173 / 328
0173★砂漠の中にある街道を目指そう
しおりを挟むホタルの言葉に、神護は頷いてから、改めて山積みされた獲物達を見詰める。
えぇ~とぉ…見た目が、ウマやシカに近いヤツにイノシシもどきに
…うわぁぁ~……でっけーウサギ………あんなモンが
この樹海もどきン中にいたのかよ?
じゃなくて、どの獲物もとにかく大きいな、つーか…もしかして…
卵が孵化した時を考えて、大きいのを狙って狩ったのか?
なんとなくだが、大きいモノを中心に獲ったとわかる獲物の山に、神護は素直に腕輪を外して翳した。
流石に、1頭ずつ入れる労力を考えると、横着したくなるのは人情である。
「ホタル…お前も腕輪ン中に戻るか?」
腕輪を元の位置に戻しながらの問いに、十分に獲物を獲ったホタルは素直に頷く。
「はい 今日は十分獲れましたので……」
そう言って、腕の定位置に落ち着いた腕輪に、スゥーと吸い込まれるようにきえるのだった。
腕輪の中にホタルが入ったのを確認し、神護も眠りに入る為に、膝に乗せている白夜を抱えなおし、リオウに寄りかかるようにして、双眸を閉じた。
ゆっくりと忍び込むように訪れた睡魔に身を任せ、神護も暫しの休憩をするのだった。
そして、翌朝、日の出と共に起床した神護は、とても清々しい気持ちで目覚め、ゆっくりと辺りを見回す。
昨日は、暗かったから、あまりはっきり認識できなかったが
樹海もどきの稜線は、微妙な具合で日光が入るお陰で
あっちこっちに、雑草が生えているな
ゆっくりと確認するようにしながら歩けば、生姜の他にもなにか
香辛料になりそうなモノがあるかも……………
などと、神護が思った頃、腕の中の白夜が目を覚ます。
少しもぞもぞしてから………。
「おはようございます 父上」
上機嫌で、にこにこしながらの挨拶に、神護も優しく答える。
「ああ、おはよう白夜…よく眠れたか?」
神護からの問い掛けに、すっきりとしている白夜は嬉しそうに頷く。
「はい とっても気持ち良く眠れました」
「そうか、良かったな、白夜」
そう言って頭を撫でてから、神護は言う。
「昨夜、白夜が眠った後に、ホタルを《召喚》したんだ
俺達の現在地を確認するためにな………したらよぉ~
どうやら、俺達は【竜ケ峰】の裾野にある街と
真反対の位置に、降りちまったらしいことが判ったんだ」
神護の説明に、白夜は愛らしく小首を傾げる。
「真反対ですか」
「ああ、だから…このまま樹海もどきの稜線を延々と歩いて
真反対のふもとの街まで行くよりも…………
砂漠の中にある街道を目指そうと思うんだ、あっち側の街には
俺達の敵がものすごく居そうだったからな
ここは、別の離れた街を目指した方が良いと思うんだ」
「そうですね 私も 【転生】の前に 敵に襲われましたから
その方が良いです」
「んじゃ、それで決まりな」
こうして、今後の行動はあっさりと決まったのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
602
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる