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098★随分と知識が持ち込まれているようです
しおりを挟むそんなコトを考えていた私に、彼女達が話しかけてきた。
「アリア、婚約誓約証書に、サインした名前が、本当の名前になるのよ」
「えっ?」
「私達もそれを聞いて驚いたわ」
「それで、どうしたの?」
「私達は、今、名乗っている名前を本当の名前にしたのよ」
「こっちって、【真名】とか、【隠名(かくしな)】みたいなモノってあるの?」
「無いわね」
「じゃーラノベで定番の【名取り】も無いのね」
「無いわね。人間達には………」
「それって?」
「聖獣、魔獣、精霊や魔族には、【真名】があるってコト?」
「そうよ」
「もしかして、召喚魔法で召喚した聖獣から、【真名】を教えもらうのが契約なの?」
「その通りよ」
「セルディ様、もしかして、召喚した勇者や聖女が、漢字やひらがな、カタカナやアラビア数字を持ち込んだのですか?」
「はい、初めて召喚した時に、勇者殿や聖女殿には、【真名】が無いと言われて、漢字の存在を教えていただきました。それと【名隠し】と【名被せ】があるというコトを」
私達と同じ高校生が、文字を教えるって出来るのかな?
いっくら自動翻訳のチートが付いていても、それとこれは別だよね?
「でも、2人から教わっただけで、すべての文章、特に公文書を日本語に出来るとは思えないんですけど?」
私の質問にセルディ様は、丁寧に答えてくれました。
「勇者殿と聖女殿の漢字などの文字の知識を、知恵と戦いの女神 策略と陰謀と知略そして覇気と勇気を司る女神アティーアーナ様のお力を借りて、水晶珠にそっくりな《神魔法石(オーブ)》に写し取りました。それを使って、まず神官達がその知識を手に入れました。ついで魔法使い達が……そして、王族…高位貴族と知識が与えられました。それを元に私達は、【名隠し】の民から【名被せ】の民へと変わったのです」
オーブですか……一部のラノベで魔道書って書かれている…アレですね。
魔力量が無いとその内容が伝授されないって設定は、たぶん一緒ですよね?
だから、魔力量の少ない貴族、ほとんど無い平民は使えなかったなんて………そうだったら、面白いのになぁ~なんて思います。
でも、女神様の力を借りてって………すっごい神様が近くにいるんですねぇ~。
そして、オーブを使って無理やり知識を入れて、【名隠し】の民から【名被せ】の民にと変えるほど、せっぱつまっていたんですね。
まぁ~その状態だから、召喚魔法で勇者や聖女を異世界から、転移され背たんでしょうけど………。
とりあえず聞いてみよう。
「あの…他の人達は、《神魔法石》を使わなかったんですか?」
「《神魔法石》は、神々より与えられる知識を入れたモノなのです。それ故に、一定以上の魔力がなければ、その知識を《神魔法石》より受け取るコトは出来ません」
「王族や高位貴族以外の貴族や平民の人達には、知識を与えなかったんですか?」
「いいえ、漢字は《神魔法石》を使わなければ覚えられませんが、ひらがなやカタカナ、アラビア数字は、こちらの言葉と対比させたモノを作って覚えさせました」
「普通に教育したんですか?」
「魔力を持つ貴族には、水晶珠に、先ほど説明した知識を入れて覚えさせました。そして、彼らも【名隠し】の民から【名被せ】の民になりました」
「平民はどうしたんですか?」
「作ったモノを、学校でこつこつと覚えさせました。そして、【名被せ】の民になりました」
「学校って、全員が通っていたんですか?」
「女性のみです」
うわぁ~ラノベの定番とは全然違うわぁ~………。
こっちって、女性が少ないから、すっごく優遇されているのねぇ。
そう考えてから、はたっとその事実に気付く。
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