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0157★調味料が、切実に欲しい
しおりを挟む周囲にキケンな気配が無いとは言え、神護にとっては【竜ケ峰】の樹海もどきは未知の領域なので、あまり孵化したてで、固体としてか弱い白夜の側から離れないようにしていた。
「おたませ、白夜………一応、俺のいた世界の竹に似たモンで
スプーンを作ってみたが………」
そう言いながら、神護は白夜に竹細工のスプーンを手渡した。
ハチミツが食べたかった白夜は、そのスプーンににっこりと笑う。
「ありがとうございます 父上」
早速と、コップのハチミツにスプーンを突き刺す白夜に、神護は思い出したように言う。
「そういえば、こっちにもあるのか?」
コップのハチミツを、竹細工のスプーンで掬いながら、訊き返す。
「なにがですか? 父上」
「ぅん…いや、幼児に、ハチミツを
食べさせるなって言うヤツだ………」
神護の言葉に、パクッとハチミツを口に入れてから、白夜は小首を愛らしく傾げてから、首を振る。
「そう言う話しは 聞いたコトありませんが
んんぅ~ はぁ~… 甘くておいしぃ~………」
「ふ~ん…無いのか……常識が違うのかな?」
白夜は、そう呟く神護の言葉など、もうその時には聞いていなかった。
〔うわぁ~…美味しい……本物の【竜ケ峰】産の
極上品のハチミツだぁ~ あぁ あのバニラシードの香りがする〕
白夜は、ハチミツの美味しさにうっとりしていて、自分の翼の根元に塗られたモノにまるっきり興味を向けることは無かった。
ご機嫌でハチミツを一心に食べる白夜の姿を見ていた神護は、ちょっと考えてからくすっと笑う。
くすくす…白夜ってば、あのハチミツを、ほんとぉ~に
美味しそうに食べているなぁ~……卵から孵化してから………
色々とあったセイで、ろくなモンを食べさせて無いのに…………
母親の明日香が、事故によって昏睡状態に陥った時から、弟妹を育ててきた神護の心情からすれば、かなり複雑であった。
もう少し、きちんとした栄養価を考えて、料理したモノを
白夜に食べさせたいなぁ………
つっても、ここにはなぁーんも無いしなぁ……
調味料も調理器具も無い
この状態では、食べさせられるモノにも、限りがあるよなぁ……
基本的に、採取したモノになっちまう
獲物を獲っても、調理に使う調味料が無い
せめて、基本調味料の、さしすせそ、が欲しいぜ
《※さ=砂糖 し=塩 す=酢 せ=醤油 そ=味噌》
それに、マヨネーズにトマトケチャップにソースかな?
あとは、コショウにワサビに唐辛子かな?
山椒はあまり使わないから必要ないけど………
あとは、健康的な食生活って言ったら…………
まごわやさしい、だよなぁ……はぁ~…
《※ま=豆 ご=ゴマ わ=わかめ等の海藻類
や=根菜も含む、野菜全般 さ=魚介類
し=しいたけ及び、きのこ類 い=いも類》
そう考えてから、神護は無いモノねだりだよなぁ~と溜め息を吐く。
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