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第五章

ボス級の強さ

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 ここは83階、殆どのモンスターが巨大で3m級の怪獣みたいなやつがゴロゴロいやがった。普通に攻撃したんじゃ致命傷は与えられない。

 今も、先ほど倒したばかりだと言うのに、次のドフディックが後ろから、尻尾で凪ぎ払いを仕掛けてきた。
 ドフディックの見た目は、ティラノサウルスの頭と尻尾にトゲトゲがあり、剣のような鋭さを持っている。


「どりゃーーー!!」

 尻尾を避けながらジャンプで顔に接近し、剣で切りつける。

 ドフディックの右目を潰すことに成功し、「ギャォオォォォー!」と、悲鳴を上げながら仰け反る。そこに「サンダー」と唱え追撃する。

 脳天にサンダーをうけたドフディックに隙が出来る。すかさずユキが視界から腕へ連続擊を与え腕を切り落とす。

 今の俺達からすれば、ドフディックは3mの巨体ではあるが、頭突きと尻尾にさえどうと言うことはない。

 その他のモンスターも、最初の戦闘でしっかりパターンさえつかんでしまえば、大きなダメージを受ける事無く倒すことが出来ている。


「やっぱりヒデさんのステータスというのは凄いですね!  一人で何でも出来れば前線での連携も要りませんし」

「何でもは出来ないよ。出来ることだけ」

「は?」

 そういう目で見るのは辞めてほしい⋯⋯。

「いや、なんでもない。まぁ確かに剣も魔法も回復もだからな。デスソードバギルさえ何とかすれば死ぬことは無さそうだな」

「確かにですね。アイツはボス級ですから」

 デスソードバギルはヤバイ。
 ドフディックより少し大きく、腕が四本あり左右どちらにも剣と盾を持っている。しかも顔はドラゴンのようで牙での噛みつき攻撃までしてくる。

 盾でガードしながら剣の攻撃してくる。大振りばかりするので、そこの隙をついて攻めるか、少し距離を取って魔法をぶつけるかの二択になるのだが、倒すまでに20分はかかる。⋯⋯以前の俺なら間違いなく殺されている。

 81階からちょくちょく見かけるが、基本は逃げる事を選択している。経験値とかあるならいいけど、無いのにわざわざ危険をおかすのはね。

 ある程度の安全を確保出来るモンスターのみ倒すことにして進むんではいるからこそ、順調だと思うので、これは戦略的撤退。

 それ以外にも多くの強敵が階を重ねる毎に増していき、流石に一瞬でも油断すれば即さよならになっていたと思える。

 ――――――――。

 でも何故だろう。順調に進んでいると最悪な事になるのは⋯⋯。

 それは、86階で起きた悲しい事件だった。
 何が悪いかと言われれば、運が悪かったとしか言えない⋯⋯。
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