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その、こちらは『異世界行き課』です。
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さて、ソロソロ終業時間ですね。と、眼鏡は〆の作業へと移行する。
「ね♪ ね♪ 眼鏡ちゃん♪」
「はい」
普通に返事をするが、ソロソロ終わりの時間なので内心気が気ではない。残業はお断りだ。
女神様はドーンと『蕪木萌香』の映像を見せてくる。
――萌香さんか……。 元気に過ごされていれば良いですが……。
「な・ん・と~!」
もったいぶる女神様。
「萌香ちゃん♪ 子作りするんですって♪」
「は?」となる眼鏡。映像を凝視する。萌香は街角に何をするでもなく立っていた。そして何故か高校時代の制服を着ているようだ。
「子供がいれば異世界行かなくていいって、思ったみたい♪」
「は?」理解が追いついていない眼鏡。
「着眼点としては当たりってところかしらね~♪」
いつものように楽しそうにうふふと笑う女神様。
「一体何を……」
画像を凝視していると、男性が萌香に声を掛けているようだ。
「な、、、……? あっ!?」
ピンときた眼鏡。
「なんてことを……!」
ガッと勢いよく席を立ち言い放つ。
「本日!これから外出し直帰します!!」
大急ぎで職場を離れる。
「あ、は~~い。 おつかれちゃ~~ん♪」
女神様を手をヒラヒラさせ眼鏡を見送る。
「んふふ~~♪ たっのしいわね~~♪」
画面の萌香を見ながら呟く。
「眼鏡ちゃんの本気も見れてイイ感じ♪」
一方眼鏡は萌香の元へと急行していた。
場所は見知った場所であった。役所からそこまで遠くはない。タクシーを拾うが萌香のいる場所は一方通行で途中から遠回りになってしまうので近場で降りて走り出す。
――どうか間に合って! 手遅れになる前に……!!
こんなに走ったのはいつ以来であろうか……萌香の姿を捉える眼鏡。
丁度男性に擦り寄られている。猛ダッシュを決め、萌香の肩をガッチリと掴む。
「何をやってるんですか!! 流石にっ 見過ごせません!!」
ゼイゼイと呼吸が乱れる。
萌香はキョトンとしていたがハッとなり、現れたのが『異世界行き課』の職員、眼鏡である事に気付く。
「め、眼鏡さん……っ な、なんで……」
言い寄っていた男性はあっという間に姿を消した。
動揺を見せる萌香を、一先ずはとファミレスへ移動するよう促す。
――なんとか間に合った……。 妊娠の為にパパ活だなんて……。
パパ活を阻止した事に安堵し、小さく吐息をもらす。
――さて……。さすがにコレは説教ですね……。
ファミレスにて諫言し、そして食事を共にする。
萌香の話も聞き、世間話に花が咲く。身振り手振りを交え、愛くるしい笑顔で話す萌香。眼鏡は益々萌香の魅力にあてられる。
異世界行きは自分ではどうする事も出来ないが、何かしら力になれることがあればと連絡先を交換してその日は別れた。
翌日――――
女神様がニヤニヤと話し掛けてくる。
「眼鏡ちゃ~ん♪ 昨日はお手柄だったんじゃな~い!?」
「まぁ」
パパ活阻止もだが、萌香と話せた事が嬉しくあった。
「やだやだな~に~。ご機嫌じゃなーい♪」
「ええ、まぁ」
いささか照れが入る眼鏡。
「ふーん……」
女神様は意味ありげに視線を向けてくるが、構いはせずに仕事を進める。
――またお話したいですね……
昨日の事を思い出し眼鏡の顔が綻ぶ。
女神様はまたそれを見逃しはしなかった。
「ね♪ ね♪ 眼鏡ちゃん♪」
「はい」
普通に返事をするが、ソロソロ終わりの時間なので内心気が気ではない。残業はお断りだ。
女神様はドーンと『蕪木萌香』の映像を見せてくる。
――萌香さんか……。 元気に過ごされていれば良いですが……。
「な・ん・と~!」
もったいぶる女神様。
「萌香ちゃん♪ 子作りするんですって♪」
「は?」となる眼鏡。映像を凝視する。萌香は街角に何をするでもなく立っていた。そして何故か高校時代の制服を着ているようだ。
「子供がいれば異世界行かなくていいって、思ったみたい♪」
「は?」理解が追いついていない眼鏡。
「着眼点としては当たりってところかしらね~♪」
いつものように楽しそうにうふふと笑う女神様。
「一体何を……」
画像を凝視していると、男性が萌香に声を掛けているようだ。
「な、、、……? あっ!?」
ピンときた眼鏡。
「なんてことを……!」
ガッと勢いよく席を立ち言い放つ。
「本日!これから外出し直帰します!!」
大急ぎで職場を離れる。
「あ、は~~い。 おつかれちゃ~~ん♪」
女神様を手をヒラヒラさせ眼鏡を見送る。
「んふふ~~♪ たっのしいわね~~♪」
画面の萌香を見ながら呟く。
「眼鏡ちゃんの本気も見れてイイ感じ♪」
一方眼鏡は萌香の元へと急行していた。
場所は見知った場所であった。役所からそこまで遠くはない。タクシーを拾うが萌香のいる場所は一方通行で途中から遠回りになってしまうので近場で降りて走り出す。
――どうか間に合って! 手遅れになる前に……!!
こんなに走ったのはいつ以来であろうか……萌香の姿を捉える眼鏡。
丁度男性に擦り寄られている。猛ダッシュを決め、萌香の肩をガッチリと掴む。
「何をやってるんですか!! 流石にっ 見過ごせません!!」
ゼイゼイと呼吸が乱れる。
萌香はキョトンとしていたがハッとなり、現れたのが『異世界行き課』の職員、眼鏡である事に気付く。
「め、眼鏡さん……っ な、なんで……」
言い寄っていた男性はあっという間に姿を消した。
動揺を見せる萌香を、一先ずはとファミレスへ移動するよう促す。
――なんとか間に合った……。 妊娠の為にパパ活だなんて……。
パパ活を阻止した事に安堵し、小さく吐息をもらす。
――さて……。さすがにコレは説教ですね……。
ファミレスにて諫言し、そして食事を共にする。
萌香の話も聞き、世間話に花が咲く。身振り手振りを交え、愛くるしい笑顔で話す萌香。眼鏡は益々萌香の魅力にあてられる。
異世界行きは自分ではどうする事も出来ないが、何かしら力になれることがあればと連絡先を交換してその日は別れた。
翌日――――
女神様がニヤニヤと話し掛けてくる。
「眼鏡ちゃ~ん♪ 昨日はお手柄だったんじゃな~い!?」
「まぁ」
パパ活阻止もだが、萌香と話せた事が嬉しくあった。
「やだやだな~に~。ご機嫌じゃなーい♪」
「ええ、まぁ」
いささか照れが入る眼鏡。
「ふーん……」
女神様は意味ありげに視線を向けてくるが、構いはせずに仕事を進める。
――またお話したいですね……
昨日の事を思い出し眼鏡の顔が綻ぶ。
女神様はまたそれを見逃しはしなかった。
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