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第9章 魔法騎士団本部にて
122★甘いモノは癒しになります
しおりを挟む「ああ、マクルーファの部下で
文官系の仕事が出来るのは
ランスロットとデュランだったと思ったな」
アルファードの言葉に、エリカはちょっと考えてから聞く。
「オスカーさんの部下は?」
「全員、文官並の能力があるぞ」
当然のように言うアルファードに、エリカはちょっとだけマクルーファに内心で同情する。
「なる程、だから、マクルーファさんは
書類仕事がダメなのね」
だが、端的に事実だけを口にして、アルファードの心を擽ることは忘れない。
伊達に、パパの部下をさりげなく褒めるという技を習得していないエリカだった。
「そう、出来る部下が少なすぎるからだ」
アルファードの機嫌が良い状態だと判断したエリカは、話しを元に戻す。
「じゃなくって、今は改装の話しを
進めなくっちゃね
撫子さん達は、何か希望がありますか?」
エリカからの問い掛けに、聖女候補達は小首を傾げるが…………。
問い掛けられた撫子が代表で答える。
「ううん、今は、何も思い浮かばないの」
そのセリフにコクコクして、桔梗が溜め息を吐きながら言う。
「なんかねぇ……あの、妙にねっとりとした
ストーカー視線から逃げられただけで
今は、ほっとしたって状態で…………」
〔あっ…緊張から解放された虚脱感か……
まぁ…そうだよねぇ…同じ《召還》された
エリカが身を寄せた魔法騎士団のところに
逃げてくるくらいだから……
短期間でもすっごいストレスだった
ってことだよねぇ……〕
エリカはその心情を思いやって言う。
「じゃ、エリカがざっとやっておくから
お菓子でも楽しんでね」
その二度と聞けるはずの無い言葉に、思わず百合が聞き返す。
「えっ、お菓子?」
喜色の浮かんだ問い掛けに、エリカは頷いて言う。
「うん、あの時の荷物の中にね
ポテチ、ポッキー、チョコ、ビスケ
おセンベイ、カリントウとか
色々と入っているから……
良かったら、気分を落ち着ける為にどう?」
そういうモノが大好きな蘭が、心底嬉しそうに言う。
「うっわぁーうれしいっ」
蘭ほどではないが、全員無意識に顔が綻んでいた。
それを見て、エリカはふんわりと笑って言う。
「コーラとかもあるから、好きなの選んでね
ダイエットは、気にしなくても大丈夫よ
だって、ストレスが山のようなときって
太れないでしょ」
その言葉に、鈴蘭が肩を竦めて言う。
「ふふふ……もしも太っても
訓練で痩せそうだから平気よ」
鈴蘭の言葉に、自分のぽっちゃりを少し引き締められたらということで、競技にでれるほど頑張ってしまったエリカだけに、ちょっと苦笑いが零れる。
〔頑張って乗馬して痩せたら…………
パパとお兄ちゃんが心配して甘やかすから
もとに戻っちゃったのよねぇ~……はぁ~
甘いモノに目が無いエリカを、色々なお店に
パパとお兄ちゃんが連れてってくれるんで
ついつい食べちゃって……リバウンド……
ほんと、元の木阿弥だったなぁ~…………
でも、滅多に行けないようなスイーツの
お店ばかりで、新作三昧だったから……〕
などと、リバウンドしたぽっちゃりり言い訳を心の中でしつつも、エリカは言う。
「そうね、乗馬の訓練はけっこう大変だから
間違い無く痩せるとおもうわ……
それと、剣とかの武器の扱いを覚えて……
まっ…二三日はゆっくりしても良いと思うの
ねっオスカーさん」
エリカにそう話しを振られたオスカーは、落ち着いた口調で答える。
「そうですね、聖女候補の姫君達には
ここでの生活に慣れて頂く方が良いと
思います
何と言っても、突然の環境の変化は
きついと思いますので……」
オスカーの言葉に、既に魔の森から湧き出した魔物の討伐に参戦したエリカは、大きく頷く。
「確かに、そうですね
特に魔物とか瘴気とかが存在するってことに
慣れる必要がありますね
魔物の気配を察知する魔法があるなら
まず、1番最初に覚えるべきですね」
エリカの言葉に、そういえばそういうモノがあると教えていなかったと思い、オスカーは言う。
「探知とか探索の魔法は
体内の《魔力》循環を覚えて
身体強化が出来るぐらいになってから
覚えるモノですから…………
聖女候補の皆さんには
まず瞑想から始めていただいたほうが
良いと思います」
そのセリフで、やはり魔法習得にも順序があるらしいことを知るのだった。
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