私は聖女になります、性女（娼婦）にはなりません

第16章 そして、パーティーが始まる

３３０★皇帝アルフレッド、静かなるザマァ宣言

　皇帝アルフレッドの言葉に、アマディウスはにっこり笑って答える。

　「私達も賛成致します

　　何より、姫君が提案していた
　　エンチャントを施した

　　義手や義足、義眼の類を
　　作ってみたいのです

　　中央騎士団の隊長として
　　魔物討伐をおこない

　　部下を庇って片腕を失い
　　騎士を引退した弟の為にも………」

　アマディウスの発言に皇帝アルフレッドは頷き、人の悪い顔でニヤリと笑ってい言う。

　「そうか、ならば
　　その為の予算を組もう

　　皇女達は全て皇籍を離れるので
　　その予算が残るから

　　予算の再編は簡単だしな」

　その発言は皇女全員を、皇族としての扱いをしないと宣言したに等しいものだった。
　そのちょっとアレな発言に、ルーセア大公アスランがニヤッと黒く嗤って打ち合わせどおりに質問する。　　

　「確かに、皇女が嫁ぐと
　　皇女の歳費は必要ありませんね

　　では、妃達はいかがなのですか？」

　アスランの予定通りの言葉に、皇帝アルフレッドは漆黒のオーラを纏い、心底嬉しいという表情で答える。

　「西の妃、キャロラインを皇妃に………
　　リリアーナは、離縁し
　　サラディール王国に返品する」

　その宣言に、その場に居た騎士団長達やその側近達は、嬉しくなり小さく叫ぶ。

　『塩ババアざまぁみろ』

　勿論、こころはひとつになっていたので、見事に声がハモり、まるでひとりが言ったかのように、綺麗に揃っていた。

　この場に居る者達は、聖女とその夫の皇帝の間に生まれた子供達の子孫達だったので、塩を握って強引に皇妃になった（居座った）リリアーナを心底嫌悪していたのだ。

　だから、嬉しくてつい叫んだのだった。
　ただし、この場にはバルディア侯爵等の有力な貴族や大臣達等はいなかった。

　そう、ここには権力を求めない者達のみが集まっていたから………。

　権力には義務と責任があり、その責務を果たす為に、騎士や魔法使い、神官になり、命の危険をものともせず活動している者達のみに、重要な情報を最初に与えるコトにしたのだった。

　そして、アルフレッドの長年の苦労に対する対価としての望みをアスランは口にする。
　それはそれは楽しそうに、キャロライン以外の妃に対する悪意の籠った言葉を………。

　アスランは、皇帝としての義務で７人もの妃を娶り、５人の皇女と１０人の皇子を設けた兄アルフレッドに幸せになってもらいたかったから………。

　兄に負担を強いる、皇妃リリアーナが大嫌いだった。

　「残りの妃様方は？」

　「全て下賜する

　　皇太子は、アンジェロを廃す
　　色を持たぬゆえな

　　そして、誕生時から現時点まで
　　皇帝位を示す

　　銀の髪に紫紺の瞳を有する　　
　　アルファードを皇太子となす

　　アルバードを、皇位継承権
　　第１位の皇子として残す

　　が、それ以外の皇子は
　　すべて臣籍降下させる

　　ただし、アンジェロは
　　皇位継承権を剥奪して
　　皇族として扱う」

  聞きたかった皇帝の宣言に、その場に居た者達は、無言で嬉しそうにコブシを握って、ガッツポーズをとる。
　このポーズは、歴代の聖女達が伝えた物のひとつだったりする。

　そんなアルファード達を、皇帝アルフレッドは苦笑しながら見ている。
　ひとしきり騒いで興奮が収まった頃に、アスランがまた話し出す。
　
　「下賜する相手は
　　お決まりですか？」

　「いや、まだ、決まっていない」

　「陛下、我が母
　　赤の妾妃マルガリータは

　　財務大臣補佐官のハイデン子爵
　　ルパート・ヘルマンが
　　良いかと思います」

　キデオンは、にっこり笑いながら、母親が知ったら嘆き悲しむコトを平気で口にする。
　それに被せるように、レギオンも母親の下賜先を平然と提案する。

　「陛下、我が母
　　青の妾妃ビビアンは

　　外務大臣補佐官のルクセン子爵
　　ラッセル・ヘンリーが
　　良いかと思います」