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第12章 エリカはポションを作ってみたい
190★エリカの憧れの女子会は恋バナになりませんでした 後編
しおりを挟む最初に立ち直った桔梗がきっぱりと言う。
「私は、侍女に着替えとかを
手伝ってもらったりするのは嫌だわ」
牡丹も拒絶的なセリフを口にする。
「私も、お茶は自分で飲みたい時に
さっと煎れたいわ
だから、いらないのよね」
それにうんうんと頷き、撫子も同意の言葉を口にする。
「そうだよねぇ~…子供や怪我人や
病人でもないのに、身の回りの
世話をされるのはゴメンだわ」
言外に鬱陶しいというニュアンスを込めて言う撫子に頷きながら、鈴蘭が嫌そうな表情で言う。
「それに、守護騎士様達に色目を使って
私達に意地悪する可能性もあるもの」
鈴蘭のセリフに頷きながら、百合も自分の懸案を口にする。
「だって、基本的に侍女って
下級の貴族出身なんでしょ?
私達は、所詮、一般市民だもの
肩こり間違いなしって感じだわ」
それぞれの見解に頷きつつも、やはり最初に質問の答え(エリカがアルのセイで侍女は付かないと言った)に疑問を投げかける。
「エリカちゃん、アルファード様の
セイってどういうコトなの?」
桔梗のセリフに、エリカは肩を竦めて答える。
「実は、アルって嫉妬深いらしいのよ」
エリカの答えに、珍しく鈴蘭が突っ込む。
「エリカちゃん、今の言い方って
なんか変だけど?」
言われたエリカは困ったような表情で言う。
「うぅ~ん、実際に何かしているのを
見たわけじゃないからねぇ……
なんとも言えないんだけどね
アルは、私の髪を洗うのも乾かすのも
梳かすのも結うのも自分以外に
させたくないって言うの
もちろん、着替えも」
エリカからの答えに、これも珍しく察した蘭が聞く。
「もしかして、自分以外の人間に
エリカちゃんを絶対に触らせたく
ないっていうコト」
その確認の意味の問い掛けに、エリカはちょっと気恥ずかしげに頷く。
「うん」
思わず、聖女候補の美少女達は声をハモらせて言う。
「「「「「「うっわぁー」」」」」」
比較的立ち直りの早い牡丹が、エリカに問いかける。
「物凄い執着と嫉妬心って感じね
重たくないの?」
エリカは牡丹のセリフに、ちょっと小首を傾げながら答える。
「う~ん、髪を洗うとか乾かすとか
梳かすとか結うとかって、お兄ちゃんや
パパにやってもらっていたから
別にねぇ~ちょっと恥ずかしいけど
そこまで、辛いってコトは無いわ」
エリカのサラリとした説明に、美少女達は悲痛に叫ぶ。
「「「「「「ヤマト様ってば
執着系男子だったのぉぉぉ」」」」」」
憧れのヤマトが、妹(エリカ)大好きのかなりぎりぎりで危ないシスコンだというコトを知ってしまった美少女達は、知らなきゃ良かったと心の底から思ったのだ。
そして、超絶美形のアルファードが、粘着?執着?独占欲?の持ち主で、
エリカにベタ惚れだとわかり、エリカに同情した。
が、その一瞬の後に、当の本人は、兄や父に執着?粘着?溺愛されていたので、ちょっと恥ずかしいで流していたことに驚き、哀れんでしまう。
首を傾げてきょとんとしているエリカに、なにをどう言うって良いのかわからない美少女達がいた。
それでも、気を取り直して、再度、エリカに話し掛ける牡丹はチャレンジャーだった。
「エリカちゃん、オスカー様って
常識家だよね?」
「うん、たぶんそうだと思う
男爵家の5男だから
一般市民の常識にも詳しいし
公爵の伯父様がいるから
上級貴族の常識にも詳しいよ」
「だったら、何故、アルファード様の
行動を止めないの?」
「アルの私の世話を、自分以外に
させたくないって性格は
《力》のある聖女を皇妃にした
皇帝の性格だから諦めてるって
言っていたもん
それを聞いて、私も諦めたの」
「「「「「「マジ?」」」」」」
「この国で1番有名な寵愛の聖女様の
夫君の皇帝陛下は、入浴の世話から
アレの世話まで無理矢理していたって
聞いたから……諦めてるの」
「アレって、もしかししてアレのコト」
「そう、月に1度やってくるアレ」
「「「「「「マジでぇぇー」」」」」」
「あのね、皇族や上級貴族でも
聖女を娶ると、その世話を
全部自分でしたがるの
それが習慣になっているのよ
だから、みんなも結婚したら
私と同じコトをされるって覚悟してね」
「「「「「「うっそぉぉぉーここは
変態の国なのぉぉぉ」」」」」」
「ううん、嫉妬深いだけよ
最愛の妻に触れるのは、自分だけって
狭い心がそうさせるのよ」
「「「「「「マジでカンベンして
欲しいわぁぁ」」」」」」
こうして、このドラゴニア帝国の王侯貴族と聖女の関係という、女子会の恋バナとは程遠い会話が続くのだった。
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