429 / 454
第十話 誰かこの暴君を殴ってくれ!
09
オレンジ照明が付けられた寝室のベッドの上で、虫のように仰向けで転がり、キョトンと目を丸くする。
(? ……んん? んんー……?)
仰向けに倒れたままの俺は、天井を見つめながら、首を傾げた。
三初は無言のままでエアコンをつけ、おもちゃ箱を取り出し、ローションボトルのストックから三本も封を切っている。
体が熱い。アルコールのせいだ。
眠気は飛んだが、代わりに甘えたい欲望と触りたい願望、それらをされたい邪心で胸がいっぱいだ。
三初は、なにをしたいんだ?
俺は、なにをしたらいい?
よくわからないけど、引きはがされたのは嫌だ。抱きしめてほしい。
そんな俺の甘ったれた思考回路を知ってか知らずか、三初は俺のすぐそばにジャラジャラガシャガシャとあらゆるオモチャのフルコースを放り投げる。
「あ……どこ、みはじめ、触ら、ね……?」
「先輩」
「っう、ぁッ」
三初の気配を追いかけて起き上がろうとした俺の足の間──その奥を、グリッ、とはだしの足が踏みつけた。
按摩と苦痛の境目という絶妙な力加減。
驚いておそるおそる視線を上げると、シャツのボタンを片手で外しながら、手で顔を扇ぐ三初が俺を見下ろしている。
その表情は、ちっとも笑っていない。
本気度がマックスの瞳が、俺と言う獲物を逃がすまいと語っているのだ。
「ひぃぇ……っ」
引きつった悲鳴と共に、ビクッ、と肩が跳ねた。
(こ、怖いぜ、三初ぇ……!)
怒ってる? わけじゃないけど、身の危険を感じた脳が全力で警鐘を鳴らしているのは確かだ。まずい。
「みはじめ、ふ、踏むの嫌だ、お、俺はなにもしてね、よ? なんか、怒って、んのか、うっ……っ」
「んー……俺ね、さっきから異常にヤりたくて、ですね、ふっ……」
「んっ、ぐりぐり、嫌、ぁっ」
「このままだと床に引き倒してダイニングで犯しそうだったから、誕生日にそれはアレだな、と思ってですね」
「い、っい、勃つから、これいや、いやだ、ひ……ッ」
「余裕なフリは十八番だったんで我慢したんですけど……変だなぁ。秒ももたずに、こう、ブチッと」
「ふ、あぅ……っ」
話しながらも足はどけられず、巧みに指が動き、ジーンズの中の俺の陰部をグッグッと踏み弄ぶ。
三初の呼吸が荒い。
(興奮、してる? 俺の計画、成功……した、のか?)
三初が俺に激しく欲情しているような気配を感じて、にへらと頬を緩ませた。
熱の篭った声がエロくて、煽られる。
けれど笑う俺の股間を踏む力が強くなり、俺は「ぃ、あッ」と悲鳴をあげて刺激に追い詰められてしまった。
痛い、の、痛い、けど、俺は感じてしまうから、困る。躾の成果だ。
逃げ場のないネズミのような哀れな瞳で見つめると、ボタンをはずし終えて肌を晒す三初の口元が、ニンマリと弧を描く。
紅潮した頬や胸元に浮かぶ玉のような汗がゆっくりと伝う様子が、鮮麗に見える。
「まー……つまり明日世界が滅ぶとしても、今の俺はあんたのメ✕穴を生チ✕ポでぶっ壊れるまでブチ犯して、俺のザー✕✕を喉とケツで吐くほど飲ませた後、ア✕ル擦り切れるくらい粘膜擦り上げてヒィヒィ鳴かせることしか、考えられないみたいです」
「ヒッ……」
──それはそれは色っぽい美形が、艶姿で笑みを浮かべながら低く甘い砂糖菓子のような声で紡ぐ言葉。
本人史上最も規制音だらけの、エロ同人のような最低な宣言をした。
俺の心は天国と地獄だ。
ドキ、と胸が高鳴ってしまう光景で熱を帯びる目と、ドキ、と恐怖と絶望で高鳴ってしまった鼓動で冷えあがっていく耳。
高低差がありすぎた。
眉を垂らして股間を踏まれながら、俺の目尻にはジワリと涙が浮かんだ。
暴君お墨付きの超強力媚薬を規定量以上投与した時の効果は──三初 要の余裕を、ワンパンで崩せる程度らしい。
シャツを脱ぎ捨てる三初が俺の顎を掴み、正気を失った目で笑った。
「ギリギリ喋れてる間に、さっさと脱いでくれませんかねぇ。──俺の前で息してるとか、誘ってんの……?」
ハッピーなバースデーの夜は、まだまだ長いのだ。
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。