を持つサンダーボルトがなければ救済処置を使用しなければ倒すことはできなかっただろう。もしかしたら時間制限に引っかかってしまい救済処置を使用しても倒せなかったか、倒せてもクエストクリアはできなかったかもしれない。
アレッサの魔法がパーティを救ったのだ。
「連続して使える魔法ではないみたいなんです。それで、フレイムしか使えませんでした」
「そうなんですね。でも本当に助かりました。貴重な救済処置も使わずに済みましたし」
「そうだ! おいアルスト、あの行動はなんだったのだ。あんな危険な真似は止めてもらいたいぞ」
エレナの発言を聞いて、二人が説明書を読んでいないことを今さらながら思い出した。
アルストが初心者救済処置について説明すると、二人はぽかんとしたまま固まってしまった。
「……そ、そんなものがあるんですね」
「……三回もあるのか。だが72時間いないだと? 使わなければ勿体ないが……痛いのは嫌だなぁ」
「使わないに越してことはないですよ。俺の場合は今回みたいなイレギュラーがありましたからすでに二回も使っちゃいましたけど」
「イレギュラー……あぁ、確かにこんな奴と一人で戦うとなれば使ってしまうだろうな」
「私では一瞬で三回とも使ってしまいそうです」
そもそもの耐久力が低いアレッサであれば地割れの一撃を受けただけで全損してしまうだろう。
無敵時間を利用して逃げ切ることができなければ、本当に三回とも使ってしまうかもしれない。
「それよりも、せっかくですからドロップアイテムを見てみませんか?」
「おぉ! それもそうだな!」
「どんなアイテムが出るのか楽しみです!」
アルストが手に入れてきたアイテムはレア度7やレア度8の高レアリティのアイテムばかりだった。
それを知っている二人からすると楽しみで仕方ないのだろう。
ただ、アイテムボックスを確認した二人の表情はあまり芳しくないように見えた。
「ど、どうしたんですか?」
「いや、高レアリティのアイテムではあるんだが……」
「アルストさんみたいに7とか8ではありませんね……」
「えっ? そうなんですか?」
驚いたアルストは二人に許可をもらってアイテムを確認する。すると、アレッサはレア度4の装備アイテム、エレナはレア度5の素材アイテムだった。
一方のアルストはというと――
「……レア度6と7と8ですね」
剣術士専用装備の腕当【剛力の腕輪】がレア度6、素材アイテム【キングベアーの剛毛】がレア度7、そして【折れた魔杖(ディルッペン)】がレア度8。
折れた系は今すぐにどうこうできる物ではなく、素材アイテムもアルストではどうしようもない。となると注目すべきは剛力の腕輪だろう。
エレナがレア度5のアイテムを手に入れているので大きくレア度が高いわけではないが、それでもレア度6は破格と言えるだろう。
「やはりここでも特殊能力が関係しているんでしょうか」
「その可能性もありますが、もう一つ可能性があります」
「何かあるのか?」
アルストしか手に入れていないものがあるのだ。
「MVP賞とラストアタック賞です」
「そういえば、今回はアルストが二つとも手に入れていたな」
「はい。討伐報酬はパーティ全員が手に入れられるので、もしかしたらMVP賞やラストアタック賞は高レアリティのアイテムが出やすいんじゃないかって思ったんです」
「うーん、だが私が一階層のボスを倒した時はそこまで高くなかったぞ?」
「それではやはり特殊能力ですか?」
答えの見つからない迷路に入り込んでしまった三人だったが、ひとまずはアーカイブに戻ってクエスト完了を報告しようと話し合い二階層を後にした。
下層に他のプレイヤーがいる可能性は低いもののゼロではない。
道中ではレアボスモンスターや高レアリティドロップについての話題には触れずに進んでいく。
ただ、三人の頭の中ではそれぞれである一定の答えは導き出していた。
それは、アルストの特殊能力に起因するものだということ。
そして、考えるならアリーナがいた方がいいだろう。というあまりにも身勝手な答えだった。
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