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はい、こちらは『異世界行き課』です。
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「ね、ね♪ 眼鏡ちゃん♪」
浮き浮きと話しかけてくる女神様。
――ああ。きっとまた碌でもないことを思いついたのでしょう。
「はい」と返事を返す眼鏡。
「タナカちゃんの異世界送りなんだけどね♪ こうグワーって、すんごく『おお神よ!』ってなる演出にしたいかなって♪」
「『神よ!』 ですか……」
――嗚呼。やっぱりか。また碌でもない事を……
「何か良い案ないかしら~」
「威厳を示すのが良いのでしょうね」
碌でもないと思いながらも、これも仕事であるので真剣に考える眼鏡。
「威厳ね~…… ふ~ん……」
女神様が指で宙に円を描くと鏡の様な物が現れた。それは検索機能もあるそうだ。
「う~ん…… あ! 女神ちゃんの登場はこんな感じにするわ♪」
鏡を見せてくる女神様。どれどれと眼鏡。
「ああ。そうしましたら、こういうのも如何でしょうか」
眼鏡はパソコンの検索結果画面を女神様に見せる。
「ん、ん、ん~♪ いいじゃな~い! お手柄よ眼鏡ちゃん♪」
「お気に召して何よりです」
――良いのか、これ……。まぁ、ご本人様が気に入ったのなら……。
「当日が楽しみね♪ 眼鏡ちゃんも、あまりの神々しさに卒倒しないでよね♪」
「はぁ」
――当日は吹き出さないように気をつけねば……
そして当日。異世界トラックに当てられたタナカ氏が『異世界行きの間』へと送られてくる。この部屋は『異世界行き課』に併設されており、扉を開けると真っ白な空間だ。
真っ白な空間にへたり込んでいるタナカ氏。
「ここは……」
ぽつりと呟くと、より一層明るい光が頭上を照らす。
「おお。タナカイチロウよ。何も恐れる事はありません。あなたは選ばれたのです」
穏やかな声が響き、ゆらゆらと光が揺れ、女神様のシルエットが宙に浮かび上がる。
「タナカイチロウよ。善なる者よ。今、全ての努力が報われるのです。 ――さあ。勇者となり、世界を救うのです」
「……お、おお、う…… おおぅ……、うっ う…… 神、様……っ」
タナカ氏は信じられないといった表情を見せた後、顔を手で覆い嗚咽を漏らす。
――なんということでしょう……『神よ!』演出が効いている……。 このあと声を掛けるのは中々ハードルが高い……。
暫し様子を窺う眼鏡。長くなりそうだわと女神様は姿を隠す。
そしてタナカ氏が落ち着いてきたところで声を掛ける。
「えー。田中一郎さん」
ビックっとなるタナカ氏。
「失礼。こちらは『異世界行き課』です。今後のこちらの生活品に関してですが」
「あ、は、はい」
驚いた顔を向けるタナカ氏。
「『異世界行き課』ですか……」
「はい。『異世界行き課』です」
「あ、いえ、ハイ。存じております。全てお任せ出来ると……」
「はい。間違いありません。さてそうしまして――」
眼鏡は後処理に関し何も問題ない事を伝え、タナカ氏からも特に希望がない事を確認する。
「あ、仕事の引き継ぎが……」
「ああ。それは致し方ありません。こちらでは対応できかねます。まぁ、何とでもなりますよ。また田中さんの事ですから困らないよう整えられているのではと踏んでおります」
「はは。何でもお見通しなのですね……」
「まあ、異世界行きに限らず、突如仕事に来られない状況はあったりしますが、何とかされているものですよ」
――実際そんな事になった場合、てんてこ舞いとなる事もある様だが……。まぁホントに何とかはされるものですね。
さてそれではと。眼鏡が宙を見上げると、また眩い光が現れ、子供に羽が生えている様なシルエットが降りてくる。絵画に見る子供の天使像だ。
――自分で提案しといて何ですが……。堪えろ…… 堪えろ……
「おぉ、おぉ……!」
当のタナカ氏は感激している様だ。
天使はタナカ氏の腕を取り、上へと持ち上げる。そこへまた女神様のシルエット登場だ。
「さぁ、進みなさい。タナカイチロウよ。 全ての幸運はタナカイチロウに」
美しい声が響き渡る。
田中一郎氏は大きな声で「ありがとうございます!ありがとうございます!」と伝えると、宙の彼方へと消えていった。
ひとしきり見送ると女神様が姿を現す。
「ん~~~!!! もぅ! だいっ成功っ!じゃな~~い♪」
ご自身の演出に大層ご満悦だ。
「眼鏡ちゃんからの提案も、超!良かったわね~~♪ 天使がふわふわ~って!」
「それは何よりです」
――必死に耐えた甲斐があったというものだ。当人達が満足なら全て良しです。
女神様はご機嫌で『異世界行きの間』を後にする。
次にこの部屋を利用するのは『蕪木萌香』さんとなるのである。
浮き浮きと話しかけてくる女神様。
――ああ。きっとまた碌でもないことを思いついたのでしょう。
「はい」と返事を返す眼鏡。
「タナカちゃんの異世界送りなんだけどね♪ こうグワーって、すんごく『おお神よ!』ってなる演出にしたいかなって♪」
「『神よ!』 ですか……」
――嗚呼。やっぱりか。また碌でもない事を……
「何か良い案ないかしら~」
「威厳を示すのが良いのでしょうね」
碌でもないと思いながらも、これも仕事であるので真剣に考える眼鏡。
「威厳ね~…… ふ~ん……」
女神様が指で宙に円を描くと鏡の様な物が現れた。それは検索機能もあるそうだ。
「う~ん…… あ! 女神ちゃんの登場はこんな感じにするわ♪」
鏡を見せてくる女神様。どれどれと眼鏡。
「ああ。そうしましたら、こういうのも如何でしょうか」
眼鏡はパソコンの検索結果画面を女神様に見せる。
「ん、ん、ん~♪ いいじゃな~い! お手柄よ眼鏡ちゃん♪」
「お気に召して何よりです」
――良いのか、これ……。まぁ、ご本人様が気に入ったのなら……。
「当日が楽しみね♪ 眼鏡ちゃんも、あまりの神々しさに卒倒しないでよね♪」
「はぁ」
――当日は吹き出さないように気をつけねば……
そして当日。異世界トラックに当てられたタナカ氏が『異世界行きの間』へと送られてくる。この部屋は『異世界行き課』に併設されており、扉を開けると真っ白な空間だ。
真っ白な空間にへたり込んでいるタナカ氏。
「ここは……」
ぽつりと呟くと、より一層明るい光が頭上を照らす。
「おお。タナカイチロウよ。何も恐れる事はありません。あなたは選ばれたのです」
穏やかな声が響き、ゆらゆらと光が揺れ、女神様のシルエットが宙に浮かび上がる。
「タナカイチロウよ。善なる者よ。今、全ての努力が報われるのです。 ――さあ。勇者となり、世界を救うのです」
「……お、おお、う…… おおぅ……、うっ う…… 神、様……っ」
タナカ氏は信じられないといった表情を見せた後、顔を手で覆い嗚咽を漏らす。
――なんということでしょう……『神よ!』演出が効いている……。 このあと声を掛けるのは中々ハードルが高い……。
暫し様子を窺う眼鏡。長くなりそうだわと女神様は姿を隠す。
そしてタナカ氏が落ち着いてきたところで声を掛ける。
「えー。田中一郎さん」
ビックっとなるタナカ氏。
「失礼。こちらは『異世界行き課』です。今後のこちらの生活品に関してですが」
「あ、は、はい」
驚いた顔を向けるタナカ氏。
「『異世界行き課』ですか……」
「はい。『異世界行き課』です」
「あ、いえ、ハイ。存じております。全てお任せ出来ると……」
「はい。間違いありません。さてそうしまして――」
眼鏡は後処理に関し何も問題ない事を伝え、タナカ氏からも特に希望がない事を確認する。
「あ、仕事の引き継ぎが……」
「ああ。それは致し方ありません。こちらでは対応できかねます。まぁ、何とでもなりますよ。また田中さんの事ですから困らないよう整えられているのではと踏んでおります」
「はは。何でもお見通しなのですね……」
「まあ、異世界行きに限らず、突如仕事に来られない状況はあったりしますが、何とかされているものですよ」
――実際そんな事になった場合、てんてこ舞いとなる事もある様だが……。まぁホントに何とかはされるものですね。
さてそれではと。眼鏡が宙を見上げると、また眩い光が現れ、子供に羽が生えている様なシルエットが降りてくる。絵画に見る子供の天使像だ。
――自分で提案しといて何ですが……。堪えろ…… 堪えろ……
「おぉ、おぉ……!」
当のタナカ氏は感激している様だ。
天使はタナカ氏の腕を取り、上へと持ち上げる。そこへまた女神様のシルエット登場だ。
「さぁ、進みなさい。タナカイチロウよ。 全ての幸運はタナカイチロウに」
美しい声が響き渡る。
田中一郎氏は大きな声で「ありがとうございます!ありがとうございます!」と伝えると、宙の彼方へと消えていった。
ひとしきり見送ると女神様が姿を現す。
「ん~~~!!! もぅ! だいっ成功っ!じゃな~~い♪」
ご自身の演出に大層ご満悦だ。
「眼鏡ちゃんからの提案も、超!良かったわね~~♪ 天使がふわふわ~って!」
「それは何よりです」
――必死に耐えた甲斐があったというものだ。当人達が満足なら全て良しです。
女神様はご機嫌で『異世界行きの間』を後にする。
次にこの部屋を利用するのは『蕪木萌香』さんとなるのである。
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