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閑話
◆エリカのお願いは叶えられるか2◆アルファードの苦難
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そう、皇妃リリアーナとの遣り取りをアルファードは思い出していた。
貴族の姫君達に辟易し、アルファードの我慢の限界を超えそうな頃に、まるで見計らったように現われる女。
それが皇妃リリアーナだった。
そして、同じ話しを何度も口にする、執念深い女だった。
『あらあら、陛下の長男なのに
姫君をあしらうことすら出来ないの?
西の姫君は、その程度の
教育も出来ないのね
やっぱり、側室の姫は………
アレなのかしら?
陛下の寵愛をいただく
資格がない方なのね』
何か言えば、何十倍にも跳ね返ってくるので、アルファードは無言でいる。
『…………』
アルファードが口を開いても閉じても、皇妃リリアーナは何時も因縁をつける。
『まぁ~幾つになっても
幼い姿の貴方を大人と思えず
子供扱いのままなんでしょう
子供がお飾りで出来る
団長職なんですものねぇ………
本当なら…私の皇子が………
魔法騎士団の団長に相応しいのに…』
周りの貴族達も、また、始まったという表情で見て見ぬ振りをする。
それを平気で遮り、アルファードを連れて逃げてくれるのは、オスカーだけだった。
でも、今夜、オスカーの姿もマクルーファの姿も無い。
アルファードを守る盾は存在しない。
アルファードの優しい柔らかな感性を持つ心を守るのは…………。
口を開かないという方法で、自分を守るしかない。
皇妃を殺さないように自制するのは、毎回苦痛で仕方ないアルファードだった。
皇妃の後ろ盾のあの国を、いっそ滅ぼしたいと思いながら、国の為にひたすら我慢するアルファードだった。
『…………』
黙っている為に、それ以上のコトを起こせないコトに皇妃リリアーナは焦れてさらに、アルファードを怒らせる為に口を開く。
『何も言い返せないのは…………』
が、そんな時に、体調が悪いのをおしてアルファードの父である皇帝が姿を現すのだった。
開口一番にリリアーナを叱責する。
『何をしている…アルファードは…
私の第1皇子で………
そなたのアンジェロの兄なのだぞ
あまり絡むな
アンジェロの《魔力》では………
魔法騎士団の団長にはなれない
何度も言わせるな
たとえ皇妃と言えど
騎士団の人事に口出しは無用
出すぎたマネはするな』
祖国の後ろ盾が有ろうが、この国の皇帝に皇妃は逆らえない。
それを判っていても、皇妃リリアーナは言い募る。
暗い喜びを内に秘めて…………。
『でも、陛下
何時になったら成人出来るかも
判らない者よりも………
私のアンジェロの方が……』
皇妃リリアーナを黙らせるには、この場所から引き離す以外に無いと知っている皇帝アルフレッドは、男らしいのだが麗しいとしか言いようの無い顔で柔らかく微笑む。
皇妃リリアーナの耳元に屈み込み、美しい銀髪を揺らしながら、その耳に優しく囁く。
紫紺の瞳を細め、男の色気を漂わせて、まるで夜の秘め事を囁くように。
『リリアーナ…ソナタ……
体調が思わしくないようだな
私が、そなたの離宮まで
連れて行ってやろう』
皇帝アルフレッドに一目惚れして、強引に嫁いできた皇妃リリアーナは自分だけを見詰めてくれる、この瞬間が何よりも嬉しかった。
彼女にとって至福の一瞬なのだ。
だから、未だに、頬を少女のように染めて言う。
『あっあの…陛下』
それ以上、その口を開くなとでも言うように、軽く唇に触れる皇帝アルフレッドだった。
おとなしくなった皇妃リリアーナをエスコートしながら、皇帝アルファードに言う。
『皇妃を送ったあと戻る
アルファード…しばし待て……』
アルファードに否やという気は無かった。
だから、素直に頷く。
『はい』
まるで、儀式のように、同じことが夜会のたびに繰り返される。
オスカーという盾が無ければ…………。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
内容が明後日に行ってしまった(汗)
オスカーを怒らせると、こういう目に合うので………。
とりあえず、3に続きます。
貴族の姫君達に辟易し、アルファードの我慢の限界を超えそうな頃に、まるで見計らったように現われる女。
それが皇妃リリアーナだった。
そして、同じ話しを何度も口にする、執念深い女だった。
『あらあら、陛下の長男なのに
姫君をあしらうことすら出来ないの?
西の姫君は、その程度の
教育も出来ないのね
やっぱり、側室の姫は………
アレなのかしら?
陛下の寵愛をいただく
資格がない方なのね』
何か言えば、何十倍にも跳ね返ってくるので、アルファードは無言でいる。
『…………』
アルファードが口を開いても閉じても、皇妃リリアーナは何時も因縁をつける。
『まぁ~幾つになっても
幼い姿の貴方を大人と思えず
子供扱いのままなんでしょう
子供がお飾りで出来る
団長職なんですものねぇ………
本当なら…私の皇子が………
魔法騎士団の団長に相応しいのに…』
周りの貴族達も、また、始まったという表情で見て見ぬ振りをする。
それを平気で遮り、アルファードを連れて逃げてくれるのは、オスカーだけだった。
でも、今夜、オスカーの姿もマクルーファの姿も無い。
アルファードを守る盾は存在しない。
アルファードの優しい柔らかな感性を持つ心を守るのは…………。
口を開かないという方法で、自分を守るしかない。
皇妃を殺さないように自制するのは、毎回苦痛で仕方ないアルファードだった。
皇妃の後ろ盾のあの国を、いっそ滅ぼしたいと思いながら、国の為にひたすら我慢するアルファードだった。
『…………』
黙っている為に、それ以上のコトを起こせないコトに皇妃リリアーナは焦れてさらに、アルファードを怒らせる為に口を開く。
『何も言い返せないのは…………』
が、そんな時に、体調が悪いのをおしてアルファードの父である皇帝が姿を現すのだった。
開口一番にリリアーナを叱責する。
『何をしている…アルファードは…
私の第1皇子で………
そなたのアンジェロの兄なのだぞ
あまり絡むな
アンジェロの《魔力》では………
魔法騎士団の団長にはなれない
何度も言わせるな
たとえ皇妃と言えど
騎士団の人事に口出しは無用
出すぎたマネはするな』
祖国の後ろ盾が有ろうが、この国の皇帝に皇妃は逆らえない。
それを判っていても、皇妃リリアーナは言い募る。
暗い喜びを内に秘めて…………。
『でも、陛下
何時になったら成人出来るかも
判らない者よりも………
私のアンジェロの方が……』
皇妃リリアーナを黙らせるには、この場所から引き離す以外に無いと知っている皇帝アルフレッドは、男らしいのだが麗しいとしか言いようの無い顔で柔らかく微笑む。
皇妃リリアーナの耳元に屈み込み、美しい銀髪を揺らしながら、その耳に優しく囁く。
紫紺の瞳を細め、男の色気を漂わせて、まるで夜の秘め事を囁くように。
『リリアーナ…ソナタ……
体調が思わしくないようだな
私が、そなたの離宮まで
連れて行ってやろう』
皇帝アルフレッドに一目惚れして、強引に嫁いできた皇妃リリアーナは自分だけを見詰めてくれる、この瞬間が何よりも嬉しかった。
彼女にとって至福の一瞬なのだ。
だから、未だに、頬を少女のように染めて言う。
『あっあの…陛下』
それ以上、その口を開くなとでも言うように、軽く唇に触れる皇帝アルフレッドだった。
おとなしくなった皇妃リリアーナをエスコートしながら、皇帝アルファードに言う。
『皇妃を送ったあと戻る
アルファード…しばし待て……』
アルファードに否やという気は無かった。
だから、素直に頷く。
『はい』
まるで、儀式のように、同じことが夜会のたびに繰り返される。
オスカーという盾が無ければ…………。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
内容が明後日に行ってしまった(汗)
オスカーを怒らせると、こういう目に合うので………。
とりあえず、3に続きます。
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