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召喚されちゃいました

341★アラン様、ヤンデレ度が増してませんか?

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 憂いと怒りと愛しみが交錯する表情を浮かべながら、アラン様が私に言います。

 「シオンは、私達の子供を
  そのお腹に孕むコトを
  完全に忘れていましたね

  これからは
  それを自覚してください

  貴女は独りの体では無いと………

  そして、貴女を失ったら
  私は、その場に居た者達を
  全て処分します

  貴女を守れなかった
  責任を取らせます

  勿論、その者達の
  家族及び一族郎党と

  それに仕える者達と
  その領民まで………」

 あうぅ~…私に、自覚して欲しいという意味だとは思いますけど………。
 流石に、それは酷すぎると思います。

 「えっ………それって………」

 ちょっとでも良いから、譲歩を思い口にしようとすれば、アラン様が言葉を被せて来ます。

 「酷すぎませんよ

  シオンは
  異世界から召喚した花嫁で

  皇女で、皇太子となる
  私の唯一の妃です

  新しい魔法を創り
  私達の本来の姿を
  取り戻してくれました

  私は、フルトランスして
  完全なドラゴンになりました

  それは、シオンの《力》です

  そして
  歴代の花嫁達と違って

  異世界の種子と知識を
  大量に私達に
  伝えてくれました

  シオンは、まだまだ
  伝えられる知識があると
  言っていましたね

  それが、シオンが失われたら
  全て消えてしまうんですよ

  守れなかった者達の罪は
  そのぐらい重いんです」

 訴えるように言うアラン様が、その瞳が寂しさを訴えて来ます。
 あうぅぅ……私のこころがズキズキするんですが………。

 処分されるかも知れない人達よりも…アラン様の哀しみがこころにキます。
 でも、そういう意味での心配が無いコトだけは告げないと………。

 「……あっ……あの私の
  タブレットもスマホも

  USBメモリーも
  彼女達でも使えますから………」

 私の言葉に、なんででしょうか?
 アラン様が残念そうな表情をします(解せぬ)。

 そして、幼子を諭すかのような口調で言います。

 「そうだとしても、それに
  意味はありませんよ

  シオンの物は
  シオンの物です

  シオン以外に
  触らせるなんてしません」

 彼女達の有用性を証明しないと…不味いんじゃないかと…。
 ヒシヒシと感じます。

 貴重な同郷…それも同じ狭い地域の同胞なんです。
 些細なコトで失いたく無いんです。

 「彼女達なら
  知識を引き出せます
  だから………」

 あっ……ダメそうです……そんな表情されると、私がつらいです。
 私にとっても、アラン様が一番だから………。

 「シオン、私は
  貴女だけが愛しいんです

  今回の魔族達の襲撃で
  シオンの命を

  危険にさらした者達を
  処分しないでいるコトは

  充分に貴女のこころに
  配慮していますよ

  私は、貴女だけを
  シオンを愛しているんです
  諦めてください………

  そして、貴女の周りの
  人間達を守りたいなら

  シオンは、ちゃんと
  騎士達に守られてください

  わかりましたか?
  いえ、わかってください

  そして、危険なコトは
  絶対にしないでください」








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