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戸惑いの始まり
しおりを挟む「はあ――っ!」
私は溜め息と呼ぶには大きすぎる声を上げて、カフェのテーブルに突っ伏した。
頭をこちょこちょと撫でる感触がして気持ちがいい。
「な~るほど。その剛って子、なかなか手強い男ねえ」
頭を撫でているのは、菊野の小学校からの友人の
唐沢 真歩(からさわ まほ)。
真歩は家庭教師の仕事をしている。
高校生まで教えられる腕前で以前は有名な学習塾で教えていたのだが、年上の妻子持ちの教師と関係を持ってしまい、そのゴタゴタで辞めてしまったのだ。
それに、真歩は元々職場に不満を持っていた。
学習塾は、我が子を志望の学校へ合格させる為に親が通わせる所だ。
八割がたは志望の学校へ行けるが、中には学習塾へ通いつめても不合格になってしまう生徒もいる。
そういった中には、
「費用をかけて通ったのに不合格になったのは学習塾の教えかたが悪いせいだ」
と言う親もいる。
そういうイザコザがある度に真歩は辟易していたのだ。
それに、不倫相手の男にはハードなSMの趣味があり、最初はソフトな要求だったのが次第に過激さを増してきて、ついていけなくなった。
そしてあろう事か、そういった道具を自分の書斎に隠してあったのを、妻が見付けてしまったらしく、男は
「なんとか誤魔化したけれど、君との事までバレたら離婚されてしまう、別れてくれ」
と蒼白になり相談してきたのだ。
真歩は、内心は願ったり叶ったりだったが、表面はしおらしく振る舞った。
別れの際にはしっかりと手切れ金も貰ったのに。
「別途の退職金だと思えばいいのよ」
と、彼女はドヤ顔で話した。
それ以来、真歩は家庭教師を時々やっているのだ。
まだ独身で、家も裕福な為、がっつり働く必要もない。
口コミで依頼があったりすると、その生徒を受け持つようにした。
私は、剛を引き取ったら真歩に家庭教師を頼むつもりでいる。
真歩は、結婚してからも付き合っている数少ない友人達の中でも一番仲良しだ。
恋多き真歩の体験談や武勇伝を聞くのは、男性を悟志しか知らない私にとってはとても面白かった。
同性の友人の間では、真歩はあまり評判が良くなかったけれど、私は真歩が好きだった。
私の、幼い頃からの
"双子の母親になるのが夢"
の話を、馬鹿にしなかったのも真歩だけだったのだ。
悟志や母に話せない事でも真歩になら何でもぶっちゃける事が出来る。
「手強い男って……
剛さんはまだ11歳よ?」
テーブルに顎を載せたまま上目遣いで真歩を見た。
相変わらずワンレングスの黒髪が綺麗で色っぽい。
真歩は綺麗に手入れされたネイルを傷付けないよう慎重にその髪をかき上げた。
「あら、早い子はその年齢で精通もあるのよ?立派な男じゃなあい?」
「せ……?」
キョトンとする私に、真歩がクスリと笑って耳打ちしてきて、顔が熱くなってしまった。
「菊野はウブというか、そんなんで本当に男の子のママなわけ?
今に祐ちゃんだって思春期になれば色々あるのよ~?」
アイスティーを飲んでいた私は噎せた。
「や……やだっ!変な事言わないでよっ!」
「変な事じゃないわよ!健康な男子の成長の過程ってやつよ?
楽しみねえ……祐ちゃんかどんな男になるか……」
真歩は妖しい笑みを溢しながらアメリカンを飲んだ。
「……もうっ……
なんか、真歩が言うと何でも厭らしく聞こえるよ~!」
「その、剛さん?
仲良くなれそうなの?」
「う――ん……
どうかなあ……
祐樹と全然性格が違うし……
歳が離れてるから、祐樹がお兄ちゃん~て慕ってくれればいいけど……」
私は思わず唸り、こめかみを押さえた。
育った環境が余りにも違う二人が果たして上手くやって行けるのか。
やはり、大人の自分が一肌脱ぐしかないのだろうけど……
この間、あんな風に別れてしまったから気まずくて、施設に連絡を入れるのも躊躇してしまう。
前髪を一筋掴まれて、ツンと軽く引っ張られた。
目の前に真歩の魅惑的な眼差しがあって、何だかドキリとしてしまった。
「菊野、考えてる事が顔にダダ漏れ……ふふ」
「えっ?嘘っ」
バッグから手鏡を出して真剣に自分の顔を見ると、真歩が目の前で手をヒラヒラさせた。
「全く……
相変わらず菊野は思った事が顔に出るよね。
面白い位……
アッハッハ」
「う……
私に隠し事、無理かな……
隠し事なんかする予定ないけど……」
私の言葉に真歩はお腹を抱えて爆笑している。
「菊野は無邪気ね~
悟志パパもさぞかし可愛がってくれてるんじゃなあい?ん?」
「……悟志さんはパパじゃないよ……」
ストローでグラスを掻き回すと氷がぶつかり合い涼やかな音を立てる。
真歩は僅かに目を見開いた。
「あらあらっ?
そんな物憂げな顔するの珍しいね。
何だか大人の女みたい!」
「んもうっ!
大人だけど?もう25だし!」
つい、ムキになって言い返してしまう。
「喧嘩したの?悟志さんと」
「……そうじゃないけど……時々、悟志さんが怖い」
私は、夜になると豹変する夫にまだ戸惑っていた。
行為が嫌なのではないけれど、抱かれている時に、心と身体がバラバラになった様な違和感を感じるのだ。
今までには無かったことだった。
普段は、まるで父親の様に自分を甘やかしてくれる悟志――
それは変わらない。
けれど、祐樹が眠った後、必ず身体を求めてくる様になった。
夫婦なのだし、悟志の事を嫌いなのではない。
拒む理由もないから応じては居たが、今まで年に数回程度だったのに毎日身体を重ねる事に不安を感じていた。
妊娠するのを防ぐ為に、婦人科でピルを処方して貰い始めた。
行為の回数が増えればやはり可能性は高くなる。
また、以前の様に流産をして悲しい思いをするのは嫌だ。
だからと言って、もう一人「産む」
勇気もない。
ピルを飲み始めたのは、悟志の勧めもあっての事だった。
『菊野……
ピルを飲めばホルモンも安定するし……
何より気兼ねなく思いきり楽しめる……』
行為の後、私の髪を撫でながら子供に言い含める様な口調でこう言ったのだ。
もっともな方法だとは思ったが、同時に男としての欲望を垣間見て、嫌悪も感じた。
その話を真歩にしたら、一笑に付された。
「菊野――!
結婚するってさ、つまりその人と一生セックスし続けるって事よ?
当然の事なの。
……まあ、中にはレスの夫婦もあるけどさ~
まだ25なんだから、枯れるには早いでしょ?
……こんな事で悟志さんを嫌ったら、悟志パパが可哀想よ!アハハハ」
「ち……ちょっと真歩!」
混雑している真っ昼間のカフェで大声を出す真歩に私は慌てた。
真歩は周りをチラリと見て、舌を出す。
「夜の飲み屋じゃないんだからねっ!」
私は頬を膨らまし真歩を睨むが、突然甘い物が欲しくなってメニューを広げた。
真歩も覗き込む。
「なんか、大きなパフェとかケーキとか、食べたい~」
「菊野~
太るぞ?悟志パパに嫌われちゃうじゃな~い!」
「もうっ!またそれを言う~!」
「まあ、パパだからそんな事ないか!
悟志さん、菊野にベタ惚れだもんね~!
20も離れてりゃ、そりゃ可愛くて仕方ないでしょうよ~」
フルーツパフェか、レアチーズのどちらかにしようと私は真剣に悩んでいて、真歩の話を聞いていない。
「こら、菊野――!
旦那の話よりそっちの方が重要か!」
真歩にデコピンされる。
「痛っ!
……何の話よ?」
真歩はメニューをひったくり熱心に見る。
太るぞ、とか言った癖に頼む気満々なようだ。
「決めたっ!」
真歩がチャイムを押すと私は慌てる。
「ちょっと!まだ決めてない!」
「そんなん私が決めてあげるわよ!
時間のムダよっ」
騒いでいると店員がやって来た。
「スペシャルフォンダンショコラ二つ!
あとダージリンホットも!」
「かしこまりました」
店員はメモを取り行ってしまう。
「……パフェかレアチーズが良かったのに~
……まあ、フォンダンでもいいけど……」
ブツブツ言う私を、真歩はビシッと指差した。
「それよ!
その優柔不断さよ!
……悟志さんとの結婚の決め手って何だったのよ?」
「え……
それは……好きな人も居ないし……
パパとママが強く勧めてきたし……
悟志さんも優しいから、まあいいかなって」
「はあ――」
真歩は椅子の背もたれに寄り掛かり、天を仰いだ。
「勧められるままに結婚したはいいが、もはや悟志さんを男として見れないわって事じゃない?
夜の生活が嫌なんでしょ?」
「また声が大きいっ」
真歩の口を塞いだ時、オーダーの品が運ばれてきた。
店員が行ってしまうと、私は声をひそめて話す。
「嫌とかじゃないわよ。多分……
でも……」
「れも?……ん――おいひいっ」
真歩はフォンダンショコラを頬張り悦に入っている。
視線を紅茶に落とすと、浮かない表情の自分が映り揺れていた。
「真歩の言う通りかも……私、自分の意思で決めて結婚したわけじゃない……だから、今更何じゃないけど……
確かに……悟志さんの事、特に好きじゃない……かも」
真歩は目を丸くした。
「な――んですってえ!?そりゃあ大変っ!」
「真歩が水を向けたんじゃないのっ!もう~!」
フォークで茶色のスポンジをつつくと、どろりと甘い匂いを立てて熱いチョコレートが流れ出る。
口に含むと甘さの中にほんの少しの苦さが残る。
「でもさ……
流れるまま、のほほんとしてきた菊野が、初めて今養子の事で頑張ってるじゃない」
「うん……そうだね」
剛の、柔らかい中にも踏み込ませない雰囲気の笑顔を思い出して、悲壮な溜め息を吐いてしまった。
生まれて初めて自分から思い立って行動したは良いが、無理だったのだろうか。
そもそも普通に育った子ではないし……
「菊野っ!
何を情けない顔をしてるのよ!
反対してた悟志さんを説得した時の情熱を思い出しなさい!」
「……う、うん……」
真歩は真剣な目をして、頬をつまんでくる。
「ここでフェイドアウトしたら、悟志さんに
"そら見たことか"
て言われて、あんたの要望はこれから一切却下されるかも知れないわよ」
その言葉に凍り付く。
「え……そ、そんな風になる?」
「可能性はあるわね……
まあ確かに、人ひとり引き取って育てるっていう重大事だし……
どうしても無理そうなら、意地を張る事もないけどね」
改めて何故自分が剛を引き取りたいと思ったのか考えてみた。
幼い頃の夢?
……彼の境遇に同情した?
……祐樹のためにきょうだいが欲しい?
悟志さんに言った手前、意地になってる……?
「う――ん」
頭を抱え考えてみたが、そのどれにも当てはまらない気がした。
その時店内に流れるピアノの音にデジャブを感じ顔を上げた。
華やかな、愛らしいこの旋律は……
そう、剛が弾いていたモーツアルト。
楽しくて跳ねるような曲なのに、弾いている彼の瞳の中には沈んだ色が見えた。
優雅な仕草で鍵盤を奏でる彼を、遠くからでなくもっと近くで見たい、無性にそう思ってしまった――
でも、いざ目の前に彼が居ると緊張して……
「やだっ……」
ある言葉が頭に浮かび、思わず頬を押さえた。
「?」
真歩が怪訝な目で見る。
剛の事を思い出すだけで頬が熱くなり、動悸が激しくなる。
これはまるで、恋しているみたいじゃないか。
(ウソ……
だってあの子はまだ子供よ……?)
「菊野……大丈夫?」
「わ……わかんない……私、大丈夫なのかな……」
「ええっ?」
熱が身体中に廻り、 目眩を覚えた。
景色がぐにゃりと歪み、カップを持つ指に力が入らない。
「菊野――!」
真歩の声がしたような気がするが、後はどうなったのか覚えていない。
後から聞いた話だと、店で椅子から崩れ落ちて倒れたらしい。
どの位眠っていたのかわからないが、目を醒ますと自分の家の寝室のベッドに居た。
「……あっ……今、何時?」
(ママの所に祐樹を迎えに行かなくちゃ……)
身体を起こそうとして目眩に襲われてしまい、頭を抱えているとドアが静かに開いて悟志が入ってきた。
お盆には小さな土鍋と茶碗、水の入ったグラスが乗っている。
悟志は私が起きているのを見てニッコリ笑い、テーブルに盆を置いて額に手で触れてきた。
思わず身を固くしてしまう。
「大丈夫かい?
……熱は下がったようだね」
「私……どうやって帰ってきたの?」
「真歩さんが電話をくれたんだよ……
たまたま僕もあの店の近くまで打ち合わせで出てきてたから……」
「あ……ごめんなさい……お仕事の途中だったのに」
悟志が、肩をぎゅっと掴み耳元で囁くように言った。
「今日は……仕事はもういい」
ゾクリとして、私は顔を逸らす。
この広い家に二人きりという事実が何故かとても重く感じた。
「祐樹を……迎えに行ってきてくれる?」
「今日は向こうで祐樹を泊めてくれるそうだよ……
菊野も、疲れが出たんだろう……今夜はゆっくりしよう」
「……っ」
そっと背中を撫でるその掌と、彼の眼差しの中にまた"男"を感じて、嫌悪が沸いてくる。
「お腹が空いてないかい?お粥を作ってみたんだが……
初めてだからどんな物か正直わからないんだ……」
悟志は照れた様に盆を持ってきた。
家事が一切出来ない悟志が火を使ったという事実に、私は目を丸くした。
「だ……大丈夫だったの?ご飯が燃えて火事にならなかった……?」
悟志は吹き出した。
「はは……
火事になったらこんな風に呑気にしている訳がないだろ?」
「あは……そうだよね……」
鍋の蓋を開けると、美味しそうな匂いに頬が緩む。
「なんだか急にお腹空いたかも……
いただきます」
「食べさせてあげるよ」
「大丈夫!子供じゃないんだから……ふふ」
スプーンで炊けたお粥を掬うと溶き卵の黄色がトロリと崩れて湯気が立ち昇る。
「卵を入れるなんて、悟志さんよく思い付いたね?」
「菊野が前に作ってくれたのを思い出しながらやってみたんだ」
お粥を口に運ぶと、私は悟志に頷いた。
「美味しい……
凄いね……初めて作ったのに」
「そうか?
良かった……」
彼が目尻を下げてガッツポーズをする姿に、また自分の父親を重ねて見てしまう。
悟志とパパは何処か雰囲気が似ている。
だから、結婚を決めたと言っても良い。
大好きなパパと似ている悟志と家庭を築けたら、毎日楽しいに違いないと思ったのだ。
だが、そういう理由で結婚をするのは間違いなのだろうか。
私が悟志を父親的に思っている事を、明らかに彼は不満に思っている様だ。
一度だけふざけて
"パパ"と呼んだ時には、本気で怒られた。
「……なんだってさ……
真歩さんも大変なんだね……
菊野?」
スプーンを握り締めたまま考え事に集中していて話を全く聞いていなかった。
「あっ……
凄く美味しかった!
ご馳走さま」
取って付けた返事をすると、キッチンへ行こうとして盆を持つが、悟志が盆を取り上げてテーブルに置いた。
「いいよ……片付けは僕がやるから」
「でも……」
「菊野……」
悟志はベッドから出ようとする私の腕を掴み、唇を重ねて来た。
思わず強張ってしまうが、彼の巧みなキスに身体の真芯が熱くなってしまい、甘い息を漏らしてしまった。
「……ヤキモチを、妬いてくれないのかい?」
「……?」
悟志の指が、額をそっとなぞる。
「やれやれ……
君は僕に本当に関心がないんだね……」
彼は、意味が分からずに目を丸くした私の頬を両手で挟む。
「真歩さんにね……
"悟志さんみたいな男性が好みです"
て言われたんだよ……
て、話をしてたんだけどな」
びっくりして彼をマジマジと見たが、プッと吹き出してしまう。
「あはは……
真歩ったら……
ごめんなさいね悟志さん……
あのコ、男の人に対してアンテナが凄いから……」
クスクス笑う私を、暫く彼は無言で見ていたが、フッと息を吐くと、ベッドへ上がり覆い被さってきた。
「さ……悟志さん」
「今夜は二人きりなんだ……
楽しもう……菊野」
浅黒い大きな掌が延びてきて、ブラウスを左右に引っ張るとボタンが飛んだ。
「きゃっ……
乱暴にしない……で」
首筋に吸い付いてくる悟志さんの胸を弱々しく叩くと、優しい声が鼓膜を擽った。
「ごめんね……
明日、新しい服を買ってあげるからね」
彼が優しいのはそこまでだった。
次の瞬間には荒々しく唇を奪われ、手は休む事無く、身を纏う布を取り去っていく。
あっという間に全裸にされ、首筋から下へとキスが降りてくる。
「あ……ああっ……待って」
熱く火照った悟志の唇が膨らみの先端に辿り着くと、素直に感じる秘園が一気に湿り気を帯びた。
悟志は、私の表情からそれを敏感に察し、ニヤリとすると指を秘蕾へと滑らせ弄び始めた。
跳ねる魚の様に反応する若妻を熱く見つめると、上擦る声で小さく叫ぶ。
「愛してる……菊野……
可愛いよ……」
"アイシテル"
その言葉は、快感に苛まれる私の胸の中まで届く事は無い。
猛った悟志に激しく突き上げられながら、私は自問自答していた。
"アイシテル"
……て、こういう事なの……?
激しく獣みたいに、女の身体を突き刺すのが……愛してるって言う事?
「菊野……っ……菊野っ」
「あっ……ああっ……んっ」
烈しく打ち付けられながら、本能だけが彼の獣を受け入れていた。
逞しい背中に爪を立て甘く叫びながら、心の中では悲鳴を上げる。
(――愛してる、て何……?
私には……分からない……
身体だけが……悦んでいるけど……
心は何も感じない……)
「――菊野っ」
悟志が真上から再奥に沈み込んだ刹那、私は快感の果てまで達した。
白く靄がかかる意識の中、剛さんの悲しげな眼差しが見えた気がした。
――そして、同時に不思議な感情が自分の中に芽生えた様な気がしたが、それが何なのかは、わからなかった。
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