職業賢者、魔法はまだない ~サバイバルから始まる異世界生活~

渡琉兎

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第1章:異世界転生

新たなスキル

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「……なんか、スキル名の頭にNEWって付いてるんだけど」

 新しいスキルは発現したってことで間違いなさそうだけど……明らかに生産系に偏っているんだよな。

「武器加工、防具加工、アクセサリー加工って……もしかして、木材加工と金属加工のスキルを習得したからか? いやでも、金属加工を習得した時にはなかったけどなぁ」

 もしくは、習得してから一度そのスキルを使わないと発現しないとかかもしれない。
 金属加工スキルは昨日初めて使ったわけだし、それなら今の段階で新しく発現したのも頷ける。

「しかし、武器も防具も大枠だよなぁ。これ、もしかしたらさらに新しいスキルが出てくるとかあるんじゃないのか?」

 武器と言っても様々なものがある。
 俺が持っているナイフもそうだし、剣や槍や斧、手甲を付けてその身で戦う人だっているかもしれない。
 それに、俺の場合は日本の知識もあるわけだしこの世界にはないものを生み出せる! ……かもしれない。

 それに防具だってそうだ。
 鎧や盾や兜、腕や脚を守るものもあれば、魔法使いが纏う布製品だって防具の一種だろう。
 これ一つで全ての武器や防具が作れるとは思えないんだよなぁ。

「それに、アクセサリーかぁ……これも、付与効果とかありそうだもんなぁ」

 単なるアクセサリーなら他のスキルでも代用はできるだろう。
 それこそ木材加工や金属加工、さらに言うと裁縫でもアクセサリーは作れるのだ。
 しかし、これは面白いことに気づけたかもしれない。

「習得するスキルの組み合わせで、色々なスキルが発現するってことか」

 仮に発展スキルと名付けることにしよう。
 おそらく発展スキルは最初から習得できる初期スキルよりも上位互換、つまりより強力なスキルと考えて間違いないはず。

「そうなると、これからは発展スキルのことも予想しながら習得していく必要があるかもしれないな」

 ということで、俺は一度自分が習得しているスキルを整理することにした。

~~~~
・鑑定 ・狩人 ・裁縫 ・野営 ・ナイフ術 ・料理 ・木材加工 ・金属加工 ・潜水 ・採掘 ・危険察知 ・瞬歩 ・快速 ・逃げ足
~~~~

 ……改めて見ると、賢者が習得する様なスキルじゃないよなぁ。
 特に瞬歩、快速、逃げ足はピンチになった時に逃げるためのスキルだもんなぁ。
 俺の速度が二倍になる快速と、敵対者から逃げる時にだけ発動して速度が三倍になる逃げ足。

「ヤバい相手に遭遇したら瞬歩で距離を取り、そこから快速で速度が二倍になるが、逃げ足の効果でそこからさらに三倍に!」

 これ、完璧のコンボじゃね? 逃げる場合に限りだけどね。
 快速に関しては任意のタイミングで発動させることができるので便利だが、そこから一〇分間という制限時間がある。
 また、これも瞬歩と同じで一度発動すると次の発動までに制限を切ってから三〇分のクールタイムが必要になってしまう。

 さて、話を元に戻そう。
 発展スキルがあるのなら、闇雲にスキルを習得するのは愚の骨頂。
 そして、俺が今後どうなりたいのか、先を見据えて習得することも考えるべきだろう。
 スキルポイントにも限度があるわけだし、レベルだって際限なく上がるのかも分からない。
 というか、上がりにくくなるのがこういう世界の定番だろうからな。

「頭打ちになる前に、次からは考えないといけないな」

 とりあえず必要になりそうなのが防具加工のスキルだろう。
 武器は逸品であろうナイフがあるからしばらくは問題なさそうだが、防具はそうも言っていられない。
 俺が身に付けているのはこの世界に転生してからずっと同じ服なのだが、誰がどう見ても布の服と答えるようなみすぼらしいものだ。
 鑑定スキルで一度鑑定したこともあるが、防御力は1しかない。

「防具は早急に対処しないといけない案件だからな。それに、そこから発展スキルが発現したら上位の防具を作ることもできそうだしな」

 ただし、発展スキルだからかもしれないが、習得するには今までで一番のスキルポイントが必要になる。

「武器加工も防具加工も、スキルポイントが6も必要なのかよ。アクセサリー加工だけは5なんだけど」

 レベル5からはレベルアップ時に獲得できるスキルポイントが6になっているので、次のレベルアップでは防具加工を習得するか。
 その後は、発展スキルの有無によって武器加工にするか、別のスキルにするかを選ぶ必要が出てくるかな。

「とは言ったものの……雨、止まないなぁ」

 発展スキルの存在を知ったこともあり、レベル上げに行きたいのだが雨が止んでくれない。
 これがゲリラ豪雨ならすぐに止むと思っていたのだが、どうやら単純に大雨だったみたいだ。
 そうなると一日中雨が降り続ける可能性もあるので、今日はもやもやしながら時間を浪費することになりそうだ――そう思っていたのも束の間である。

 ──ガサガサ。

 先ほど大きな葉っぱを拝借した方向の森の奥から、何かが近づいてくる音が聞こえてきた。
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