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0211★神護は、足になる馬が欲しい

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 〔グレンが居るだろう彩湖さいこ王国の東の端の美里みさと街や
  シレイが捕まっているだろう波璃湖はりこ王国の西にある
  蝦蟇野がまや街に 早く行きたい 

  父上も 移動に便利な足が欲しいと言っていたし

  これだけ大きくなった翼なら きっと飛翔族の祈願成就の《力》が
  発揮されるはず ここでもう一度 父上の欲しいモノを聞くんだ〕

 「父上ぇ 父上が 今欲しいモノって なんですかぁ?」

 ちょっと甘えを含んだ声で、何気なく白夜が問いかけてきたので、神護は上の空で答える。

 「あぁ~…そぉ~だなぁ~……今、欲しいモノって言ったら……
  やっぱり、ここは馬…かな? いや、砂漠だとラクダか?

  でも、俺として馬の方が良いよなぁ~…扱いずらいラクダよりも
  馬の方が指示に従ってくれそうだし………」

 神護の答えに、白夜は首を愛らしく傾げる。
 その仕草から、自分が何故そういうモノを欲するか理解わからないらしい白夜に、神護は小さく微笑いながら、説明を付け加える。

 「ああ、なんで馬が欲しいか理解わからなかったか?
  ほら、徒歩だとどうしても、1日の距離がかせげねぇーだろ

  何処に行くにも、徒歩よりは馬の方が早いからな
  まっ、別に馬本体じゃなくてもイイんだけどな

  馬のように乗れる生き物なら、なんでもイイんだけどよぉ…
  リオウが成獣だったら乗せてもらうところだけどな
  まだまだ、見るからに子供だから負担は掛けられないしな

  走っての移動も、こんな歩きにくい礫砂漠れきさばくじゃ~
  流石に、限界があるからなぁ………

  それに、あのいにしえの女神の神殿への《転移てんい》も
  どこまで使えるかわからないしな」

 辺りを見廻しながら歩く神護は、ここが完全な礫砂漠れきさばくで不毛な地域ではないことを知る。
 よく見れば、木陰が消えた草原?と、いうよりはサバンナに近いところが帯状に、礫砂漠れきさばくの中を走っていた。

 へぇ~…ホタルの視界と繋いだ時に…変な見え方してたのはコレか
 あん時は、夜だったし、高高度からただけだったからなぁ

 ふむ……歩きにくい、礫砂漠れきさばくを歩くよりも
 このサバンナ風の帯の上を歩いた方が足への負担が少なそうだな

 「白夜、リオウ、少し向こう側の草が生えてっとこに移動するぞ
  この足場の悪い礫砂漠れきさばく自体を、そのまま延々と歩くより
  少しでも何か生えている方が、足への負担が少ないからな」

 そう言って、走り寄って来た白夜をひょいと抱き上げ、サバンナ風の帯へと足を向ける。
 当然、白夜の後を付いて歩いていたリオンも戻って来て、神護の隣りを歩き始める。

 ただ、視界を遮るモノが何も無い礫砂漠れきさばくは、サバンナ風の帯までの距離が意外とあり、神護は延々と歩くコトになった。
 そのお陰で、神護の歩く振動で、眠気を感じた白夜は、そのまま眠りへと落ちた。

 腕の中の白夜が少し重くなったことで、眠ったことに気付いた神護はかすかに笑う。

 ふっ…楽しくなって歩いていたが…やっぱり、慣れないヒールで
 歩きにくい礫砂漠れきさばくを歩いて疲れたようだな
 ぐっすり眠れ、白夜……寝る子は育つからな




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