異世界では人並みに幸せになれますように

91(ラルクリム視点)

ラルクリムは大勢の騎士に追われながらも確実にクリス王の元へ走っていた。


クリス・バルワーク王は自分の執務室で仕事をしていたのだがふと外の騒がしさに気付いた。


書類から顔を上げると同時に執務室の扉を叩く音と同時に騎士が入って来た、
王国にいくつか有る騎士団の頂点にいる王国騎士団長ザイール・ラングレイ。


「陛下失礼します」


「如何した」


「ご無礼申し訳ございません、王城内に魔獣が侵入した模様です直ちにご避難を！」


「魔獣だと！どおいう事だ！この王城には防御を厚くしていると言うのに！
　何処から入った！」


「はい正面門から侵入されました、申し訳ございません」
騎士団長は渋い顔で申し訳無く深々と頭を下げた。


「分かった私の事は良い直ぐに魔獣の討伐をするのだ城内には反撃の出来ない者もいる、
　即座に避難と」


クリス殿下が指示を出している所に執務室の扉がバァーン！と勢いよく開いた！
その音と共に魔獣がこの部屋に侵入して来たと思い騎士団長ザイールとクリス殿下、
クリス殿下の護衛件秘書の騎士が剣を構えた。


のだが目の前にはラルクリム事仔犬がちょこんと座っていた。


皆剣を構えたのだがこれが魔獣？と混乱して固まってしまっていた。


バウッ！ワンッ！
(クリス！如何にかしろ！皆を黙らせよ！)


「えっ？ラル、、、クリム様！？」
突然固まっていたクリス殿下の頭の中にラルクリムの声が響いた。


ワンッ！
(そうだ！わざわざ私から来てやったのに煩わしい！皆を黙らせよ！早くしろ！)


「はっ！はいただ今」


その後クリス殿下は騒動はこの仔犬であって魔獣では無いこの仔犬には害は無いと、
皆に色々と説明をしに護衛件秘書と騎士団長ザイールは確認を怠った騎士達を鍛え直すと執務室を出て行った。


静かになった執務室にはクリス殿下と仔犬のラルクリムが残った。


「はぁー、、、ご勘弁して下さいラルクリム様何故この様な騒動に」


ワンッ
(知らん！私のせいでは無いぞ、私はクリスの所に来ただけで何もしていない)


「イヤイヤ全てラルクリム様のせいでございましょう、はぁー、、、
　もうこの様な事はお控え下さい、神殿の方に言って頂ければ私の方からお伺い致しますので、
　宜しくお願いします」


ワンッ
(知らん)


「はぁー、、、処でそのお姿は？」


ワンッ
(おお忘れておった)


そう言うとラルクリムは普段の姿に光の粒と一緒に戻った、ブルブルと身体を震わせ大きく伸びをした。


「フー、、、小さくなって居たから此処までが遠かったのか、
　失敗したなアムルが小さいと喜ぶからつい小さくままであった」


そんな事で仔犬のまま王城に、、、初めから聖獣の身体だったらあんなに騒動が起きなかったのでは？
とクリス殿下か思うのだが今更で、、、。


「それで今日は如何なされたのですか？」


「ああそうだな私も急いでいる、用件だけ言うぞ！私はフラディー国に行くそれだけだ」


「はっ！あぁーー！？」
気楽にラルクリムは言ったのだが国王クリス、いや国としては大騒動で有る。


そんな事を知らずに聖獣ラルクリムは用は終わったと思い帰ろうとしたのだが、
国王クリスが許さない。


その後ラルクリムは神殿に行き色々と面倒な話し合いをし、
出発するには色々とやる事をやってからと神殿長とクリス殿下に引き留められ、
直ぐにはアムルの元には帰れずにやっと帰れる頃には不機嫌になっていた。