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053★とりあえず、謎の神殿は健在のようです
しおりを挟む「すまない、とりみだした」
グランツ団長の謝罪に、セシリアは首を振る。
(いや、予想通りでしたよ
イリスさん飾り甲斐が
有りましたしねぇ‥‥‥)
「いいえ、ただお母様のドレスを
イリスさんが着てくれて
私は、嬉しいだけです
私の体形には合いませんから
見ての通り、ガリガリですから
身体も全然、鍛えていませんので
似合いませんしね
その点、身体を鍛えて
立派な騎士になっているだけあって
イリスさんは似合いますよねぇ
そう思いませんか、グランツ団長
あと、良かったら、たくし上げに
使用していたリボンやレースも
使って下さい
あのワンピースも買ってもらえて
嬉しいです」
そう言うセシリアに、グランツ団長はイリスの着替えの間、預かっていてた繭を返す。
「ああ、そうだ、ほら繭
一応、それを孵す予定なんだろ
たぶん繭だから、昆虫系の魔物だぞ
まして、祭壇に安置されていたモノだ
けっこう、ヤバイたぐいかもな
まぁ‥‥繭を【鑑定】持ちに
視てもらうと良いだろう
それで、キケンなヤツだったら
孵る前に冒険者ギルドに持って行け
そんで、買取りしてもらって
ギルドに押し付けちまえよ
あんたには荷が重いと思うぞ
まぁ孵化させて飼うのも
冒険者ギルドに売るのも
あんたしだいだけどな」
そう言ってから、グランツ団長は控えさせていた騎士から布袋を受け取りテーブルの上に乗せる。
その大きく丈夫な背負い袋がテーブルの上に乗せられた時に、ゴトッというとても鈍い音がして、セシリアは不思議そうな顔をする。
「まぁ‥‥‥あんな、いかにもな
ドレス姿で、突然転移なんてモノを
くらったんだから手ぶらだろ
見たところ、持ち物を入れる
布袋や皮袋のひとつも
持っていないようなんでな
ごく一般的な丈夫な持ち歩き用の
布袋の中に、ドレス代が入った
金貨の皮袋が入っている
コレは、袈裟懸けにして使うモノだ
で、こっちがその繭ようの布袋だ」
そう言って、繭を入れてもかなり余裕がある、けっこう厚地の布袋をテーブルに置く。
セシリアは、そういう意味での交渉など、ただの1度も経験していないので、どうしていいか困ってしまう。
お蔭で、ついつい膝に乗せて手を軽く抱き込むようにしていた、ほんのりと暖かい繭を無意識に撫でてしまう。
なんとなくお互い様子見という、微妙な膠着状態の中、ノックが響く。
「団長ぉー‥確認に行った者達が
戻って来ました‥‥」
外からの部下の言葉に、渡りに船とグランツ団長が応える。
「おう、通せ」
「失礼します、団長
そちらのお嬢さんが言った
謎の神殿は存在しました
私だけ、報告に戻りました
他の団員は、現在まだ謎の神殿を
調査中です」
「わかった、さがって良い
簡単なモノで良いから
とりあえずの報告書を作成しておけ」
「はい」
報告に帰って来た団員をさがらせたグランツ団長は、セシリアに向き直り言う。
「どうやら、本当に謎の神殿は
あるようだな」
セシリアは、隣りにドレス姿で座ったあと、恥ずかしさのあまり、そのまま固まっているイリスをチラリと見てから、グランツ団長へと向き直って言う。
「あの《封印》されていたらしい
神殿って、やっぱり謎の神殿
なんですか?」
「ああ、今までに、こちら側に
神殿なんて確認されて無いからな
たぶんだがな
あんたから聞いた話しを聞く限り
何処からか転移して来てはじめて
その神殿は顕現するんじゃねーかな
そんで、内側から魔力を注ぎ
外への扉が開くコトによって
そこに、はじめて神殿がその場に
固定されるんじゃないかな?」
セシリアは、グランツ団長の言葉に首を傾げた。
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