蓮華の花言葉

kinmokusei

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デュアル王国

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「船は用意してある。
デュアル王国はここから南東へ向かう。」

「え?
南東ってルテインとは反対の方向じゃない?」

愛美さんが言った。

「急がば回れだ。
行くぞ!」

勇気が言い、愛美さんはため息をつく。

「よくこんなデカイ船あったなぁ?」

「ルテイン王国へは定期的に船で色々な物を運んできた。
その船だ。
ルテイン王国の兵は千人くらいだ。
少なくともそれくらい乗れる船でなくては。」

相馬が笑う。

あたしはまるで優馬と一緒にいるような気がした。

相馬、、、か。
名前も似ているし、顔も似ている。
本当に他人なんだろうか?

あたしは考える。

髪の色は黒だけど。

優馬は銀色だった。

「俺の顔に何か付いているか?」

いきなり相馬があたしを見て言った。

「え?
い、いえ!
なんでもありません。」

「行くぞ、姫。」

「え、えぇ。」

あたし達リテール王国を出発した。





「この船快適じゃない!」

「そうね!
時計もあるし。
操縦も自動だし。」

いつみさんと愛美さんの会話である。

「デュアル王国にはどのくらいかかるんだ?」

勇気が相馬に聞く。

「二週間位かな?」

「人口は?」

「100人くらいの小さな王国だ。」

相馬がため息をつく。

「ルテインに反感を持つ王国なのだろう?」

「まぁな。
ただメイという女王が治めている王国でルテインの圧政のせいか疑い深い。
俺が説得する。」

相馬は真面目な顔をして言った。

「戦争を仕掛けるんだ。
仕方ない、、、。

デュアル王国がもし力を貸してくれてもまだ兵力は足りない。
他にあては?」

「デュアル王国は貿易の盛んな王国だ。
メイが力を貸してくれればなんとかなるだろう。」

「そうか。
助かる。」

「勇気は少し疲れが出ているようだな?」

「そんなことはない。」

「姫が心配している。」

相馬があたしを見た。

「恋人同士なのだろう?」

「そんなんじゃねーよ。」

あたしには相馬と勇気が何を話しているのか分からない。

遠くから見守るしかできないのだ。

勇気疲れてる。
心配、、、。

あたしは夢見の他何もできないのかな。
みんなは一緒に闘う事ができるけど、あきらかにあたしは足手まといだ。

夢見、、、。

もっと頑張って先にある未来を探ろう。

あたしにできるのはそれだけだから。







夢の中。

エメラルドグリーンの長い髪をなびかせ美しく笑う女。

「あたしはメイ。
貴方は?」

「か、可憐と申します。」

「可憐。
貴方は強い能力をお持ちのようね?」

「は、はい、、、いや、そんなことは、、、。」

「同盟を結び、これから一緒に闘うのか決めるのです。
嘘はいけませんよ?」

「は、はい。
すみません。
あたしは夢見です。」

「夢見?
どんな能力なのかしら?」

「未来を見通す力を持っています。」

「この闘いがどうなるのか分かるのですか?」

「近い未来しか分かりません。
ただ進めと。」

「そう。」

メイは目を細めて窓の外を眺めた。

「闘いの結果どうなるのか分からないのね。
ルテインの圧政にはわたくしも困っているところです。
仲間を集めたとして勝てるという確かな事がなければ、犠牲者が出るでしょう?

それが一番悲しい。」

エメラルドグリーンの髪を触りながらメイは言った。






「可憐、あなたはこの闘いの先に何か望むものはあるのですか?」

あたしは答えに詰まる。

勇気のお母さんを助けること、それはいいとしても、、、。
自分の運命を変えるためなんて言えない。
そのためにみんなを危険な目に合わせる事になるんだ。

あたしはそこで目が覚めた。

「あたしは、、、身勝手ね、、、。」

1人呟く。

聖なる宝玉で自分の運命を変えたいなんて言ってメイ女王が力を貸してくれる訳がない。

あくまで相馬もルテインの圧政を止めさせるために力を貸してくれることになっているのに。

誰もが死を覚悟して闘いに向かうのだ。

あたしは守られる立場。

それなのに目的は自分の死の運命を変えたいなんて。

間違っている。

あたしは最低だ。

誰だって死は怖い。

だけど、、、あたしは、、、。

あたしは悩みの中にいた。





「もう少しでデュアル王国に着く。
相馬、メイになんて言うんだ?」

「そうだな、、、ルテインを打つと言う。
他に目的がある訳ではないだろ?」

「え、、、?
いや、あるにはあるんだが、、、。」

勇気は口ごもる。

「それはなんだ?」

「聖なる宝玉を見つけること。
それとラバースの王妃を救うことだ。」

「ラバースの王妃?
聖なる宝玉?

百歩譲ってラバースの王妃を救うのは分かるが、聖なる宝玉って、、、?」

「あぁ。
可憐が必要としているんだ。」

「何故?」

「いや、それは、、、。」

「勇気!
あたしから言う!」

あたしは相馬にお辞儀して言った。

「あたしは自分の未来予知で夢見になりました。
それは愛することを知った時あたしは死を迎えると言うものです。
聖なる宝玉はその予知を変えることができるらしいのです。」

「それは、、、?」

「でも気が変わりました。
皆命をかけているのにあたしだけそんな勝手な理由で闘えません。」

「可憐、、、、、。」

勇気は驚いた顔をした。






「確かにそのような理由では一緒には闘えないな。」

相馬ははっきりと言う。

「皆命をかけて闘いにのぞむのだ。
甘い考えでは困る。」

「はい。
夢見でデュアル王国のことを見ました。
あたしは覚悟を決めなければいけません。
闘えない分夢見で最大限の協力をします。」

「そうか。
助かる。」

勇気は寂しそうな顔であたしを見た。

「俺も言わなければならない事がある。
ラバースの王妃は俺の実の母だ。
救いたいと思うのは俺のエゴだ。」

「え、、、?
ラバースの王妃の息子?
勇気が?」

相馬は少し動揺をあらわにした。

「そんな話聞いたことないぞ。」

今度はあたしが答える。

「極秘事項です。
勇気はラバースの正統な後継者です。」

「ルテインの姫とラバースの王子か、、、。」

相馬は考え込むようにして黙る。

「とりあえずもう少しでデュアル王国に着く。
メイ女王にもそのことは伝えるが、、、。」

「構わない。
これから一緒に闘うんだ。
隠し事はない方がいい。」

程なくしてデュアル王国に着いた。





デュアル王国に着くと夢見が現実のものとなった。

エメラルドグリーンの髪を触りながらメイ女王はあたしの言葉を待つ。
相馬のおかげですぐ謁見できた。

「勇気の母であるラバースの王妃を助けられればルテインにラバース軍の兵達も従わなくてよくなります。
どうでしょうか?」

あたしはメイ女王の言葉を待つ。

「そうね。
良いことかもしれわ。

分かりました。
協力しましょう。」

メイ女王はそう言って微笑んだ。

「ラバースの兵は1000人位と聞いたわ。
とりあえずラバースの状態を夢見で分かるかしら?」

「はい。
頑張ります!」

「その他ほかの王国にも声をかけましょう。

勇気。
私も夫をルテインに連れて行かれました。
それでも王国を守るためいままで助けに行くのを身を切るような想いで耐えて来ました。

今がチャンスなのですね?

ルテインのトップは未だ会ったことがありません。
能力者もいます。
大変な闘いになります。
死者もでるでしょう。
大丈夫ですか?」

勇気は力強くうなづく。

「そして可憐。
あなたのお父様やお母様はルテインの者です。
裏切りは許しませんわよ?」

あたしも力強くうなづいた。


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