俺TUEEE出来るって常識だよね？

第二章

【閑話】ユキの思い

　怪しい、そしてキモい⋯⋯

　でも、怪しい方が強い！  顔はちょっとカッコイイかもしれないですが。


　だいたい、あんなに何も知らないくせに冒険者なんて普通はあり得ないんです！

　町の人にヒデさんの事を聞いても『真面目だけど、気持ち悪い』『真面目だけど、ニヤニヤしてる』と言うのがほとんどでした。

　子供だって知ってることを知らないんです。別に誰に習うでもなく、成長する過程で勝手に覚えるもんですよ。

　薬草の使い方や、ポーション。スキルとかもです。

　優秀な人なら子供の頃にスキルを覚えて周りに自慢して、親に『スキルを自慢しちゃダメ！』と怒られるなんて良く聞きますし。



　私も初めて覚えた【俊敏】をお母さんに自慢してビンタされたました⋯⋯

　お母さんは昔からの口癖は、『ふざけた事してる奴にはビンタしなきゃわんないんだよ』です。

　勿論私だけじゃなく、お父さんにたいしても、喧嘩した時なんかはビンタしてます。だから3ヶ月前にお父さんが家出しちゃいました⋯⋯


　帰ってきたお父さんは『すぐビンタをするのはおかしい！  この町だからなのか？  と、ずっと思っていたが、周りに聞いてもビンタしないと言うし。お前だけだ！  もうビンタするな！』と、本気で怒ってました。


　もうあれです⋯⋯私とお母さんは、驚愕しました⋯⋯

　すぐにお母さんと二人で周りの家にビンタをしないのか？  と聞き回ったのは言うまでも無いですよね？

　私の人生で一番の衝撃だったです⋯⋯


　それはいいとして、今の問題はヒデさんのあやしさです！

「ヒデさんって子供の頃、薬草使ったりしなかったんですか？」

「えっ？  あ、あぁー。薬草ね。うん、使うこと無かったなー。自然に治すのが良い気がするよな」

　んなバカな！  と思いました。

　絶対に親に持たされるアイテム第一位です！

　だから親がいなかったのかな？  とも最初は思いました。

　でもですよ。


「ヒデさんってなんで武器持ってなかったんですか？  最初は武道家を目指したとか？」

「あー。買う金が無かったからだよ。ってか武道家ってあるんだ」


　何を言ってるんですか？  バカなんですか？  と思いました。

　冒険者は危険な職業ですし、武道家でも無いのに武器無しとか意味がわからないですよ。しかも、職業を知らないとかヒデさんは何を目指しているのか⋯⋯

　しかもですね⋯⋯

「ヒデさんはなんで冒険者になったんですか？」

「あー、宿屋のベックさんに稼げるって聞いたからだよ」

　はぁ？  とも思いました⋯⋯


　冒険者は、なりたい職業第一位ですよ。全ての人がスキルを覚えられるわけではないし、スキルを覚えても冒険者向きのスキルを覚えられ場合だってあります。

　だから、《冒険者向きのスキルを覚えられたら冒険者へ》とも言われてますし。まして、冒険者になってからスキルを覚えたなんて聞いたこともないです。

　きっとヒデさんは何か隠してるはずです！
　そんな人いたら、しばらく様子をみようと思いますよね？
　私も一度気になった事は、答えが出るまで気になってしまいます！
　ヒデさんと行動を共にしていれば、何かわかるはず。

　けっして⋯⋯異性として気になってる訳じゃないです！