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召喚されちゃいました

170★アラン様も色々と拗れているようです

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 すると、アラン様は、片手で顔を覆い苦笑しながら話しだしました。
 
 「静香、貴女は、私を殺す気ですか?

  そんなに愛らしくお願いされたら
  速攻でベッドに貴女を運んで
  直ぐに蜜月期間に入りたくなりましたよ

  異世界の花嫁を娶った者達が
  結婚式を待たずに卵を得たり

  子供を得ている理由が今ので
  本当に良く理解(わか)りました

  可憐で可愛い静香を
  乙女のままにしておくコトが
  こんなに辛いと思いませんでしたよ」

 アラン様の珍しい表情に、このスチル素敵と思いこころのシャッターを切ってしまいました。
 それから、話の内容を考えて驚いてしまいました。

 だって、私にお仕置きをする為にも、清らかな乙女のままにしているって言っていたのに………。
 アラン様の理性が、今の発言の何処かで、決壊したのでしょうか?………何がツボだったのかわかりませんけど、はて?。

 まさかね、大人なアラン様が、小娘(デブスとか容姿は置いておきます。年齢と経験だけを大事にしています)の私に、そこまで欲情するとは思えなかったので………ついつい聞いてしまいましたよ。
 あとから自分でも思ったのですが、危機感無さ過ぎでしたね、はい。
 でも、現時点でそんなことをカケラも気付けなかった私は、疑問のまま言ってしまいました。

 「えっ? アラン様ぁ
  それって、どういう意味ですか?」

 そしたら、アラン様は私の顎をクイッと握って、角度を何度も変えて濃厚なベロチューをかましてくれました(イケメン滅びろ)。
 アラン様にベロチューされて快感を得てしまった私は、朝食を片付けたばかりのテーブルについたままで、乙女の泉を決壊させてしまいました(号泣)。

 ラノベ定番の魔法、クリーンや浄化が欲しいと思う今日この頃です。
 いや、本気で切実に欲しいです………今の私には、無いんですよね、ラノベ定番なのに(号泣)。
 獣人だから、お耳もお鼻も良いのにぃ~………あうあう(泣)。

 だから、今日こそ、フレデリカさんに習うと心に決めましたよ。
 どうせ、この会話の後に、お父様に会うためにドレスを着替えるから、入浴しましょうねって言われるはずだから、今は我慢します。
 なんて、色々と考えている間に、アラン様は、説明してくれました。 

 「婚約式の後に、過去の花嫁は
  蜜月期間に入ったというコトです

  要するに、乙女の証しを
  奪ったというコトですよ

  これなら、無垢な静香でも
  理解(わか)りますよね」

 蜜月期間ってハネムーンのコトでしょうか?
 婚約式の直後に、大人の階段を登りきったっていうコトね。
 アラン様、毎日、あんなコトやそんなコトを色々としている私が、無垢なはず無いでしょうが………。

 ついでに、オタクだった私は耳年増ですよ。
 でも、アラン様の中の私のイメージを守るために、ズルイ私は何も突っ込みませんよ。
 清らかな乙女のふりして、ただただどうして?と質問するだけです。

 「アラン様、結婚式を挙げていないのに
  その手の関係を持っても良いのですか?」

 餌のいらない大きなネコを被っている私の質問に、アラン様は丁寧に答えてくれます。

 「ここでは、乙女の純潔は
  そこまで重視されません

  大切なのは、次代の皇族を
  生みだすコトです

  ようするに、卵を産めるというコトが
  最大に重要なんですよ

  だから、釣り合う魔力を持つ男はモテます
  まぁ、あの他国の妃から生まれた

  アレらが、貴族令嬢達にモテる理由で
  ああまで傲岸になった理由です

  そして、私がモテない理由でもあります
  魔力が強すぎてね

  かなり昔の話ですが………

  魔力量の多い男性皇族は
  釣り合う魔力量を持つ相手が見つからず
  独身でいる者が多くなりました

  それを、神が憐れんで
  異世界から花嫁を召喚する方法を
  授けて下さったのですよ

  それでも、花嫁の数は足りません

  その分、花嫁を娶った皇族が
  卵を産ませるのです

  出来れば、独身者の為に
  女の子を多く花嫁に産んでもらいたい
  というのが本心です

  私の場合は、愛しい静香に
  色目を使う者がいなくなるように

  沢山女の子が生まれると良いと
  思っています」

 アラン様の説明が、途中から怪しい内容になってしまいました。
 召喚されたあの時、キラキラ皇子達やその側近達や貴族達は、私を無視したんですよ。
 容姿が劣っている私と違って、アラン様と私の娘は、絶対に可愛いし綺麗だと思うんですよ。

 いや、じゃなくて、アラン様ってば、魔力量の多いコトを気にしていたんですね。
 こんなに優良物件なのに、自分で事故物件、瑕疵物件発言ですかぁ?。
 アラン様ってば、もしかして、それで拗らせているのかな?………だから、私でも、召喚された子(=魔力量が多い)だから、良いんだぁ(嬉)。

 なんてちょっと思ってから、未来のアラン様をついつい想像してしまう。

 私達の間に誕生した娘の愛らしさに、アラン様は引っ掛かって………。

 『娘は、私に勝った男にやる
  それ以外は認めない』

 って、言うと思うんですけどねぇ………ああ、妄想がワキワキします(喜)。
 でも、独身の皇族の男って、アラン様ととんとんよりも年上の方が多いと思うんですが………。
 自分の父親よりも年上の男に嫁がせるのは、いかがなものでしょうか?

 「アラン様、私の国では
  父親が娘を可愛がって

  『娘は嫁にやらん』

  と言うのが定番ですけど?

  それに、アラン様より年上の
  皇族方に、娘を嫁がせたら
  未亡人決定じゃないですか?」

 ついつい、妄想が爆走してしまい、私はアラン様に言ってしまいました。
 そしたら、アラン様はにっこり笑って………。

 「ここは、アルファルーラですよ
  そして、私達は、ドラゴニアンです

  ドラゴニアンは、番が1番なんです
  私達の娘が、愛していない男に
  嫁ぐはずがありません

  お互いに愛し合えば、番になります
  番は、お互いの寿命が重なり合います

  要するに、同じ時を生きるんです
  病気や怪我をしなければ
  同じ時に天に召されます

  もしかしたら長命になるコトを
  嫌がるかもしれないからと
  黙っていましたが………

  いや、過去の花嫁方の言動で
  長命は厭われるようなので………
  
  静香が気にするようなコトはありません
  私と静香は同じ時を生きるんですから

  勿論、静香をおいて逝ったりしないと
  誓いますよ私は………

  だから、静香も私をおいて
  逝ったりしないと誓って下さいね

  娘達もそういう意味では大丈夫です
  ただ、息子はライバルになるから………」

 と、最後は口ごもるアラン様、それって、まさにラノベや無料小説サイトの竜人やドラゴニアンの番設定のままですね。
 番は、寿命の長い方に引っ張られて、同じ時を生きるって………。
 ファンタジーって感じだし、とぉ~ってもロマンチックね。

 アラン様において逝かれないってしあわせだわ。
 でも、なんかドラゴニアンも竜人も長生きする種族だっていう設定があったわよね。
 私と同じ日本人は彼女達しかいないわ。 

 彼女達が、早死にしないように、アラン様の兄上やおじ様達の息子とかを進めよう。
 だって、オタクな私と日本の漫画やアニメ、小説やゲームの話しが出来るのは、彼女達だけだもの。

 出来れば、一緒に同人誌を作るとかしてみたいんだよねぇ~………。
 彼女達とずーと遊べるように、アラン様と同じくらいの寿命を持つ皇族と結婚させてあげなくちゃね。
 うふふふここは異世界なんだから、私だって自分の欲望に素直になりますよ。

 ただ、息子がライバルって?………なんですか?とは思いますが、まだ生まれてないので今は横にポイっとします。

 それよりも、ここで私は、アラン様に我がままを言うコトにします。

 「だったらアラン様
  アラン様と同じぐらいの寿命を持つ人達と
  彼女達を結婚させて欲しいんです

  私は、同じ国出身の友達が欲しいんです
  ダメですか?」

 私のおねだりに、アラン様は蕩けるような表情と優しい声で答えてくれました。

 「異世界からの花嫁は
  その為に召喚されているんですよ

  私と静香の婚約式と
  婚約披露パーティーが終わったら

  私の兄達や従兄達と彼女達との
  出会いの場を設けますよ
  それで良いですか?」

 私は、アラン様の言葉に頷いた。
 すると、アラン様は、デブスな…いやいや、ぽっちゃりな私を軽々と抱き上げたまま立ち上がります。
 そして、私をお姫様抱っこで歩き始めました。

 アラン様って、ドラゴニアンだし、騎士様でもあるから、滅茶苦茶腕力?があるんですよね。
 これって、アラン様は、脳筋なんってコトなんでしょうか?

 でも、アラン様って魔法も使う、魔法騎士っぽいんですよねぇ~………。
 なんて考えて、現実逃避してしまいました。
 そこから、意識を思考の海から浮上させて、私はアラン様に声を掛けます。

 「アラン様、何処へ?」

 「静香、今日も父上の元へ訪問します
  だから、正装に着替える必要があるんです

  静香の香りは私のモノですから………

  だから、ざっとシャワーを浴びましょう」

 言外の言葉に、私は思いっきり憤死しそうになりましたよ………えぇ~え、確かに乙女の泉は決壊しちゃいましたからね(イケメン滅びろ)。
 だからって、ソレをわざわざ言葉にして言わないで欲しかったですよぉ………アラン様のばかぁ~あうぅぅ~(号泣)。

 内心の羞恥心に溺れる寸前の私は、蚊の鳴くような声で答えるだけでした。

 「はい」

 私はおとなしく運ばれるコトにしましたよ。










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