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第3章
第43話 愚か
しおりを挟む「さー!さー!歌いましょー!カラオケなんだから歌わないとね!」
誰も歌おうとする素振りを見せない中、川村さんが先陣を切って曲を入れた。
「おー!いいね!いいね!川村さん、フゥー!!」
「さすが!川村さーん!」
予想に反した激しいイントロが流れ始めると、先輩社員さん達は一気に盛り上がりを見せた。そんな中でも、三ツ矢先輩はまだ月山さんに可愛がられながら舌を絡ませている。
月山さんは興奮で暑くなったのか、ずっと着ていた上着を脱いだ。すると、三ツ矢先輩はシャツの上から月山さんの胸に手を触れた。そのままキスを続ける。ほとんどそれは前戯のようなものだった。見ていられないのに見ずにはいられない。その時、ふいにこちらを見た三ツ矢先輩と目が合った。私を見つめたまま、目を閉じて酔いしれる月山さんの中へ舌を侵入させている。
さすがに見ていられない。多分あれは当て付けでも何でもない。酔っぱらっている三ツ矢先輩は、何にも考えずたまたま目が合った私を見ていただけ。壁を見るのと同じように何も思わず……。
他の人達が大盛り上がりしてる中、私は奇しくも隣の席に落ち着いた智鶴ちゃんに聞いてみた。
「智鶴ちゃんは、あんなところ見せられて耐えられるの?」
「それはもちろん嫌だけど、無理に飲まされておかしくなっちゃったわけだし仕方ないよね。それに、みんなにああゆうことしてても私だけ特別なら、今は大目に見てあげようかなって」
やっぱり、さっき智鶴ちゃんは三ツ矢先輩と特別なことをしたんだ……。不安が更に胸を掻き立てる。
「知りたい?」
得意気に聞かれて少しチクリとした。知りたい気持ちと、知ってしまったら耐えられるのかという恐い気持ちで返事に詰まる。
「知らない方がいいと思うよ?」
智鶴ちゃんのその言葉に触発され、私は自分の意思を見出だした。
「大丈夫、教えて」
私が覚悟を決めた声で言うと、智鶴ちゃんは私に手招きをした。不可解な表情を浮かべた私に「耳元でじゃないと話せる話じゃないから」と小声で言う。私はそのまま体を傾け、右耳預けた。
「……さっきね、お店を出て歩いてたら三ツ矢先輩が来てくれたんだけど、どうせ川村さんとかに言われて嫌々来たんだろうなって思って、嫌がらせのつもりでビルの隙間に入ってったの。……そしたら、三ツ矢先輩も後から入って来て捕まって……。そしたらね、突然下からスカートの中に手入れてきて、すごい勢いで感じさせてきたの……。すごく激しくて全然止まらなくて……どうしたんですか?って聞いても、『このままさせて……』って。しまいにはストッキング破いて中にまで入ってきちゃって……そんなになるまで興奮させちゃったみたい」
智鶴ちゃんは自慢気に微笑み、私は言葉を失った。
「みんなにはキス止まりでしょ?もちろん本当はキスだってして欲しくないけど、仕方ないなぁ…って感じ?あ、あすみちゃんはまだ順番回ってきてないんだっけ?大丈夫だよ、その内こっちにも来るんじゃない?」
「……教えてくれてありがとう」
言いたい事を何も言わず、お礼だけを言った。トイレにでも行きたいのか、視線の先の三ツ矢先輩はかなり楽しんだ月山さんと小島さんの元から移動している。目で追っていると、先輩は私たちの近くまでやって来て空いていた一人用のイスに座った。見たことのない満面な笑みで、何も面白いことなんてないのに何かにウケている。そんな三ツ矢先輩にムカつく。
「二人でなーにしてんの?」
ジョッキ片手に陽気に聞いてきた三ツ矢先輩に、智鶴ちゃんも同じテンションで返す。
「三ツ矢先輩、こっちにも来てくれないかなー?って話してたんですよ!」
「来たよ」
「やったー!じゃあ、三ツ矢先輩、智鶴にもちゅーして」
智鶴ちゃんは目を閉じストレートにせがんだ。
「ん、ちゅー!」
三ツ矢先輩は酒と智鶴ちゃんの調子に飲まれ、側のテーブルにジョッキを置くと、その手で智鶴ちゃんの肩を掴み躊躇なくキスしようとした。
「三ツ矢先輩っ!!」
驚いた三ツ矢先輩がバッと私を見る。もう出遅れていられない……。私は羽織っていた上着を脱いだ。
「……三ツ矢先輩、おっぱい好きですよね?」
「ちょっと?!あすみちゃんっ!!」
当の三ツ矢先輩はじーっと私の胸元を見つめている。その目はもうだいぶ座っていて、理性もほぼ残ってなさそうに見えた。
「おっぱい………好き」
そう言いながら、掴んでいた智鶴ちゃんの肩を離し、私に向かい合うと体に手を回してきた。
「おっぱい舐めていい?」
「えっ……」
予想以上に食いついた三ツ矢先輩に、自分から仕向けたはずの私は戸惑ってしまった。返事を待たず三ツ矢先輩は私のシャツに手をかけ、勝手に何かを始めようとする。
「ちょっ、ちょっと待って下さい!三ツ矢先輩!!」
行為自体は置いといて、さすがにこんなみんなの前じゃ!せめてトイレとか!
心の準備が出来ないまま異様に強い力で迫り来る三ツ矢先輩に押され、後ろに傾いてゆく。背中が壁に当たるともう逃げようがなかった。
「だめよ!みっちゃん!新人さんにそんなことしたら、会社来なくなっちゃうでしょ!」
すんでのところで気づいた川村さんが三ツ矢先輩を制止させた。止められると止められるで少し惜しい気にもなる。叱られた三ツ矢先輩は、何がいけないのか意味が分かっていない様子で困った顔をしている。
「ほらミツ、私のでいいでしょ?」
近くの席から親しげな声がした。どうやら話しかけたのは、今までただ傍観組だった二人の内の一人、風谷さんのようだ。ついさっきまで私の胸にまっしぐらだった三ツ矢先輩はその声にすぐさま反応して立ち上がり、再び狭いの場所を通って風谷さんの元へ行ってしまった。
「風谷いいの?もうダメって言ってたのに?」
風谷さんは、ゆっくりとシャツのボタンを外しながら三ツ矢先輩を見つめている。
「今日は特別……。だって、新人さんにそんなことさせられないでしょ?だから、これで我慢しようね」
そう言った風谷さんはブラジャーを上からめくり、左の胸を完全に出してしまった。すでに散々衝撃を受けもうこれ以上はないと思ったけど、あった……今行われているその光景に、私は今日一番の度肝を抜かれた。現れたおっぱいに三ツ矢先輩は深い深呼吸を始める……。そして、小さい口から舌を出し、乳首をペロペロと舐め始めた……
「出たよ!もー三ツ矢は!」
「もぉ~三ツ矢ちゃ~ん……」
遠野さんは呆れ、月山さんや小島さんは不満そうにしていた。風谷さんは快感に体が動いてしまうのを力んで耐えているように見えた。美味しそうに舐める三ツ矢先輩につい見入っていると、ふと風谷さんと目が合った。
「ミツとは、前に寮で同室だったの。昔から酔うすぐこうでね『おっぱい欲しい』ってワガママ言うから……そんな時はいつも仕方なくね」
風谷さんは私にいやらしい声で説明した。すると今度は、その奥に並んで座っていた先輩が三ツ矢先輩を呼ぶ。
「みっちー、私のも欲しいでしょ?」
真隣で見る三ツ矢先輩の舌使いに火がついてしまったのか、その先輩はシャツのボタンを全て外し、風谷さんに対抗するように両方のおっぱいを出した。三ツ矢先輩は風谷さんの乳首を堪能しながら、横目で見つけた魅力的な状況に気がいっている。
「ミツ、まいのももらってきたら?」
風谷さんは余裕で先輩を送り出す。三ツ矢先輩は不埒にもすぐに隣へ移り、その先輩の右の乳首をコリコリと弄り始めた。
「まいちゃんのも舐めていいの?」
至近距離で言われ、ビクビクと体を痙攣させている。
「いいから、早くしてよぉ……」
その言葉を聞いた三ツ矢先輩は右の乳首を弄ったまま、左のおっぱいをこねるように揉み、指の間から少しだけ顔を出した乳首を速い舌の動きで舐めた。
「まいちゃんはこのくらいが好きだもんね?」
舌を動かしながらだからちゃんと発音出来ていない。
「うん!速いの好きぃ……あっ……あっ……みっちー、そんなに気持ちよくしちゃだめぇ~……」
「まい!まいももう少し恥ずかしがれよ!」
遠野さんが言っても二人は止まらない。
「みっちー、私の美味しい……?」
まい先輩は泣きそうな顔で聞いた。
「うん、すごく美味しいよ。まいちゃんの」
三ツ矢先輩がそう答えると、まい先輩は嬉しそうに三ツ矢先輩を強く抱きしめた。その間も三ツ矢先輩の小さな舌は、延々と動き続けている。両方の乳首をノンストップで責められ続け、まい先輩は体をのけ反り始めた。
「だめぇ……そんなに気持ちくしたらもっと欲しくなっちゃうよ?」
この人は何を言い出してるんだろうか。
てゆうか、これは何なんだ……
誰にでも手を出すんだって思ってたけど、本当の本当に誰にでもなんだ……
私は虚しさで押し潰されそうだった。
私のキスは……?
私は初めてのキスをこんな人にあげてしまったの……?
その時、いきなり三ツ矢先輩がこっちを向いた。
「みっちー?どうしたの?やめないでよぉ~……」
まい先輩は三ツ矢先輩の袖を引っ張り懇願した。
「そう言えば、茅野さんにまだしてない」
一秒前まで一心不乱に舐めていた乳首を口から離して、三ツ矢先輩が私の方へゆっくりと歩いて来た。
「私はいいですから!!大丈夫です!間に合ってます!!」
沢山の人とキスしておっぱいを舐めた後に何を言ってるの……?
限界を迎えた私は、目の前に来た先輩をそれ以上自分に近寄らせないよう、両手を前に出して拒んだ。それでも三ツ矢先輩は動じることなく、力を込めた私の手を簡単に外へ開き、一瞬で私を気をつけの姿勢にして、何も抵抗できないように腕ごと抱きしめた。
「お願い、キスだけでいいからしよ?」
耳元で囁かれた声に全身の力が抜けてしまった。その隙を見逃さず、三ツ矢先輩は私の唇にキスをした。
耐え難い行動に、もう踏み込むのはやめたと決意したばっかりだったのに、不埒で狂ったどうしようもない三ツ矢先輩の唇がこんなにも優しく私を包む……。まるで、私だけは別の人と違うと訴えるように、本当に愛おしくてたまらないんだと切に伝えるように、こじ開けられた唇の間から舌を侵入させて愛してくる……。体に回された腕は壊れ物を扱うような柔らかい手つきで、薄っぺらい幻想を心底信じてしまうそうになる。
結局私は逃れられないんだ……
この人の全てから……
せっかく解けかけていたのに、たった一つのキスだけで、私は再び愚かな魔法にかかってしまった。
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