誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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閑話 嫉妬×監禁×自堕落=最低カレシ

16(side三初)※



「ん…ぁっ……おれ……イったぁ……」

 アォン、という鳴き声。
 声量は大きくないが、喉奥から絞り出すように鳴く。

 男らしい低めの声が掠れて色気を持ち、それでいて言っている言葉は甘ったれた子犬そのもの、というのがあたらそそる。

「……ぁ…ンぁ……ぁあ……」

 御割はのろのろと自身を慰めながら、まどろみの世界へ一時的にトリップした。

 ピク、ピク、と僅かな痙攣を繰り返し、脱力しきっているのに、弛緩した内壁は肉棒にしゃぶりつく。

 三初がひねりあげて潰し続けたせいで、御割の乳首は赤く勃起し、瘙痒感をもたらしている。

 それをスリスリと優しくなでてやりながら、三初はすこぶる笑顔で御割の耳孔にフッ、と息を吐きかけ、舌で舐めた。

「ぁ…っ」
「先輩、こんな俺でも好き? 最低な俺でも、ずっとがいいの?」
「ん…ぁ、んっ……みはじ、め……? んっ……す、きだ……」
「くく、本当ですか」

 風呂場で綺麗に洗ってやったせいであまり御割の味がしない耳を、チュ、チュ、と丁寧に愛撫する。

 一度達したことで先程までの怒りに似た感情がしばしなりを潜め、多少普通の恋人のように構ってやれた。

「んっ……好き……好きだ……」

 耳と乳首を同時に愛撫されながら絶頂感を保たれ続ける御割は、愚直に胸の内を吐露し続ける。

「ぁ……お、俺、お前のこと……ぁ…っふ……わかんね、けど……」
「くく、そうね。あんたが誰とどこに行こうが、なにをしようが、把握しようとは思わないけど……よそ見はだめ。好きなら、俺だけ。俺は、そうでしょ?」
「う、ん……ん……好き…だ……みはじめ、わかんね、はっ……でも……俺は、おまえが……ん、ぁっ……」
「俺が?」
「ぉ……おまえが……ずっと、すき……」

 ──トン、と頬を擦り寄せた。

 御割は不器用で、何度教えこんでも三初の地雷を踏み抜く駄犬で、デリカシーのないアホだ。

 そのくせ気持ちいいことには弱く、三初の手のひらで愉快に踊りよく吠える。

 けれど時折、手首から首元へ駆け上がって、ガブリと喉元に食いついてくるのだ。

 くくく、と機嫌よく笑うと、よくわかっていない御割は喘ぎながら、頬を擦り寄せて甘えた。

「ねぇ? 俺はあんたに意地の悪い言葉を吐いて、辱めて、嘲って、それで満面の笑みを浮かべられるねじ曲がった男ですが……」
「ん……あッ、ッ……」

 それがかわいくて、喉笛にガリッと噛みつき、歯型をつける。

「あんたの吐いた言葉に、間違いなく恋をしますよ」

 ──だから毎日恋してる。
 毎日この人が好きになるのだ。

(マジでこの人、俺のこと好きすぎるでしょ。……でも、俺のがまだ上だけどね)

 それをおくびにも出さずに歯型を舐める三初 要は、愛し方が最低な暴君であった。


 了



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