猛虎閣下は番を溺愛したいけど方法が分からない!

ぽよよん

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愛ってなんぞや

第二十六話

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 第一の門はタル王国側から見ると、魔鋼鉄の巨大な扉のある堅固な石壁だ。石壁には細い切れ目のような窓が空いていて、ここから弓矢などで攻撃する。
 反対にバルド王国側から見ると、扉を中央に左右二つの塔になっていて、扉の上で繋がっている。
 見上げるほどの高さは両脇の崖を塞ぐように作られており、六階建ての塔の内部は複雑に作られている。

 人型に戻った三人と薄暗い階段を降りて行くと、人の気配がない為か足音が気になる。
 ディアナは気をつけて歩いているが、二人の兵士だけでなくバルドゥルの足音も聞こえない。

「では、我々は残っているタル国軍を制圧してきます。」

「作戦完了後、右翼に集合だ。」

「「了解」」

 下の階に着くと薄闇に消えるように、二人の姿が消えた。
 バルドゥルはディアナの手を取りさらに下の階に降りて行く。左翼の塔に正面の門を開く機械室があるが、からくり魔道具は右翼の二階部分に設置されているという。

 中央の物見台から、階段を下がったり上がったり、複雑な道のりを手を繋いだまま黙って歩いていく。
 時々、先に行った二人に倒されたのだろうタル国軍の兵士が転がっている。
 倒れた兵士の姿に、ディアナは唇をギュッと噛む。ここは戦場で、もしかしたら自分がこのように倒されてしまうかもしれない。
 とても怖いけど、進まなくてはならない。

 ひんやりとする石壁に囲まれて、グラグラしそうな心を、暖かいバルドゥルの手が支えている。



「……」

 通路の曲がり角で、通路の向こうから人の話し声が近づいてくるのに気がついたバルドゥルが、ディアナに止まるよう指示する。ディアナは大人しくバルドゥルの手を離すと、通路の壁に体をつける。
 
 こちらには気付いていないのだろう、二人組のタル国軍兵士だ。

 バルドゥルは素早く通路に出ると、瞬く間に二人の意識を刈り取り、拘束具で二人の手を合わせて縛り上げた。

 隠密行動は苦手だと言っていたが、その鮮やかな手並みにディアナは思わず拍手を送る。もちろん音は出さないが。


「バルドゥル様。あの部屋ですわ。」

 ディアナが扉に手をかけるのを、バルドゥルが止めると、扉とディアナの間に入り、そうっと扉を開けた。

「うわぁ!!」

 中に潜んでいた者が、剣を振り下ろす。

 バルドゥルは易々と避けると、その剣を叩き落とし、腕を掴んで後ろに捻り上げた。

「バルドゥル様!バルド国軍の軍服ですわ。」

 バルドゥルに後ろ手に掴まれた男は確かにバルド国軍の軍服姿だ。バルドゥルに腕を捻り上げられ、痛みに顔を歪ませながらもディアナを確認する。

「あ、あんた達はカヒル国軍か?どうしてここに?」

「ええ、バルド国軍の援軍で来ました。あなたこそ、どうしてここに?」

「ああ、タル国軍に占領された時、俺はこの部屋に隠れたんだ。どうやらタル国軍は第二の門に向かったみたいで、見つからずに済んだんだ。」

「そうですか。無事で良かったですわ。」

 ディアナが微笑むと、その男もホッとして、後ろ手に掴んだままのバルドゥルに顔を向ける。

「そういうわけなんで、離してくれないか?」

 媚を売るように、口の端を持ち上げてバルドゥルに頼む。

「この部屋の中には何があるんだ?」
 
 バルドゥルは手を緩めずに顎で部屋の中を指す。

「倉庫かなんかみたいだな。備蓄品とか入ってるんだ。」

「ほう、まさか混乱に乗じて備蓄品を盗むつもりだったか?」

「は、は。まさか。……なあ、離してくれよ。あんたの力で掴まれてたら腕が折れちまう。」

 バルドゥルはディアナに目線で合図をすると、ディアナがバルドゥルの後ろに下がる。手を離すと男は手をぶらぶらさせてバルドゥルに恨めしそうに見せる。

「全く馬鹿力だぜ。腕が折れるかと思った。」

「そりゃ、すまなかったな。」

 気がなさそうにバルドゥルが応える。男はニヤリと笑うとディアナとバルドゥルを見て、そして周りを見渡す。

「ところで他にカヒル国軍はいるのかい?」

「いや、俺たちは先発の斥候だからな。第一の門が落ちたという情報を確かめにきた。できたら捕らえられているバルド国軍の兵士を救出するようにとのことだ。」

「そうか、あんた達二人だけか。」

 そう言った男の手には最新式のフリントロック式の銃が握られ、ニヤニヤと嫌な笑い方で銃口をバルドゥルに向けた。
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