異世界召喚に巻き込まれました

ブラックベリィ

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003★こちらで名乗る名前は決まりました

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 黒田君こと、ハルトが優しい表情で私に言う。

 「アリアはちっちゃくて可愛いよ。フリルとかレースのたっぷり付いたドレスを作って着せたいぐらいにね」

 えっと~…私に、フリルやレース付きのドレスですか?
 流石にチンクシャだから、似合わないと思うんだけど………。
 小心者だからはっきり否定できない………。
 ここは、驚きで似合わないよぉ~のニュアンスを………。

 「えっえー………」

 びっくりを演出しても、ハルト君はクスクスと笑ってグイグイと来る。

 「そんなに驚かなくても、俺もジークも裁縫は得意なんだ。妹達がいるからさ」

 それに便乗して、弓の王子様こと、沢田竜司君…って、面倒くさいわ。
 ここはもう、ジーク君と呼んだ方がよさそうね。
 こっちも、ガツッと笑顔で突っ込んで来る。
 勿論、かなり黒い笑顔ですわ。

 「それに、巻き込まれの俺達じゃなく、メイン召喚されたアイツ等も、実は乙女メンでさぁ…色々と作れるんだよ」

 ジーク君のセリフに、私は小首を無意識に傾げてしまう。

 「えっとぉ~…なんか、イメージと合わないんですけど」

 私のセリフに、ハルト君が笑って聞く。

 「じゃーアイツ等は、どんなイメージなのかな?」

 召喚した人達がそっち(メイン召喚された方)へと声を掛けているのを横目に、私は素直に思ったままを口にしていた。

 「えっ…そりゃーどっちも、女ったらしのチャラ男かな? それと、ユニコーン厨だって噂もあったけど。なんか、どっちも合わないって思うんだけどねぇ……」

 私の言葉に、ジーク君がクスクスと嗤って言う。

 「ハズレだよ。アイツ等は料理や裁縫や掃除洗濯が大好きで、可愛いものや綺麗なものが大好きな乙女メンだよ」

 そのセリフに、私はハッとして聞く。

 「もしかして、知り合いなの?」

 「友達だよ」

 「………」
 
 「じゃ、ちょっと、声を掛けるよ」

 どうして、声をわざわざかけるの?

 「えっ?」

 露骨に疑問という表情をしていたのだろう、ハルト君がクスクスと笑いながら言う。

 「名前に統一性を持たせないと、仮名だってバレるだろ?」

 「でも」

 困惑という表情の私に、優しく微笑んでハルト君が言う。

 「大丈夫、アイツ等のハンドルネームで呼びかけるから、ねっ」

 そう言って、ハルト君はさりげなく声を掛ける。

 「アルス、アルスラーン、ちょっとイイかな?」

 ハルト君の呼びかけに、バスケの王子様が振り返った。
 そして、違和感無くそのままハルト君に向かって片手を上げて言う。

 「ん?ラインハルト、君も召喚されていたのか?」

 バスケの王子様改め、アルス君が気安く応じて答える。

 「そうらしい。ダリューン、ここじゃ、ひと狩り行こうって言葉が、ゲームじゃなく、リアルになりそうだな」

 こちらを認識したゴルフの帝王様が、どうやら状況を認識して、ハルト君とジーク君の意図を察して頷きつつ、私を見て顎をしゃくる。

 「ああ、リアルでモンハ○になりそうだな。ハルト、ジーク。そっちのお嬢さんは?」

 その問いかけに、ジーク君がさらりと答えてくれる。

 「同じクラスのアリアンロッド・フォン・バリュキリーだ。アリアって呼んでる。そっちは?」

 「みんな、ハルトとジークに自己紹介してくれ」

 「私は、アンネローゼ・フォン・ミューゼル。ローズと」

 「私は、マリアテレジア・フォン・ブルグ。マリアです」

 「私は、エリザベート・フォン・ベルゼ。エリーです」

 北高のビッチ…げふんげふん…美少女達は、それぞれドイツ風の名前を名乗ってくれた。
 銀○とかベルバ○とか結構、機転が利くみたいね。
 まっ、男を手玉に取るんだものおバカさんじゃ無いねって思ったわ。
 会話している私達を見て困惑しているって視線が……チクチク刺さってくる。

 私達が居たのは神殿らしい?場所で、色々な衣装を着た神官?らしい人達と魔法使い?魔術師?魔道師?らしい人達と騎士?らしい人達に、煌びやかな衣装を身に纏った王侯貴族?らしい人達が……。
 彼らの視線は、私達と王子様と美少女達の間を行ったり来たりしていた。







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