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十四皿目 おいでませ精霊王

23(sideゼオ)

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「さて。わかったら黙って石像のように立ち尽くしていろ愚か者共が、と命令し直しますが、いいですか?」
「よかねーよいっちミリもよかねーよッ! 淡々と怒りやがってェッ! そもそもよ? 悪いのはグラウンドに勝手に入ってきたあの部外者共だぜッ? なんか捜し物があるとかで、隊列組んでふよふよしやがったんだッ! これは副官としてなんとかすべきじゃねッ?」

 それでも納得がいかない勇者は、唇を尖らせてブーイングをする。

「あぁ、全員めんどくさいな……」
「ぐぁぁぁッ! お前さぁぁ部下の言うこともたまには聞けよおおぉぉッ!」

 つい本音が口をつくと子どものように地団駄踏む勇者に、やっぱりめんどくさいとため息を吐いた。

 事情は見ていたからわかるが、聞いてもやはり面倒この上ない。

 なぜか今日来たばかりの魔王城で護衛もせずに、なにやら捜し物をしているらしい護衛部隊も、異常だ。処理せねば。

 更にお仕置きを受けてへたり込む部下の躾も、しなければならない。

 それらをまとめて、結果としてめんどくさいが出てきたわけである。

(捜し物、捜し物ね)

 ゼオは本音を言えば、精霊王の頼みで捜し物をしている彼らのことなどどうでもいい。

 だがやはりなんとかせねば、場が収まらないということを理解した。

 とりあえず燃え盛るサッカーボールを人間のくせに素手で持っている人間詐欺の勇者は、視界から追い出しておこう。

 ゼオはため息を吐いて、仕方なく護衛部隊に向き直り、余所行きの対応で軽く頭を下げた。

「うちの軍魔が迷惑をかけたみたいで、申し訳ありませんね。精霊族の皆様。後で失血死させておきますので、ご勘弁を」
「うん? 陸軍長補佐官かぁ~。あぁ、あぁ、いーよう。俺等捜し物してるだけで、このグラウンドを見て回ろってなったから見てるだけだし」
「そーそー。サッカーの玉には興味ねぇのよ~」
「俺たち精霊は風の向くまま気の向くまま。水が地面に染み渡るように自由なのさ」
「そうなのさ」

 その気の向く先がうちの訓練場だったから困ったものなのだが。

 どうやらそれは全く考えていないらしい。

 本人たちの弁のとおり、ふわふわ浮かんで自然体極まりない精霊たち。

 彼らは他国の軍事施設に入り込んだ罪を、考えてはいないみたいだ。

 まぁ……お客様じゃなければ、確実に仕留めていた。

 軽薄で、無駄が多く、仕事をしない。

 自分の仕事の邪魔をするそんな存在は、誰だろうがみんな大嫌いだ。

 それは不文律であり、〝冷血〟ゼオルグッド・トードの信条である。

 これが終われば終業だから不問にするけれど、ぶっちゃけ精霊族とは気が合わない。早く帰ってもらおう。



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